クレジットカード好きは既にご存知かもしれないが、アメリカで富裕層向けカードとして発行されている「Luxury Card(ラグジュアリーカード)」が日本に上陸。11月1日より申し込み受け付けがスタートした。

「Luxury Card(ラグジュアリーカード)」

ずっしりと重みのある金属製のカード

「ラグジュアリーカード」は新生銀行グループのクレジットカード会社であるアプラスから発行され、年会費5万4,000円の「Mastercard Titanium Card」、年会費10万8,000円の「Mastercard Black Card」、招待制で年会費21万6,000円の「Mastercard Gold Card」の3種類がある。まず驚かされるのはカードそのもの。いずれもステンレス製で、裏面にはカーボン素材を使用し、「Mastercard Gold Card」に関しては表面を24金でコーティング。手に持つとずっしりと重みが感じられ、うっかり落とすとガシャンと音がするが、普通のクレジットカード同様にICチップや磁気ストライプを使って決済できる。

「Mastercard Gold Card」は表面を24金でコーティング

「Mastercard Black Card」(左)、「Mastercard Titanium Card」(右)

日本初のMastercard「ワールドエリート」

もうひとつの大きな特徴が、「World Elite Mastercard」であること。Mastercardにはスタンダード、ゴールド、チタン、プラチナ、ワールド、ワールドエリートの6種類のグレードがあり、これまで最上位のワールドエリートは日本では発行されていなかった。「ラグジュアリーカード」はカード名にそれぞれGold、Black、Titaniumとあるが、いずれもワールドエリートとなっており、日本では初めての発行となる。ワールドエリートとしてのサービス内容は、今後随時発表されていくそうなので、期待して続報を待とう。

招待制で年会費21万6,000円の「Mastercard Gold Card」

年会費10万8,000円の「Mastercard Black Card」

年会費5万4,000円の「Mastercard Titanium Card」

独自のコンシェルジュサービス

3種類のカード共通で利用できるコンシェルジュサービスは、Mastercardが提供するものではなく、独自のコンシェルジュデスクを国内に用意。電話だけでなく、メールでもやりとりが可能となっている。また、これまで日本未上陸だった世界最大級の拠点を持つコンシェルジュ会社と提携し、アメリカをはじめとする海外の現地情報の案内には特に自信があるとのこと。コンシェルジュを経由した予約では、世界3,000以上のホテル、300以上のレストランで何かしらのアップグレードや優待も受けられる。

グルメ関連のサービスでは、Luxury TableとLuxury Limousineが個性的だ。どちらもBlack、Gold会員のみに提供されるサービスだが、予約困難な人気レストランの予約代行を行ってくれるうえに、東京23区内のレストランであれば、23区内の指定場所までリムジンで送迎してくれるというもの。Gold会員のみ利用できる店や車も用意されており、記念日や特別な接待にも活躍してくれそうだ。

なお、3種類のカード共通のサービスとしては、全国約200店の高級レストランや料亭で、2名以上で所定のコースを利用すると、1名分のコース料金が無料になるLuxury Diningが利用可能。全国10カ所にある「World Wine Bar」、都内のカフェ「Sign」でグラス1杯無料といったサービスもある。

空港ラウンジサービスは、カードと航空券の提示で、国内28空港および韓国・仁川、ハワイ・ホノルル空港が同伴者1名まで無料。世界400都市、950カ所以上の空港ラウンジが利用できる「プライオリティ・パス」にも別途登録でき、こちらはカード会員は無料、同伴者は1名につき27ドルとなる。このほかにニューヨーク中心部にある会員専用ラウンジも利用可能。また、国際線利用時は、出発・帰国時に各3個までの手荷物を無料で宅配してくれるサービスも受けられる(羽田・成田・中部・関西空港のみ対象)。

