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東京から遊びに来てくれた友人と訪れた沖縄北部のプライベートビーチ |
移住して数カ月たつ頃、実は少し寂しさを感じる日が多くなっていた。平日は仕事に出ているので大丈夫なのだが、週末になると特に、「家族に会いたいな」「友人に会いたいな」「思いっきりおしゃれして街を歩きたいな」「舌鼓を打つお肉やお魚を食べたいな……」などという気持ちが沸々と湧いてきた。いわゆるホームシックというやつだ。ちょうど生活や職場に慣れてきた頃だったので、寂しさを感じる余裕が出てきたということなのだろう。そんな自分を見て、都会の血はなかなか抜けないなと思った。
しかし、あるとき私が東京の友人に「ここは本当に何もないんだよね」と話すと、こう言われた。「あれ? 何もないのが贅沢なんじゃなかったの?? 」と。確かにその通りだ。移住前、私は都会の喧騒から離れたくて、度々沖縄に来ていたのだ。海や森といった自然の美しさ、そこでの海人(うみんちゅ)や島人(しまんちゅ)との交流で存分に癒やされ、またパワーをもらっていた。そう、ここには東京にないものがたくさんあったのだと改めて思った。ないものねだりをしてはいけないのだ。
そうこうしているうちに夏も近づき、友人や知人たちが東京から遊びに来るようになった。それぞれ沖縄に期待することは違ったが、観光や食事などをしつつ沖縄で一緒に時を過ごすのは、都会で過ごす楽しさとはまた別の楽しさがあった。
また、こちらでできた友人たちを時々自宅に招いてホームパーティーをするようにもなってきた。こうなると、自分にとっての人生のホームグラウンドが2つあるようで嬉しかった。ちなみに、都会が恋しい欲求だけは時々顔を出すので、2、3カ月に一度の帰省の折に思いっきり満たすことにしている。