航空会社のマイレージプログラム。ANAマイレージクラブやJALマイレージバンクを中心に既にマイレージカードを活用している読者も多いことだろう。基本的な流れとしては、マイルを貯めて、貯まったマイルを使って特典航空券や航空券購入時に充当できる電子クーポン、各種電子マネーなどへの交換をするという流れだ。この連載では、賢くマイルを貯める方法から賢く使う方法まで、マイレージのイロハを紹介したい。

  • 「フライトマイル」の仕組みを知るには、まずは積算率をチェックしよう

    「フライトマイル」の仕組みを知るには、まずは積算率をチェックしよう

空で貯めるか・陸で貯めるか

まず、マイルを貯める方法としては大きく分けてふたつある。ひとつは「フライトマイル」。会員になっている航空会社をはじめ、提携航空会社の便でも搭乗することで距離に応じてマイルを貯めることができる。

そしてもうひとつは「陸(おか)マイル」といって、日常生活でポイントを貯めていくことであり、最も代表的なのが提携クレジットカードのショッピングや公共料金の支払いなどでマイルを貯めるクレジットカードマイルになる。ANAカードやJALカードなどが代表的なマイルが貯められるクレジットカードである。

同じ羽田=那覇でもマイル数はこう変わる

今回ピックアップするのは「フライトマイル」。実際に飛行機に乗って貯めることができる王道のマイルの貯め方であるが、ANAやJALにおいては「区間基本マイル×積算率=積算マイル数」が原則になる。そこで重要となってくるのが「積算率」である。積算率は利用する運賃ごとに設定されており、積算率が高いほどより多くのマイルが貯められることになる。

国内線においては、普通運賃やビジネスきっぷなどにおいては100%、ANAでは「旅割」「特割」、JALでは「先得割引」「特便割引」や両社の株主優待割引などといった割引運賃の多くは75%、ツアー商品などで使われる運賃などにおいては50%積算となる。ビジネスパーソンが多く利用する羽田=大阪(伊丹)線では区間基本マイルは280マイルとなっており、100%運賃であれば280マイル、75%運賃であれば210マイル、50%運賃であれば140マイルの積算となるのだ。

  • 同じ羽田=那覇でも普通席なら、普通運賃は100%積算、「旅割」「先得割引」なら75%積算となる

    同じ羽田=那覇でも普通席なら、普通運賃は100%積算、「旅割」「先得割引」なら75%積算となる

もしANAカードやJALカード会員、また両社の上級会員になっていれば、規定のボーナスマイルが加算されるほか、国内線上級クラスのANA「プレミアムクラス」とJAL「ファーストクラス」においては積算率が50%アップ、JAL「クラスJ」は10%アップとなる。区間基本マイルは、羽田=新千歳で510マイル、羽田=福岡で567マイル、羽田=那覇で984マイルなどとなっている。

国際線の狙い目はプレエコ!?

国内線では距離も短いので積算マイルは大きくは変わらないが、国際線においては積算率によって獲得マイル数が大きく変わる。ANA・JAL共にファーストクラスは150%、ビジネスクラスは125%(一部70%積算運賃もある)となっているが、エコノミークラスにおいては100%・70%・50%・30%と4つに分類される。

特に期間限定で発売されるスペシャル運賃においては30%積算というケースが多く、東京=ニューヨーク間においては100%積算であれば片道6,723マイルが貯まるが、70%積算だと4,706マイル、50%積算だと3,361マイル、30%積算に至っては2,016マイルしか貯まらない。日本発着路線の国際線においては、各社のホームページの空席照会画面をチェックすると実際に何マイルが貯まるかが表示される。

上級者になれば、予約する際に小さく書かれているアルファベット1文字の「予約クラス」で積算率を判断することができる。予約クラス別の積算率は各社のホームページでチェックできるので確認してみよう。

最近のANA・JALにおける注目運賃は、エコノミークラスとビジネスクラスの中間席である「プレミアムエコノミークラス」。プレミアムエコノミー利用の割引運賃も多く出始めており、マイル積算率は割引運賃でも100%積算がほとんどとなっている。マイルも上手に貯めたい人は、プレミアムエコノミーの運賃もチェックするといいだろう。

  • 100%積算であれば、東京=ニューヨーク間で片道6,723マイル貯まる

    100%積算であれば、東京=ニューヨーク間で片道6,723マイル貯まる

外航では運賃に応じてマイルが決まるケースも

このように、ANAやJALなどの日系航空会社は、区間マイル×積算率で積算マイルを計算できる。その一方で、ユナイテッド航空・デルタ航空・アメリカン航空などは、一昔前まではエコノミークラスはどの航空券でも100%積算という時代もあったが、今では購入した運賃額に応じてマイルが付与される仕組みになった。

具体的には、1USドルあたり5マイル積算となり、多頻度利用者である上級会員になれば最大11マイル積算となる。つまり、往復1,000ドル(約11万円)の航空券だと5,000マイルしか貯まらない計算となる。家電量販店のポイントプログラムに近いルールといってもいいだろう。

更に海外の一部の航空会社では、マイル積算不可や自社プログラムのみ積算できるケースも出てきているなど、昔のように飛行機に乗るだけでたくさんのマイルが自動的に貯まるというのは難しくなっている。航空券を購入する前の段階でマイル積算率をチェックしておくことを忘れないようにすることで、上手にマイルを貯めていただきたい。

※写真はイメージで本文とは関係ありません

筆者プロフィール: 鳥海高太朗

1978年千葉県生まれ。帝京大学経済学部地域経済学科非常勤講師。また航空・旅行アナリストとして、航空会社のマーケティング戦略を主研究に、自らも国内外を様々な航空会社を利用しながら体験談を中心に各種雑誌・経済誌などで執筆しているほか、テレビ・ラジオなどにも出演するなどメディアを中心に情報発信をしている。著書に「天草エアラインの奇跡」(集英社)、「エアラインの攻防」(宝島社新書)などがある。