特集「新入社員マネーA to Z」では、新入社員の皆さんにお伝えしたいお金の話をリレー形式でご紹介します。

奨学金返済の道のりを整理しよう

新品のスーツに身を包んだ新入社員の皆さんをたくさん見かける季節になりました。中には学生時代に日本学生支援機構の奨学金を利用していた方もいるでしょう。学生時代には借りていた奨学金ですが、今後は返還する立場になります。実際にどのように返還していくのか、ここで整理しておきましょう。

返還のスケジュール

返還は、貸与が終了した月の翌月から数えて7カ月目からスタートします。2018年3月まで借りていた場合は2018年10月から返還が始まります。

返還の方法には、「月賦返還」と「月賦・半年賦併用返還」の2つの方法があります。月賦返還は、毎月返還する方法です。月賦・半年賦併用返還は、毎月だけでなく1月と7月にも返還する方法です。

どちらも、在学中に手続きをした振替口座(リレー口座)から引き落とされることによって返還となります。まだ手続きをしていない方は口座引き落としの手続きをしましょう。納付書による返還よりも引き落としによる返還の方が、延滞時にメリットがあります。

どのようにしたか記憶にない……という方は、振替口座(リレー口座)の手続き完了通知が郵送で届いているはずなので確認してみましょう。また、通知が見当たらないという方は、年に1回届く「振替案内」が届くのを待ってみましょう。月賦返還の方は毎年5月に、月賦・半年賦併用返還の方は毎年7月に届きます。

  • 【振替案内の見方】出所:日本学生支援機構サイト

返還は、原則毎月27日に行われます。27日が金融機関の休業日の場合は翌営業日です。初回の返還は2018年10月29日(月曜日)です。2018年度の返還日は以下の通りです。月賦・半年賦併用返還の方は、2019年1月28日(月曜日)が半年賦の最初の返還日です。

  • 【2018年度の返還スケジュール】

返還のコツ

残高不足によって返還しそびれてしまうということのないように、普段使う銀行口座とは別に、返還専用の口座を作ることをお勧めしています。口座を変更する方法は日本学生支援機構「振替口座の変更」のページで紹介されています。

会社によっては2カ所に給与を振り込むことができるので、給与のうち返還金額分を返還専用の口座に振り込んでもらいましょう。2カ所に振り込めない会社にお勤めの場合は、給料日に必ず自分で返還専用の口座に入金する習慣をつけましょう。10月からと思わずに今からスタートすると、6カ月分のゆとりができます。万が一入金が遅れたりしても大丈夫です。

新入社員を待ち受けるワナ

また、新入社員の皆さんにとって入社した会社が本当に長く働くことのできる会社とは限りません。どうしても合わなくて退職や転職をすることもあるでしょう。実際に新規学卒者の3年以内の離職率は30%超に上ります。

  • 【新規学卒者の離職率】厚生労働省サイトより作成

筆者個人としては、退職や転職が悪いことだとは思いません。ですが、奨学金の返還は退職しても転職しても、たとえ転職がうまくいかずに無収入になったとしても、原則として待ってくれません。

延滞が始まった理由の80%近くは「収入が減った」というものです。仮に、収入が減ったとしても返還を続けられるように今から返還専用の口座への入金をスタートしておくことをお勧めします。

  • 【延滞が始まった理由】日本学生支援機構サイトより作成

返還できなかったらどうなるのか

うっかり残高不足で返還できなかった場合、「振替不能1回目」となります。そして、翌月分と併せて2カ月分を翌月に返還します。

  • 【奨学金減額返還の振替不能通知】出所:日本学生支援機構サイト

もし2カ月分返還できなかった場合には、上記の【例】にプラスして、連帯保証人にも連絡がいき、そして延滞金(365日当たり5%)が加算されます。

また、【例】の中に「個人信用情報」というものが登場しました。個人信用情報とは、クレジットやローン等の取引に関する契約内容や返済状況、利用残高等の取引事実を登録した情報で3社ある信用情報機関で共有されています。奨学金を返還しそびれることが続くと「延滞の事実」が登録されます。

登録が抹消されるのは、全ての奨学金が返還されてから5年後。ずっと「延滞の事実」があることで「借りたお金を返さない可能性のある人」というレッテルが貼られてしまうようなものです。そうするとクレジットカードを作ることができなかったり、自動車ローンや住宅ローンを契約することができなかったりすることもあります。

延滞が続くと債権回収会社より電話(勤務先を含む)、文書及び自宅等への訪問により督促されます。それでも返還できない場合は、裁判所に市は依頼督促の申し立てがなされ、残額を一括で返還することとなります。分割で返還することができなくなります。まとまったお金がない……といっても給与や預金が差し押さえられることもあります。

奨学金の返還は確実にできるように準備しましょう。とはいえ、どうしても返還できない事情がある場合もあります。そんなときはどうしたらいいか、次のページでご案内します。