こんにちは。管理栄養士の大柳珠美です。このコラムでは、忙しいビジネスパーソンでも手軽に実践できる内臓脂肪を減らす食生活情報を、お伝えしていきます。

糖質について

痩せたいと思っている人の、1日に必要なカロリーは前回お伝えしましたね。今回は、太る一因とも言える糖質から必要なカロリーを摂取しない食事の仕方についてお話します。

糖質は、たんぱく質・脂質と並ぶ3大栄養素の1つ、炭水化物の構成成分です。口に入った糖質は、小腸でブドウ糖に分解、吸収され、血糖となって血液中に入り、全身に運ばれて速効性の高いエネルギー源となります。また糖質と一概に言ってもいくつかの種類があり(下記の表参照)、中でもブドウ糖など1つの分子からなる単糖類は、消化・吸収のスピードが早く、より速攻性の高いエネルギー源です。その分、摂りすぎれば第2回でご説明した食後高血糖を起こし、肥満の原因になりやすいとも言えます。

糖質の種類

種類 代表的なもの 含まれる食物
単糖類(1つの糖からなる単糖) ブドウ糖質(グルコース) 果物、はちみつ
果糖(フルクトース) 果物、果汁、はちみつ
二糖類(単糖が2個結びついているもの ) ショ糖(スクロース) 砂糖
麦芽糖(マルトース) 水あめなど
乳糖(ラクトース) 母乳、牛乳
オリゴ糖(単糖が3個~20個程度結合したもの) フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖など 人工甘味料
多糖類(たくさんの単糖が結合したもの) デンプン 米などの穀類、芋類

果汁入り飲料をはじめ、砂糖たっぷりのお菓子やパンに含まれる単糖類や二糖類の摂取は、タイミング、量ともに注意が必要です。「食べたいな」と思っても頻度は1日1回、15時のおやつに少量程度にし、就寝前や食べたいときに口にするなんていうのは避けましょう。

糖質は3度の食事で摂取するのを心がけ、ごはん、パン、めん、芋類などから1膳、1枚、1皿など1人前を目安に確保することが大切です。玄米、ライ麦パンなどのような未精製の穀物は、血糖値をゆるやかに上昇させるとも言われています。また、未精製の穀物には糖質をエネルギーに変えるビタミン類も豊富です。上手に活用しましょう。

見えない糖質にご用心

このように糖にはいくつか種類があり、お菓子からだけではなく普段の食事の中で糖質を摂取していることが分かったかと思います。内臓脂肪を減らすには、甘い味のついた飲み物や砂糖たっぷりの菓子類を控え、ごはんやパン、麺など主食から糖質を確保していく必要があります。その際に案外、見落としがちなのが、おかずに含まれる糖質です。春巻きやギョウザ、シュウマイに使われる皮は小麦粉(多糖)で作られています。ハンバーグや肉団子には、つなぎとしてパン粉や小麦粉が多々使用されています。中華総菜の海老や豚肉は、小麦粉や片栗粉(多糖)をつけて一度、油で揚げられ、さらに片栗粉で作られた"あん"がたっぷりからんでいるものも少なくないでしょう。またサラダでも、ポテトやマカロニを使用したものには糖質がたっぷり含まれています。煮物に入っている、かぼちゃ、じゃがいも、里芋も糖質の多い野菜です。洋食料理のつけあわせのフライドポテト、バターコーンなども糖質を豊富に含んでいると言えます。

一見すると、見落としがちなおかずに含まれる糖質ですが、注意しながら主食とおかずを選んでいくことが糖質過多を防ぐ秘訣となります。おいしいからと言って、糖質の多い食べ物の「誘惑」に負けないよう頑張ってくださいね。

次回は、血糖値の上がりやすさを表す指標:グリセミック・インデックス(GI値)の考え方をご説明しながら、食後高血糖を防ぐ糖質摂取のコツについてお伝えします。

イラスト:いいあい