さまざまなサービスの会員ステータスが得られる

カードを保有するだけで、さまざまなサービスの会員ステータスも得られる。カード発行元の新生銀行では、自動的に「新生プラチナ」のステータスに。会員制のビジネス・ファーストクラス専門旅行代理店「CLASS ONE」は、カードを保有するだけで入会および継続資格が免除となる。世界430軒以上の高級ホテルが加盟するザ・リーディングホテルズ・オブ・ザ・ワールドでは、1泊利用するだけで通常150ドルの「リーダーズクラブ会員」の年会費が1年間無料。National Car Rentalのエメラルドクラブでは、通常は年間12回または40日間のレンタルが必要なエグゼクティブステータスの資格が得られる。

Black、Gold会員は、ハワイアン航空のエリート会員ステータスも提供される。Black会員であれば、通常は30区間の搭乗または2万マイルの獲得が必要なPualani Gold、Gold会員であれば通常は60区間の搭乗または4万マイルの獲得が必要なPualani Platinumとなる。どちらも無料で預けられる手荷物が増えたり、ボーナスマイルを獲得できたり、空席状況に応じて無料アップグレードの対象となったりといった特典が受けられる。

一風変わったサービスがプライベートジムの優待。青山学院大学駅伝チームのフィジカルトレーニングを担当する中野ジェームズ修一監修の会員制ジム「Club100」、アルマーニやGQのフィットネススーパーバイザーも務めるシェレン・イースンが代表の「ACE GYM」で会員限定のプログラムが受けられる。

2017年から3カ月に1回送付される予定の「LUXURY MAGAZINE」も特徴的。アメリカで発行されているものの翻訳版となるが、この夏に発行された号ではプライベートジェットやクルーザーの最新事情などの記事もあり、憧れの世界を覗くという意味では富裕層以外でも楽しめそうだ。

会員誌「LUXURY MAGAZINE」

ポイントについては、毎月1,000円利用につき1ポイント。海外での利用に対してはポイント2倍。年間(毎年4月から翌年3月)利用額に応じたボーナスポイントもあり、Titaniumは年100万円以上利用で国内利用分2,000円につき1ポイント、Blackは150万円以上利用で同1,000円につき1ポイント、Goldは200万円以上利用で同1,000円につき2ポイント。つまり、それぞれ条件を満たすと、国内利用分のポイントはTitaniumが1.5倍、Blackは2倍、Goldは3倍となる。

貯まったポイントは1ポイント=5円相当で、Amazonギフト券やJCBギフトカード、1ポイント=3マイルでJAL、ANAの各マイルに交換可能。ほかにも数量限定のプレミアムワインなどの交換商品も用意される予定となっている。

このほかにもさまざまなサービスがあり、まだまだ追加も予定しているそうなので、詳細は一度公式サイトを確認してほしい。同カードの広報担当によると、「既存のプラチナカードのサービスを追いかけるのではなく、充実した顧客体験にこだわったサービスを追求していく」とのこと。

なお、冒頭でも書いたがGoldは招待制で、原則としてBlackまたはTitaniumの利用者のなかから、カード会社が定める基準をクリアした人にのみインビテーションが送られる。そのBlackとTitaniumは20歳(学生除く)から申し込み可能。同カードの価値に相応した審査基準が設けられているようだが、ぜひ審査を通過して金属製カードと最上位ステータスの重みを体感してほしい。

(※クレジットカードの用語などは以下を参照)

『シーンで選ぶクレジットカード活用術 (1) 最低限知っておいてほしい基礎知識』

※本記事で紹介したサービス内容は、消費税率8%を前提とした更新日時点の情報です。また、各サービスには一部対象外となるケースがあります。ご利用の際は公式サイトなどで最新の情報をご確認ください。
<著者プロフィール>

タナカヒロシ(ライター・編集者)

普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、過去に勤めていた会社の都合でクレジットカード本を作ったことをきっかけに、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなる。以降、定期的にクレジットカードのムック本を編集・執筆。3月7日発売の『最強クレジットカードガイド2016 本当にトクするカードの選び方・使い方=写真=』(角川マガジンズ)では、編集統括および記事の大部分を執筆している。