会場に足を踏み入れるとそこは薄暗く、遠くにライトに照らされたクルマが浮かび上がって見えた。会場はなんと東京都心の日比谷公園内の地下駐車場。ワンフロアを占有してアウディ クワトロの誕生30周年のスペシャルパーティーが開催されたのだ。

Audi quattro Night 30th Anniversary Special Eventは、赤く怪しく光る地下に入ることからはじまる

ヤモリ=Gekkoはアウディ・クワトロの象徴。垂直面でも走れるヤモリは4WDのクワトロと似ているというわけだ

Audi quattro Night 30th Anniversary Special Eventの会場はなんと東京のど真ん中にある日比谷公園の地下駐車場でド派手に開催された

動画

アウディナイト

アウディS1激走

チーム青森登場

田原俊彦登場

東京の夜の日比谷公園に派手なタイヤのスキール音が鳴り響いた!!

会場の雰囲気はもちろん、演出は超ド派手なものだった。リーマンショックまでは日本の自動車業界でも派手な新車発表会やブランドのイベントは開催されていた。当時のイベントのなかには1億円から3億円もの費用が掛けられているものもあった。だが最近はこうした派手なイベントはめっきり姿を消し、自動車メーカーによっては新車発表会を開催しないことも珍しくはなくなった。

こうした国内の自動車事情のなかで異例とも言える盛大なイベントを開催できたのは、アウディジャパンの販売が好調だからだ。少し前までアウディはメルセデス・ベンツやBMWに次ぐブランドとして認知されていたのだが、ブランド力を着実に身に付け、ドイツの3大プレミアムブランドにまで成長した。それは2009年の登録台数にも表れている。リーマンショック以来、国内の自動車販売は苦戦が続いているが、アウディだけは違っている。3年連続で前年比プラスという快進撃ぶりなのだ。2009年通年の登録台数は1万6171台でわずかだが前年を上まわった。経済状況を考えると、この状況下で登録台数を伸ばしたのには正直驚く。過去の販売実績を見ても歴代2位の好記録というから、さらに驚いてしまう。

世界販売でもアウディは好調だ。最新のアウディAGの第1四半期の販売台数を見ると、過去最高の約26万4100台。世界でのアウディ販売は前年同期比約26%も増加した。絶好調を維持するのは新規で投入したA5、Q5と、モデルチェンジ後の新型A4の販売が好調なためだ。クルマの造りやドライビングフィールもプレミアムクラスにふさわしいもので、こうした点がユーザーに評価されたとも言えるだろう。

ライバルメーカーが羨むようなこうした背景によって、バブル期以上に"熱いナイトパーティー"が開催できたわけだ。他のインポートブランドはもちろん、レクサスでも最近はイベントなどがほとんどないため、報道関係者に与えたインパクトはかなり強烈だった。また、このイベントは関係者だけでなくアウディユーザーや一般も招待された。こうした顧客を大切にする姿勢も、アウディファンを生み出す原動力になっているに違いない。約2000人が日比谷公園の地下駐車場に集まるだけでも、どこか秘密めいていてユニークなイベントなのに、会場をアウディが派手なスキール音をたてて爆走するのだからおもしろくないわけがない。

会場にはフラッグシップのアウディR8 5.2FSIクワトロをはじめ、TTRSクーペなど最新のクワトロモデルがずらりと並べられた。最大のインパクトはこれらのクルマがただ並べられただでなく、会場を疾走すること。レーシングドライバーのアンドレ・ロッテラー氏やアウディのドライビングレッスンを行うアウディドライブエクスペリエンスのインストラクターが、狭い駐車場内をドリフトして走りまくる。駐車場には排気ガスとタイヤが焼けたニオイが漂うが、招待客はシャンパンを片手に大盛り上がりなのだ。大音量の音楽とエンジンのエキゾーストノート、タイヤスモークに酔いしれているという異空間。景気がよかったバブルのころでもこんな派手なパーティーはなかったはずだ。

