ユーロ/円は、昨年4月の米朝関係緊迫化以降、米系ファンドによって大きく買い上げられ、さらに昨年12月にはトランプ政権によるエルサレムをイスラエルの首都に認定するとの決定により、さらに上昇しました。
結局、昨年4月から今年の1月までで約22円の上昇を見る大相場となり、一部大手米系投資銀行からは、140円を目指すという見通しまで出ていました。
しかし、実際の相場はその後反落となりました。7円も反落し、それでも買い気は強かったのですが、先週急落してきています。
実は、昨年4月以降の上昇過程で、米系ファンドの買いが目立ちましたが、大きく上げても利食いらしい利食いが入ってきた形跡がなく、どうしたのだろうと思っていましたが、とうとうここにきて、出てきているように思われます。
大手の米系ファンドも含め大口の仕手筋のことをビッグプレーヤーと呼びますが、今回のユーロ/円もこのビッグプレーヤーの動きが注目されます。
ビッグプレーヤーの動きは、彼らは彼らなりの考えはあるのですが、取引の期間が長く、傍目には、実に唐突に表れるように感じるものです。今回も5月23日から、突然ユーロ/円が売られ、週末までの3日間で3円の急落をしています。そして、週末のニューヨーククローズは、週足の大きなサポートである127.50を挟んだ形となりました。
今後についての私自身の見方は、もしかすると、昨年4月の上昇のスタート点である115円近辺まで全戻しする可能性があるということです。その根拠をお話しするに当たって、相場の特性であるリターンエースについて、説明しなければなりません。
相場における「リターンエース」とは?
「リターンエース」とは、テニス用語で、相手のサーブを打ち返してポイントを取ることを言い、そこから命名しています。
一般に「窓埋め」とは、金曜のニューヨーククローズと月曜のシドニーオープンの間で、実際に窓が開いた場合、相場にはこれを埋めに行く特性があるというものです。
そして、リターンエースとは、広い意味での窓埋めのことを指します。例えば、長大陽線、長大陰線、連続陽線、連続陰線などを窓と見立てるもので、実際にも、この窓を埋めに行く特性があります。
そこで、上図の縦長の楕円形で囲われた部分が、今現在リターンエース、つまり窓埋めされる可能性があるところです。
期近では昨年6月26日の週の大陽線、さらにその前には昨年4月17日からの三連続陽線があります。
既に昨年6月の大陽線の中に、実勢値が入り込んできており、これが実際に窓が埋まるということになりますと、大陽線の寄り付きである124.50近辺まで下げることになります。
そして、昨年の4月からの三連続陽線と大陽線の間には、一月ぐらいの踊り場ができていますので、いったんは下げも落ち着くと思われますが、三連続陽線を埋めないとマーケットも落ち着きを取り戻せないものと思われ、結局、115円近辺まで下げて窓を埋めることになるのではないかと考えています。
これは、あくまでもテクニカルな話ではありますが、先にも申し上げましたように、さらなる上昇への期待が強かったためか、ビッグプレーヤーの利食いがほとんど進んでいなかった点は、大きいと思います。
そして、現状の128.15から115.50近辺まで12.65円、ユーロ/円が下がるということは、もちろん、ドル/円にも影響が出ると思われます。
ドル/円は、一転して、再び105円を見ることになるのではないかと考えています。ドル/円も、ここのところの上昇基調で、上を見るマーケット参加者も増えているだけに、意外な展開になる可能性があります。
このように、意外なところに円買いの伏兵が待っているものです。いろいろな角度から、マーケットを見る必要性を感じます。