就職して3年目、仕事に慣れたり、少し飽きを感じてしまったり。「この仕事を続けていいのだろうか」と感じた時、どう考えを整理すればよいのでしょう。

元ヤンキーでとび職からキャリアをスタートし、24歳から本格的に勉強を始め世界一の公立大学カリフォルニア大学バークレー校を卒業した鈴木さんに聞いてみました。

  • 就職3年目の迷い

就職3年目の今を無駄にしない

社会人3年目を過ぎると、このままでいいのだろうかと不安になる時もあれば、期待に応えられる充実感を得るときもあります。

そして、仕事に満足しているが中長期的なことを考えて環境を変えたいとか、今の環境では期待する程の成長はできないと現状を評価する人も多いでしょう。

しかし、仕事環境を変えるには時間がかかり、環境がすぐに変わることは少ない。そこで、次に向け、今を無駄にしないように、学べるものは全て学んで去ろうと思うとこれまでとは違うものが見えてきます。

ビジネスモデルと業界理解を深める

Q:まずなにから始めればいいですか?
A:業界構造を理解し、自社のビジネスモデルを語れる状態になることが大切です。

相手を優秀で知恵のある人と感じる瞬間はどんなときでしょうか。それはビジネスの構造やモデルを理解したうえでアクションを説明できる人かどうかです。

転職や異動をする際に、受け入れ先に対して、自分の能力や知恵をアピールすることになります。多くの場合、目標120%達成したなどと成果を数字で見せ、達成するために取り組んだアクションについて話すことが多い。

目標に対して着実にアクションをし、試行錯誤して成果につなげる能力があることはある程度わかるけれど、知恵を表現するには少し足りません。

なぜなら、その成果は個人のパフォーマンスが影響して作ったのか、誰が行っても成長するモデルにたまたま関わったのかはわからないからです。

知恵のある人材

あなたを受け入れる側が知りたいのは、どんな環境でも対応して成果につなげる知恵があるか。さらには、顕在化していない改善アクションを見つけ、提案できる人材を求めています。

それは現状を分析し、「こうした構造だから、このアクションが必要です」という思考プロセスを通じて、説明できると知恵があることを証明できます。

スティーブ・ジョブズの名言にこんなものがあります。

「It does not make sense to hire smart people and then tell them what to do. We hire smart people to tell us what to do.」 Steve Jobs

「賢い人を雇って言われたとおりに仕事させるなんて理解できない。賢い人を雇って我々が次に何をするのか教えてもらうのだ」

知恵のある人になるために、今の仕事をしながらできることは、業界や自社の構造やモデルを理解できるように学ぶことです。

市場の規模、トレンド、カギとなる成功要因、競合との比較などを理解した上で自社の戦略と所属部門の役割、自分の仕事などつながりを理解する。仕事をしながら経営戦略や戦略思考など、新しいことを学ぶことが必要でしょう。

次回は新しいことの学び方を紹介します。

執筆者プロフィール : 鈴木琢也(すずき・たくや)

1986年川崎市生まれ。中学生のころ、素行が荒れ暴力を繰り返す不良少年、いわゆる「ヤンキー」の仲間入り。高卒でとび職になる。その後、IT系資格を取得して上場企業に転職。さらに一念発起し、カリフォルニア大学バークレー校へ進学。15年卒業、人材育成支援のグロービス(東京・千代田)入社。マネジメントスクールの運営などを担当。著書に「バカヤンキーでも死ぬ気でやれば世界の名門大学で戦える。」(ポプラ社)『自分を動かし続ける力~元ヤンだった僕がカリフォルニア大学バークレー校で身につけた「最大限に成長する」習慣』(大和書房)がある。