招待客は華麗なドライビングを見ているだけではない。抽選で当たった招待客とゲストは同乗試乗もでき、クワトロの優れた走行性能に驚きの声を上げていた。ゲストのバンクーバーオリンピック・カーリング代表のチーム青森の"マリリン"も同乗走行を体験し、アウディ クワトロの優れた走行性能と動力性能にビックリしていた。

リーマンショック以降はプレミアムブランドであってもイベントはほとんど行われなかったが、販売好調のアウディは盛大にクワトロの30周年記念イベントを開催した

田原俊彦氏も来場。アウディを所有したことはないが、昔の彼女が乗っていたというエピソードを披露

カーリング娘として注目を集めるチーム青森もイベントを楽しんだ。中央の男性はアウディジャパンのドミニク ベッシュ社長

モータースポーツファンにはたまらないスペシャルステージも用意されていた。なんと伝説のラリーマシン、アウディ スポーツ・クワトロS1も地下駐車場内を激走したのだ。それもドライバーは元ラリードライバーのハラルド・デムート氏。ラリーマシンだけに狭い会場でもクイックなコーナリング性能とクワトロによるスタートダッシュのパフォーマンスの高さを見せつけた。会場ではこの他にカジノやレーシングシミュレーター、アウディオリジナルプリクラなどのアトラクションが設置され、来場者は地下駐車場とは思えない異次元の空間で楽しんでいた。また、CRAZY KEN BANDのミニライブも開催され、会場は大いに盛り上がった。

ちなみに今回駐車場を激走したアウディ スポーツ・クワトロS1は、クワトロ発表30周年を記念してドイツのアウディミュージアムからアウディジャパンに貸し出された車両。6月末日まで、アウディ フォーラム東京(東京・表参道)で見ることができる。

会場である駐車場には多くのマスコミが詰めかけた

アウディのスペシャルカクテルやシャンパンを味わいながら、R8やTTRSの激走をすぐ近くで楽しめるという演出

もちろん自動車で来場した人のためにソフトドリンクも用意されていた

あれ、シューマッハーはフェラーリからメルセデスの人になったのになぜアウディに? と思ったら飲酒運転撲滅のキャンペーンでした

多くの一般招待客も集まり、公園の地下駐車場に出現した異次元の空間を楽しんでいた

一般の来場者もTTRSやS5、R8に抽選で同乗試乗することができ、その抽選に長蛇の列ができた

会場にはなんとカジノまで用意されていた

入場時に渡されたチケットを使っていろいろなアトラクションを楽しめた

ドライビングシミュレーターも大人気だった

クワトロの威力を発揮する路面状況を再現。プレミアムSUVのQ7はスノーロードに置かれていた

A5スポーツクーペは雨で濡れたウエット路面を再現

RS6はターマック(舗装路)での卓越した走行性能を表現

S3スポーツバックはグラベル(未舗装路)での安定した走行をイメージ

Audi Sport quattro S1をドライブしたのは、この日のためだけにわざわざドイツから来日した元ラリードライバーのハラルド デムート氏。華麗なドライビングテクニックを披露した

Audi Sport quattro S1は1985年に登場し、クワトロの優れたトラクション性能と操縦性でWRC(世界ラリー選手権)の常勝マシンとなった。車内には懐かしい雰囲気が漂う

リヤにもドライブシャフトがあるのが見える

クワトロの歴史をパネル展示。クワトロは1980年のジュネーブショーに登場。日本ではスバルが乗用4WDのパイオニアだが、プレミアムブランドで4WDを成功させたのはアウディが初だ

日比谷公園の地下駐車場は一夜だけ、クワトロだけのために開放された

レーシングドライバー アンドレ ロッテラー氏は、スーパーGTでアウディのライバルであるレクサスに乗っているのに…と思ったら、ル・マンでアウディ ワークス ドライバーとしてAudi R15 TDIに乗っているためだった。この日のイベントでTTRSのドライバーを務めた

来場者はスーパースポーツモデルのR8にも同乗試乗ができた

CRAZY KEN BANDのスペシャルミュージックライブも開催され、会場はさらにヒートアップした