社会人になり、順調に働いて貯金もして……と夢が膨らんでいても、どうしてもうまくいかず退職したり転職したりすることもあります。転職する予定がうまくいかず、無職になってしまうこともあるでしょう。

たくさんダメージを受ける中で奨学金のことにまで考えが回らないことがほとんど。延滞が続くと大変なことになることは前ページでご案内しました。このページでは、元気な今のうちから返還が遅れそうなときにやるべきことを知っておきましょう。

第一にやること

減額返還制度または返還期限猶予制度の手続きをしましょう。とはいえ、何からどうしたらいいのか分からない……という場合は奨学金返還相談センター(0570-666-301)に電話をしましょう。祝日と年末年始を除く月曜日から金曜日の8時30分から20時までつながります(もしかしたら聞かれたくないことも聞かれるかもしれません。そこは我慢してくださいね)。

恐らく、減額返還制度または返還期限猶予制度を案内されることになります。ただし、どちらも延滞していると利用することができないので、延滞になる前に早めに手続きをするか相談センターに連絡をしましょう。

減額返還制度

減額返還制度を利用すると、本来の返還金額の1/2または1/3だけを返還することができます。

対象者は、災害や傷病、経済的理由などにより返還困難な方です。ただし、第一種奨学金の「所得連動返還方式」を選択している場合は利用できません。月賦・半年賦併用を利用している場合は、自動的に毎月のみの返還(月賦返還)に切り替わります。

ただし、振替口座(リレー口座)からの引き落としによって返還している方しか減額返還制度を利用することができません。返還が難しくなってから口座の手続きをすると、口座手続きが完了するまでは従来通り返還しなくてはいけないので、まだ手続きをしていない方は今のうちにしておきましょう。

経済的理由の目安は、年間収入金額325万円以下。配偶者や子供など家族を扶 養している場合は1人につき38万円を引いた金額になります。また、病気やケガで治療や療養している場合には「医療費支払申告書」を、ご両親や兄弟に生活費や医療費を援助している場合には、「生活費補助理由書」や「医療費補助申告書」を提出することで基準が緩和されます。

1回の願出で12カ月間減額でき、最長で15年間減額返還することができます。ただし、返還総額は減りません。毎回の返還金額が減るため、返還期間は長くなります。

  • 【減額返還制度】出所:日本学生支援機構サイト

返還期限猶予制度

返還期限猶予制度は、返還を待ってもらう制度です。猶予期間は1円も返還する必要がありません。対象者は、災害や傷病、経済的理由だけでなく、海外派遣や海外に留学している方も対象になります。

経済的理由の目安は、減額返還制度とほぼ同じです。経済的理由の場合、1回の願出で12カ月猶予され、通算で10年が限度となります。ただし、減額返還制度と同じように、返還総額は減りません。待ってもらった分だけ返還期間が長くなります。

  • 【返還期限猶予制度】出所:日本学生支援機構

減額返還制度と返還期限猶予制度、どちらを使うべきか

どちらの制度も、返還する総額が減るわけではありません。いずれ長い期間をかけて返還しなくてはいけません。であれば、少しずつでも返還していく減額返還制度の方をお勧めしています。

ないものをどうやって返還するのか。前回もご案内したように、返還のスタートは10月ですが、今から返還がスタートしたと考えてまず6カ月分のゆとりを作っておきましょう。そうすると1/3に減額した場合、1年半分の返済総額が貯まっていることになります。万が一の場合、気持ちの面でも随分楽になることと思います。

また、繰上返済する方法もありますが、2017年度に卒業した場合の利率は、大体0.01~0.47%と低金利になっています。繰上返済は利息の減らすことを狙って行うものですが、低金利であるためそれほど利息の軽減効果はないので私はお勧めしていません。繰上返済するよりも、万が一のために奨学金の返済専用の口座に貯めておいた方が安心できるかと思います。

お金を借りることは悪いことではありません。必要なお金を借りたり返したりすることは社会人として当然の行動ともいえます。社会人として無理なく返していけるように今から準備をしておきましょう。

国分さやか

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お金の教室 おさいふほんわか心もほんわか 代表
創価大学教育学部を卒業後、旧日本興業銀行の保険代理店や政府系金融機関に従事。"得をする方法を知りたい!"という一般生活者が多いものの、実は金融知識の不足から損をしている場面、しかも損をしていることにすら気付かない場面があまりに多い現実に問題意識を抱く。これを解消することを決意し、金融教育に携わる仕事を希望してFPの資格を取得。金融資産が増やすことだけでなく、幸福度数も増えることを大切にしている。現在、個人相談業務と並行して、金融の基礎知識を学ぶためのセミナーやFP資格講座、高校・大学、企業への出張講義などで活動中。


2013年
・第4回日本一のマネー講師決定戦E1グランプリにてグランプリ受賞
・第4回FP向上のための小論文コンクールにて奨励賞受賞
2014年
・三省堂より初めての出版(その後、学研出版等より計5冊の出版)
・日本FP協会電話相談員
・資格の学校TAC専任講師
2015年
・NHKラジオ「午後のまりやーじゅ」「ごごラジ!」お金のコーナー担当
2016年
・日本FP協会パーソナルファイナンスインストラクター

<保有資格>:CFP、FP技能士1級、相続アドバイザー2級、小学校教諭第一種、幼稚園教諭第一種