夫婦として暮らしていると、些細な不満や苛立ちはあるもの。ですが、できればそんな不満を最小限に減らし、夫婦円満の家庭を築いていきたいですよね。そこで、今回は夫婦が仲良く生活していくための科学的なポイントを堀田先生に伺います。
■糖質摂取が夫婦円満のカギ⁉
雑談だろうか、大切な話題だろうが、糖質が足りていないと和やかなムードになるのは難しいのを知っていますか?
オハイオ州立大学のブッシュマンらは、ある一定の期間、毎日夫婦の血糖値を測定・観察する研究を行いました。実験では血糖値測定に加え、パートナーへ怒りを覚えた夜に、パートナーをイメージしたわら人形に針を刺してもらい、その数で怒りの程度を示してもらいました。その結果、血糖値レベルが低いほど針の数が増えていたそうです。
実は怒りの衝動をコントロールするためには、多くのエネルギーが脳に必要となります。血糖(グルコース)は脳のエネルギー源であり、血糖値が不足してしまうと、苛立ちを誘発してしまう可能性があるのです。
ですので、イライラしてパートナーとうまくいっていないという人は、まずは糖質を摂取してみるのもおすすめ。ケーキやごはんを食べて、糖質を取り入れ、夫婦円満を保ちましょう。
■相づちやうなずきだけで互いに好感度アップ
ときには、パートナーの話題に興味がないということもあるでしょう。その場合、あからさまにつまらなそうな態度や、早めに会話を終わらせようとするのはNGです。
夫婦円満には、「相づちを打つ」「うなずく仕草」が大切です。東京大学の川名の研究によると、会話中に相づちやうなずくことで、聞き手の魅力が高く評価されるだけでなく、聞き手自身も話し手に好印象を抱くことがわかっています。つまり、夫婦で会話をする際、聞き役は相づちとうなずきを取り入れることで、どちらか一方だけでなくお互いが魅力的に見えるのです。
また、"幸せホルモン"と呼ばれる「セロトニン」や「オキシトシン」は、会話をすることでも分泌されるので、円満な関係を保ちたい夫婦にとって会話は必須と言えるでしょう。
さらに、セロトニンやオキシトシンは、人の立場に立って物事を考えるなど、相手に対して細やかな配慮をもったコミュニケーションをとる中で、より分泌されると言われています。
人には"してもらったら、してあげたくなる"という返報性があるように、お互いが気遣いを持ってコミュニケーションをとることで、幸せホルモンが分泌され、良好な関係が築けるでしょう。
■たった16分の夫婦の会話が10万円の価値に?
夫婦の会話がお金に換算できるという研究をみていきましょう。シカゴ大学の山口の調査によると、夫婦の会話が1日平均16分増えるだけで、月10万円の収入と同じくらいの満足度が得られるそうです。
この調査は家計経済研究所などのデータを使用して、夫婦関係の満足度に影響をおよぼす量を尺度にし、生活時間の過ごし方や所得の価値を測定。何がどれくらいの価値をもつのかということを調査しました。
山口は夫が仕事の時間を減らし、月収が10万円減ったと仮定した場合、妻が夫婦関係満足度を同じ程度保つためには何が必要かを調べたそうです。すると、夫婦の会話が平日に平均16分増えると、月10万円の収入と同じ効果をもたらすことが判明したのです。
平日のわずか16分の会話が10万円分に相当するのは、すごいことですよね。そして、たった16分であればそんなにハードルは高くないはずです。
今回紹介した方法は、いずれも意識をすれば簡単にできるものばかり。毎夕食後、デザートにちょっとしたスイーツを食べながら、16分会話をしてみるのはどうでしょう。ささやかな習慣に見えますが、夫婦仲にポジティブな影響をもたらしてくれかもしれません。