10月には、10月特有の季節要因があります。
それは、米系ファンドの45日ルールです。
米系ファンドの45日ルールとは、米系ファンドの決算が11月末で、その45日前となる10月15日までに、もし投資家がファンドを解約するのであれば、ファンドに意思表示しなくてはなりません。
一方、ファンドの側も解約に備えて、手持ちのポジションを、同じく15日までに手仕舞わなくてはなりません。
したがって、投資家の解約が大きければ、欧米勢の6月の中間決算並みに相場を動かしてしまうことがありますので、十分な注意が必要です。
それでは、ここのところの主要通貨のポジション状況を、最近のシカゴIMMの通貨先物ポジションで、見てみましょう。
これは、9月22日時点のポジションです。
先物ですので、単位は枚数(コントラクト)になっています、
これによりますと、円やポンドのポジションがあまりないのに対して、ユーロは5月からのユーロ高に乗って、約19万1千枚のユーロロングと最近でも高水準だということです。
通常、シカゴIMMのポジションは、100,000枚を超してくると、買い過ぎあるいは売り過ぎと言われますので、19万1千枚のロングは、かなりの買い過ぎ状態だと言えます。
因みに、先物の枚数ではピンときませんので、ユーロの想定される元本金額で申し上げますと、ユーロの場合、1枚が125,000ユーロ相当ですから、19万1千枚というのは、238億7千5百万ユーロ相当となり、いかに大きなポジションであるかがお分かりいただけるかと思います。
もちろん、シカゴIMMのポジションの額が、イコール米系ファンドのポジションの額というわけではありません。
しかし、相場の流れからすると、やはり米系ファンドもユーロロングを結構持っているものと思われます。
それが、この45日ルールにしたがって、今月前後から15日にかけて、ユーロロングのポジションを手仕舞うためにユーロを売りが出るならば、ユーロのポジションが大きいだけに、ユーロ/ドルに結構な売り圧力が加わる可能性があるということです。
私は、これまで、ユーロ/ドルについては、11月の米大統領選までレンジ相場だと見てきました。)
しかし、ここにきて、ヨーロッパでの新型コロナウィルス感染再拡大やECBのユーロ高けん制発言により、先月、ユーロは1.1710~1.1970近辺でのレンジ相場を下に抜けてきました。
つまり、テクニカル的に、下げやすくなったと言えます。
そして、今回お話しした米系ファンドの45日ルールが加わるということになると、今月は一層ユーロの売り圧力は強まって。下落リスクが増す可能性が高く、十分な警戒が必要です。
これが今年に限ったことではないことを、過去2年の例から見てみましょう。
まず、2018年の10月です。
この年は、円ショートが10月2日時点で114,046枚と多かったため、手仕舞いは円買いドル売りになりました。
また、ポンドは59,340枚のショートでした。
因みに、この時点のユーロは7,101枚のショートでした。
くっきり、10月4日から15日にかけて、円ショート(ドル買い)の手仕舞い売りが出ていることがわかります。
10月4日から14日で、ポンドの買い戻しが行われています。
次に、2019年10月です。
この年の10月1日時点では、ユーロショートが65,978枚、ポンドショートが77,092枚と、いずれも100,000枚を超えてはいませんでしたが、10月に入り、それぞれ顕著な買い戻しが起きています。
因みに、この時点での、円は13,917枚のロングでした。
ユーロショートの買い戻しが、10月1日から15日にかけて行われました。
ポンドショートの買い戻しが10月10日から15日で行われました。
ポンドのように、手仕舞う期間が短い場合もあります。
繰り返しますが、IMMポジションと米系ファンのポジションはイコールではありませんが、非常に呼応していることがお分かりいただけると思います。
このように、季節要因は相場に多大な影響を与えますので、無視できません。
十分ご注意ください。