8月21日、新宿区の「万年湯」がリニューアルオープンした。今回は、早速その様子をレポートすることにしたい。

「万年湯」へはJR新大久保駅から徒歩4~5分

群青色ののれんが輝く

万年湯はコリアンタウン・大久保にある銭湯である。JR山手線「新大久保」駅から歩いて4~5分。一時から韓流ブームも落ち着いてきたとはいえ、平日にも関わらず大通りから細い路地までたくさんの人でにぎわっており、活気の耐えない街だ。大久保通りから少し入り込んだところに見えるのは、ダークブラウン木目調のアーチ。外観も同系色の木目で統一されており、真新しい群青色ののれんもカッコイイ。

自動ドアから中へ。下足箱はKING製の板鍵。傘立てにも大ぶりで木製の鍵がついていて珍しい。左手すぐにフロントがあり、その奥に男湯、女湯の順番で脱衣所の入り口がある。フロント前のロビーは広くはないが、多少の座る場所と、ドリンクケース、旧式マッサージチェアとテレビがあり、新装開店を祝う花もたくさん飾られていた。

鍵にも注目

脱衣所に入る。この日の相客は開店直後で12~3人はいただろうか。ロッカーは2面分と貸しロッカー。大きく漢数字が書かれており、昔ながらの銭湯の雰囲気が味わえる。縦長のロッカーもあるので、大きめのカバンでも安心。丸型脱衣カゴも並べられているのは常連向けだろう。

また戸にはリングが付いており、簡単に開けることができる(鍵を引っ掛けて開けるタイプが大半なのでこれも珍しい)。鍵は持ち帰り防止のセンサーがついているのにも注目したい。ほかに、腰掛け、MORIYA製のはかり。壁側には鏡台とコインドライヤーが3カ所ある。天井は特別高いわけではないが、灯籠型の和風照明がつり下がっている。

設備はほぼそのまま、洗練された趣に

男湯のイメージ(S=シャワー)

浴室は間接照明を生かした落ち着いた雰囲気づくりがなされている。窓は格子状で障子のようなあしらい。正面には鶴のモザイクタイル画があり、純和風の雰囲気だ。カランは近代的で使いやすい。

ピカピカのシャワーヘッドの横には棒状の角のようなものがついており、おそらくこちらに湯道具や乾いたタオルなどを引っ掛けておけるようにしているのだろう。ボディソープとリンスインシャンプーは無料で十分な数の取りそろえがある。水はぬめり気軟水なので泡立ちもいい。ケロリン桶も、もちろん真新しい。

湯は奥のジェットバスや電気風呂がある「中温風呂」と、手前のシルク風呂の「高温風呂」がある。中温はぬるめで入りやすく、シルクバスも熱すぎない快適な温度。水風呂もあるので温冷浴するのもいい。「きれいになったね」「いいお湯だね」と、思わず常連からも声が漏れる。

筆者はリニューアル前にも万年湯に入ったことがあるのだが、実は設備や湯の種類などはほとんど変わっていない。リデザインされたことで洗練された趣があり、細かいところまで気配りの行き届いた名銭湯のひとつに生まれ変わったように感じた。

※記事中の情報は2016年8月時点のもの。イメージ図は筆者の調査に基づくもので正確なものではございません

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。