連載コラム『サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック』では、会社員が身につけておきたいマネーに関する知識やスキル・テクニック・ノウハウを、ファイナンシャルプランナーの中村宏氏が、独断も交えながらお伝えします。
改めて、「ふるさと納税」とは?
最近、新聞や雑誌で「ふるさと納税」が取り上げられることが多いため、仕組みをご存知の方は多いでしょう。「少ない自己負担で地方の特産品などをゲットできるおトクな制度」であることから、今年既に「ふるさと納税」を活用した方も多いのではないでしょうか。
「ふるさと納税」とは、自分が選んだ都道府県や市区町村へ寄附をすることです。寄附した額のうち2,000円を超える部分については、所得税と住民税から原則として全額が控除されます(ただし、一定の上限額があります)。寄附をした自治体からは特産品などの返礼品が送られてくることが多いため、魅力的な特産品を得ることを目的に「ふるさと納税」をする人が増えています。2016年度の「ふるさと納税」の額は、前年の1.6倍に増える見込みであることが先日報道されています。
実質2,000円の自己負担ですむ「ふるさと納税」の上限額は、本人の収入、家族構成、配偶者の所得、社会保険料の額、生命保険料や地震保険料の控除額、住宅ローン控除額などによって異なります。独身の会社員の方の上限額の目安は以下の通りです。
例えば、独身の会社員で年収500万円の方の場合、12月末までの1年間で目安6万1,000円までのふるさと納税は、実質自己負担額が2,000円ですむことになります。したがって、この方が今年既に3万円のふるさと納税をしていた場合、年末までにあと3万1,000円の枠があると考えることができます。
年末調整に調べた情報を使えば、もっと詳しく上限額を確認できる!
実質自己負担額2,000円で目いっぱいふるさと納税をし、各地の特産品などをゲットしたい方は、そろそろ年末を迎え、自分の今年の所得が確定する時期ですので、より詳しく上限額の目安を調べてみてはいかがでしょうか。
ちょうど今の時期、会社員の方は年末調整の書類を記入した方が多いでしょう。書類に書き込んだ情報などを使えば、詳しく上限額参考値を試算することが可能です。総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」を始め、ふるさと納税サイト(「ふるさとチョイス」「さとふる」など)に試算する機能がついていますので、活用してみてはいかがでしょう。
「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を使って手間を省く
ふるさと納税を行ったあと、所得税、住民税の控除を受けるには、原則として確定申告が必要です。ただし、確定申告が必要ない会社員等で、1年間のふるさと納税先が5つの自治体までの場合、確定申告をしなくても税金の控除を受けられる「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を活用することができます。
特例制度を利用するためには、ふるさと納税をした自治体から送られてくる「寄附金控除に係る申告特例申請書」に必要事項を記入し、個人番号確認及び本人確認書類を返送する必要があります。手元に「寄附金控除に係る申告特例申請書」がない場合は、自治体のサイトからフォームを出力して使うことができます。フォームはどの自治体のものでも同じです。
2016年の申請書の返送期限は2017年1月10日必着です。期日に間に合わなかった場合は、別途住んでいる市区町村の最寄りの税務署で確定申告をする必要がありますので、忘れないようにしましょう。なお、確定申告の期間は2017年2月16日から3月15日までです。
執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)
ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。
「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。新著:『老後に破産する人、しない人』(KADOKAWA中経出版)
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