相場が上がったり下がったりするとフィーリングが湧くことがあると思います。このフィーリングは、結構当たっていることが多く、その点については、自信を持って良いかと思います。

ただ、問題は、このフィーリングが実際になるには、想像以上に時間が掛かるということです。そのことに気づかないばかりに、苦労することが結構あります。

まず、言えることは、ひとつのフィーリングが湧くのが、自分一人ではないということです。

自分自身と相前後して、実は多くのマーケット参加者が、同じようにフィーリングが湧き、そして、ほぼ同時にマーケットに飛び込んできます。

それによって何が起きるかと言えば、極めて短時間に、ポジションが一方向に偏り、売り過ぎ、買い過ぎになり、むしろそこからの反動の方が大きくなってしまいます。

これが、「相場のアヤ」の原因であり、誰かが悪いのではなく、結局のめり込んでしまった自分達自身が悪いことになります。

相場の反動が一巡すると、結局思惑通りの方向にまた進み、「やっぱり、合っていたじゃないか」と恨み節が出ることになります。

ですので、もしも、たまらず飛び込むにしても、早く飛び込み、早く勝ち逃げすることが大事です。

もたもたしていたら、反動のうねりに飲み込まれます。

あるいは、最初から、この一連の「相場のアヤ」にはつき合わず、後からゆっくりとくる本当の動くタイミングを待つことです。

ただし、本当に動きタイミングがどこかを探すのは、決して簡単なことではありません。

そこで、動くタイミングを教えてくれる手法をご紹介しましょう。

それは、ボリンジャーファイブと呼んでいます。

通常、ボリンジャーバンドは、レンジの上限下限を知るものですが、ボリンジャーファイブは、相場の動き出すタイミングを教えてくれます。

通常のボリンジャーバンドは、期間を20とか21にしますが、ボリンジャーファイブは、期間を5にし、偏差を2にします。

そして、左図のように上下のバンドが収束し平行になると、動くタイミングが来たことを示唆します。

さらに、欲を言えば、右図のように、寄り付きと引け値が近く、上下にヒゲが出た寄せ線が出現すると、さらに動く可能性が高くなり、この例で言えば、大きく下げています。

また、この左右の図で共通して言えることは、収束し平行になるまでの5本のろうそく足がほぼ横這いとなっている点です。

つまり、本当に大きく動く前は、相場の値動きが収束し横這いとなるものだということがわかります。

また、運用面で注意しなくてはならないのは、ボリンジャーファイブは、動くタイミングは教えてくれるけれども、方向は教えてくれないということです。

そこで、実際、併用して使える方向を示唆するツールを探しましたが、残念ながら見つからず、現在は、自分の相場観と併用しています。

また、後出しじゃんけん的ではありますが、一方向に動き出してから追随するということもしています。

方向性を見出すという点に、今後に課題を残しながらも、いずれにしても、相場の動き出すタイミングを知ることができるということは大変価値のあることだと思っています。

また、相場の動き出すタイミングを知るという上では、複数の移動平均線の収束からも示唆されます。

これは、ボリンジャーファイブほどのピンポイントのタイミングはわかりませんが、逆にボリンジャーファイブよりも、早く動き出すタイミングが近い将来やってくることを教えてくれます。

したがいまして、ボリンジャーファイブと複数の移動平均線の収束を併用することが、有用ではないかと見ています。

水上紀行(みずかみ のりゆき)

バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀において為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。なお、長年FXに携わって得た経験と知識をもとにした初の著書『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』が2016年1月21日に発売された。詳しくはこちら