鉄ちゃんの多くは、人に鉄道話をするのが大好き。撮影現場でも、撮影経験談を披露している鉄ちゃんを見かけます。ということは、自分もそういった話を用意していかないと、話に入りづらいですよね。今回はそんな時のための強力ツール、「アルバム」について解説します。
前回、少しだけ現場で鉄ちゃんと話ができたテツヤくん。「また鉄道の話ができればいいな」と御目出塔駅大俯瞰に行くと、先日話をした鉄ちゃんがニコニコしながら近づいてきました。彼が手にしていたのはA5サイズ程度のクリアファイル。「これ、僕が撮影したんですよ」と手渡されたファイルには、キャビネ版くらいの写真が10枚ほど入っていました。
写真は、SLマイコミ号をはじめとしたマイコミ鉄道の様々な車両を撮影したものでした。それらの写真からは、その鉄ちゃんの気合いと行動力が伝わってきます。でもテツヤくん、どんな感想をいえばいいのかわからず、「す、すごいですね」とコメント。するとその鉄ちゃんは、「そうなんですよ、実はこの日は激パで……」と話をし始めました。その様子を見た他の鉄ちゃんもアルバムを取り出して見せ合い、その場はちょっとした作品発表会といった様相を呈してきました。
そんな場にいたにもかかわらず、テツヤくんは彼らの話の半分程度しか理解ができず、発言もほとんどできませんでした。でも、わからないながらも鉄道の世界にどっぷりと浸ることができ、ちょっとした満足感を得ることができました。
このように、列車待ちの時間に見せ合うための小さなアルバムを携帯している鉄ちゃんは少なくありません。自己紹介にもなり、また話題も広がる。いいアイテムだと思いませんか? でも、もしかすると鉄ちゃんにとって"お近づきのしるし"程度のアルバムの見せ合いも、テツヤくんのような初心者にとっては戸惑うかもしれませんね。そんな時は、聞き役に徹すればいいのです。そこで撮影地や撮影時間、カメラなどについて質問すれば、情報収集にもつながりますよ。
そうは言っても、人の話を聞いているだけでは物足りないですよね。帰宅したテツヤくんは、早速自分の作品ファイルづくりに取り掛かりました。今まで写真の整理をさぼっていましたが、改めて振り返ってみると「作品」と呼べるような写真はまだないのが現実。「これを先輩鉄ちゃんたちに見せるのは恥ずかしい!!」と頭をかかえてしまいました。
しかし、そんな心配は無用です。鉄道写真は非常に難しく、素晴らしい傑作を何枚も用意できる鉄ちゃんのほうが少ないのです。傑作を用意する必要はなく、自分のやっていることを簡潔に説明できるような写真を数枚用意するだけで十分なのです。鉄ちゃん仲間と付き合っていくには、「自分がどういう鉄ちゃんなのか」をアピールすることが重要なのです。
まだ傑作といえる車両写真はないものの、ヘッドマークや人物等を主役にした写真は、「これなら鉄ちゃんたちに見せても大丈夫かな」と思えるものが数枚ありました。これまでに撮った写真を見つつ、「スナップ写真のキャリアはあるし、なかなか行動力はあるほうかな」と自分を見つめ直したテツヤくんでした。
鉄道写真の上達には「撮ること」が最も重要ですが、それに加えて「人に見せること」「整理すること」も必要です。次の撮影には、マイアルバムを持って出かけてみませんか。
ミニ情報
「別れの3月」はアツくなりすぎないで!
3月は、「銀河」「あかつき」「なは」といったブルートレインの廃止や、島原鉄道の一部区間(島原外港-加津佐)、三木鉄道の廃止があります。廃止まで1カ月を切った今となっては予約も取りづらく、撮影ポイントも混雑しており、旅や撮影を楽しむには既に遅いと言えます。他にも廃止の危機に瀕している列車や路線はあるのですから、無理に「お別れ」をしに行くよりも、冷静に他の遠征先を選びたいものです。