シングルマザーにイキイキと活躍してもらう副業

副業元年と言われた昨年から、さまざまな副業が注目されているが、実際には副業をしたくても、何をどうすればいいのか分からないという人が多いのが現状だ。そこでオススメなのが「自分の得意なことを仕事にしてしまう」というパターン。この連載では、これまで起業の相談に応じてきたクライアントの中から、スキマ時間とこれまでの経験を活かし、自分の得意なことで収入を生み出している人を紹介していく。

第27回となる今回は、社内研修講師業をする傍ら、シングルマザー専門のパラレルキャリア構築の支援をしている大竹さん(44歳)を紹介する。

2013年、ご主人を突然死で亡くしたことで大竹さん自身がシングルマザーに。当時12歳、10歳、6歳の子ども3人を育て、今ではそれぞれ大学、高校、中学に進学。その経験が、この副業を始めるきっかけになったという。

自身の経験が多くの人の役に立つことに

「具体的には、50代後半の方、主婦でもう一度就職をしたい方を中心に起業支援・キャリアアップのアドバイスを行っています」

中には「何もわからない、何もできない」という方にも自立した稼ぎ方のアドバイスを行っている大竹さんの収入は、月25～35万円ほどになるという。

もちろん、そうなるまでの道のりは平坦ではなかった。

「似たようなサービスを展開する方も多くて、なかなか差別化が難しかったです。思いっきり模倣をされて、一時期メンタル的に凹んだ時期もあり、子どもたちには心配をかけてしまいました。また、当初無料の講座を開講していた頃には『タダだから参加する』というお客様が多数お越しになって困ったこともありました。まあ、明確な線引きをしなかったことが失敗の要因なんですけど、今ではそれも良い経験として役立っています」

ほかにも、子どもの行事と仕事が重なってしまったことで、何度かお子さんに迷惑をかけてしまったこともあるそうだ。こうしたことは普通に勤めていても起こりうるが、シングルマザーでしかも副業も頑張っているとなると、その確率は一気に跳ね上がることは間違いないだろう。なかなか気持ちの整理が大変だったことは察するに余りある。

• 本業・副業・子育てを両立させる秘訣は

プレッシャーを越えたところにやり甲斐が

それでもこの仕事を頑張って続けてきた大竹さんは、やはりクライアントさんの笑顔がやり甲斐になっているという。

「クライアントさんと何度もセッションしているうちに、笑顔や素敵な強みを発見できて、そして起業の仕組みができたときには、一緒になって結果を喜べるんです。なんとも言えないやり甲斐を感じています。その反面、世の中にはたくさんの職種や資格があって、自分の知らない分野だとその方の強みをどう活かせるか? また、いろいろな事情で表立って活動できない方にはどのようにアプローチすればいいかなど、難しいことも多くあります」

人の役に立てていると実感できる仕事は本当にやり甲斐に溢れている。その反面、プレッシャーが大きいのも確かだろう。しかしそうしたプレッシャーがあるからこそ、達成感とやり甲斐も大きくなると言えるのは間違いない。

• 踏み出す勇気を与える強み

ポイントは時間管理

それにしても、本業と子育て、家事もこなしての副業でこれだけの成果を出すには何かしら工夫があるのではないか、大竹さんに聞いてみた。

「確かに、全部掛け持ちで動くのは大変です。だからこそ、時間管理が大切です。通勤時間や子どもたちが寝静まってからの時間など、スキマ時間を使ってメールの管理をしたり、WEB通信や動画を使ってセッションを行ったりしてバランスを取っています。あとSNSや、受講生さんの口コミのおかげで新しいお客様と出会えているのがありがたいですね」

と、大竹さんはあっさり言ってのけるが、これがなかなか難しいのではないだろうか。筆者もクライアントから「時間管理」の相談はよく受ける。もちろん筆者なりの方法があるのでそれをアドバイスしているが、なかなか実践できない人も多いのが現実だ。

好循環を生む副業

そんな大竹さんは、これからも多くのシングルマザーを幸せにしたいと頑張っている。

「『5日働き10日学び15日大切の家族のために過ごす』を合い言葉に『シングルマザー専門身の丈から始める幸せパラレルキャリア構築ナビゲーター』として、多くの働くママを明るく元気にしていきたいです!」

自身の経験も活かし、多くのシングルマザーの役に立ち、収入アップのお手伝いをしながら、それがまた自身の収入にもなっていくという好循環を生む副業と言えるのでは。大竹さんには益々活躍してもらいたいと、筆者は感じた。