神社の骨董市で衝動買い

2年前の1月、たまたま通りかかった神社で骨董市が行われているのを見かけた。あとで調べたら毎月第4日曜日に行われている骨董市だったのだが、その時はそれを知らず、てっきり珍しい催し物だと思った私は、吸い込まれるように会場に向かった。

仙台東照宮の参道にて開催されている骨董青空市

当時私は臨月で、大きいお腹を抱えながらも時間を忘れて歩き回り、その時に見つけ即決で購入してしまったのが、この金色で孔雀があしらわれている小物入れだった。確か値段は700円。何を入れようか思いつかないまま買ったので、完全な衝動買いだった。

孔雀があしらわれた小物入れを衝動買い

そしてただのオブジェに

そんな衝動的かつ運命的な出会いを果たした小物入れだったが、帰宅後にいろいろと小物を入れてみたものの、見かけの割にものが入らず「ぜひとも入れたい」と思っていたものも入らなかった。かといって中途半端なものも入れたくなく、しばらくの間はただオブジェと化していた。

捨てることが大好きな"捨て変態"である以上、いつもなら使い道のないものは手放したくなってしまうたちなのだが、この小物入れはどうしても手放せずにいた。

"配置転換"で脱オブジェ化

そして半年以上が経過した時、その時一時的に増えていた可愛いボタンたちを収納する箱として、とうとう脱オブジェ化を果たした。その後も、ある時は綿棒を入れてみたり、そうかと思えばお気に入りのクリップを入れてみたり、さまざまな"任務"が与えられ、最近では、ブローチや祖母の遺品の指輪を入れる宝箱(仮)として活躍している。

最近はブローチや祖母の遺品の指輪を入れている

なぜ(仮)かというと、もしかしたら今度は全く違う使い方をするかもしれないから。我が家では、1つのものにたくさんの使い道を用意するようにしているので、思いもよらない"配置転換"が待っていることがある。

それは、少ないもので楽しく暮らす工夫の1つだ。部屋の模様替え(我が家は家具が少なすぎて模様替えがほとんどできない……)ならぬ小物の模様替えで、ちょっとした気分転換になったりするのだった。


初めて骨董市に行ってからちょうど2年が経った今年の1月、ふと思い立ってまた骨董市に行ってきた。その時まだ生まれていなかった息子も、1歳11カ月になった。ちょろちょろと歩き回るのでゆっくりとは見られなかったけれど、やっぱり楽しい。そしてまたしても小物入れを買ってしまった。

新しく迎えた小物入れ(写真左)

どうやら私はこういう小物入れに弱いらしい。少し蓋が歪んでしまっているからか、お値段なんと300円。さぁ今度は何を入れようか。考えただけでワクワクが止まらない私なのだった。

私はこういう小物入れに弱いらしい

著者プロフィール: ゆるりまい

1985年生まれ。仙台市在住。漫画家、イラストレーター。
夫、母、息子の人間4人 +猫4匹ぐらし。
生まれ育った汚家の反動で、現在ものの少ない暮らし街道爆進中。
ものを捨てることが三度の飯より大好きな捨て変態。
そんな日常を描いた『わたしのウチには、なんにもない。』(KADOKAWA)は2016年、夏帆主演で連続ドラマ化された。
現在cakesにて「ゆるりまいにち猫日和」、赤すぐにて「赤すぐみんなの体験記」を連載中。