Z世代のお金の悩みに、節約アドバイザーの丸山晴美さんが答えます。今回は、国民年金保険料の学生納付特例制度について解説していただきました。

Q. 学生時代に国民年金保険料の学生納付特例制度を利用しました。追納すべきかどうか迷っています。追納するのとしないのとではどちらがお得ですか?

日本国内に住むすべての人は、20歳になったときから国民年金保険料を納める義務がありますが、学生の場合は申請することによって、在学中の保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」があります。

この制度を使うことで、承認期間中は国民健康保険料を支払わなくても未納とはならず、老齢基礎年金を受け取るために必要な期間(受給資格期間)に算入され、特例制度期間中に病気やけがで障害が残ったときには、障害基礎年金を受け取ることができます。

学生納付特例制度の承認期間中は、国民健康保険料を納付しなくても受給資格期間は算入されますが、受けた期間分の年金額の反映はされず、保険料を全額納付したときに比べて将来受け取る老齢基礎年金額が減ってしまいます。

しかし、10年以内であれば、国民年金保険料を追納することで、老齢基礎年金額を増やすことができます。老齢基礎年金は、年金を受け取るようになってから、生涯にわたって支給されるものですので、収入があるうちに追納しておくと、老後の助けになるでしょう。

また、追納することで社会保険料控除が適用されるため、所得や追納額によっては所得税・住民税が軽減される場合があり、そういった意味でもメリットはあると言えます。

追納の方法と注意点

追納の申請は、年金事務所で申し込み手続きをし、厚生労働大臣の承認を受けたうえで、納付書にて追納をします。その際、クレジットカード払いや口座振替をすることはできませんので注意しましょう。

最寄りの年金事務所は、日本年金機構サイトから調べることもできます。

追納できる期間は10年以内

平成31年4月(2019年)から令和2年3月(2020年)まで承認を受けていた場合は、令和11年4月(2029年)から令和12年3月(2030年)のそれぞれの月が追納の期限となります。

早めの追納がおすすめ

3年度目以降に追納する場合は、承認を受けた当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。また、大学院に進んで合計6年間の猶予を受けていた場合は、追納できる残期間が4年になるものもあるので、追納を考えている場合は早めに申請をするといいでしょう。また追納は、原則古い期間分から納付することになります。

また追納をしたら、社会保険料控除を受けるために確定申告または年末調整の手続きをしましょう。所得によっては、控除が受けられず軽減されない場合もあります。課税所得金額が約300万円の場合、所得税・住民税が最大約8万円軽減されます。

老齢基礎年金は、年金支給開始から生涯にわたって支給されるものですが、追納をする、しない、どちらが損か得かを一概に比べるのは難しいものがあります。しかし、若くて健康で働けるうちはあまりピンとこないかもしれませんが、働いて収入を得ることができなくなったときに支給される年金は、生活の助けになることは間違いないでしょう。