幼い子どもの歯磨きは、親にとって悩みの種の一つでしょう。仕上げ磨きのとき、子どもに嫌がられて苦労されている親御さんも多いのではないでしょうか。

筆者は子どもが2歳だった頃、歯磨きのたびに嫌がる子どもを羽交い絞めにして、仕上げ磨きをしなければいけないことが苦痛でした。そこで、親子ともども一日を気持ち良くスタートするためにやりとりを工夫した結果、素直に仕上げ磨きをさせてくれるようになったきっかけをご紹介します。

  • 子どもが嫌がる歯磨きをどうする?

    子どもが嫌がる歯磨きをどうする?

歯磨きは子どものため

歯磨きを子どもが嫌がっている当時、毎朝登園前に慌ただしく歯磨きをするときには、子どもの気持ちを汲んであげられない罪悪感でいっぱいになり、筆者自身も重い気持ちで一日をスタートさせてしまいがちでした。そもそも歯磨きの仕上げ磨きは、子どものためにしていること。それなのに子どもに嫌がられ、親もゲンナリした気持ちになるのは何かがおかしいと思いました。そこで普段夜の歯磨きをしている入浴時に、子どもにゆっくり語りかけてみることにしました。

「あなたが大事」ということを伝える

湯船の中でぎゅっと抱っこしながら、子どもがリラックスできる環境で語りかけました。ちなみに筆者は思いを込めて話すときはあえて子どものことを「あなた」と呼ぶことにしています。その方がお互いを大事にしあう関係として真剣な思いが通じやすいように思うからです。

「歯磨きをしないと、虫歯になってすごく痛いよ。そうなったら、ママは代わってあげたくても代わってあげられないんだよ。そうならないために、ママが今あなたにしてあげられることは仕上げ磨きしかないんだよ。あなたはどう思う? 歯磨きしてほしい? してほしくない?」すると、子どもは顔を上げて「してほしい」と言ってくれました。さらに一緒に洗い場に移ると、子どもが自分から横になって大きく口を開けてくれました。いつもならば考えられないことです。

歯磨きがしやすかったのはもちろんですが、もっと驚いたのは終わった後です。「おしまい!」と筆者が言うと、スッと立ち上がった子どもはこちらにクルリと向き直り、ニコッと笑顔で「ありがとうございました!」と言って、ピョコンと頭を下げたのです!その瞬間、爽やかな風が吹き抜けたような、なんとも言えない感動が広がりました。

子ども自身が選択できるように

今回、筆者がポイントだったと思うのは、子ども自身が歯磨きは誰のためなのか理解できたということと、自分自身で歯を磨いてもらうことを選んだということです。歯磨きは大切なこと。親としては「大事なことだから子どもが嫌がってもするべき!」という感覚で臨んでしまいがちだったと思います。しかし、子どももまた一人の人間として意思を持っており、「してもらいたいこと、してほしくないこと」「好ましいやり方、好ましくないやり方」があります。「大事なことだからするの!」という親の押し付けではなく、子ども自身に選択してもらうという手間を惜しまない方がスムーズにいくのではないでしょうか。

歯磨きを「してほしくない」と言われるかも?

親としては選んでほしくないけれど「歯磨きはしてほしくない」と言われる可能性もゼロではありません。きっとそれが怖くて筆者も「仕上げ磨きをしてほしいかどうか子どもが選ぶ」ということを考えられずにいたのだと思います。

しかし、よくよく考えてみると、虫歯になって痛いのは子どもの歯であって、親の歯ではありません。ですから、歯を磨いてほしいかどうかは子どもが選ぶことが望ましいのです。

子どもに選択させるのは、親としては勇気が要ることです。しかし、子どものことを心から大切に思っているという気持ちが伝われば、きっと子どもは自分自身を大切にした選択をしてくれると思います。筆者は、我が子が自分を大切にする選択ができると信じたいと思います。

それから半年ほど経った現在は、気分で「歯磨きイヤ」と言うこともありますが、最終的にはきちんと歯磨きをしています。筆者が夜、歯磨きを忘れて寝ようとしたときには「まだ歯磨きしていないよ!」と逆に子どもから注意されることもあります。

子どもとハッピーな生活をするには?

子どものためにと思っているのに、子どもに嫌がられると親もゲンナリしてしまうことはありますよね。余裕のないときには、イライラしてしまうこともあるでしょう。

でも、本当は家族みんながニッコリ過ごせたら一番いいですよね。幼い子どもとの生活は何かと慌ただしく過ぎていきがちですが、ぜひ少し余裕のあるときには「子どもとニコニコ過ごすことができる生活をするためには?」と、ご自身に問いかけてみてはいかがでしょうか? きっとご家庭の数だけ語りかけの言葉やコミュニケーションの方法があることでしょう。ぜひあなたのご家庭らしい工夫を見つけてくださいね。

ただくまみほ

子どもを授かったことがきっかけでお金の勉強を始めた。自分のお金の不安を安心に変えることができ、今度はかつての自分と同じように不安を抱えるママのお役に立ちたいと起業。家計相談では教育費・老後費用・起業女性支援など「その人らしく生きる」ことを実現するためのアドバイスを得意とする。また行政やNPO主催のマネー講座の講師も務めている。
わくわくライフサポート代表/ファイナンシャルプランナー2級技能士/マイライフエフピー認定ライター/マイライフエフピー認定ライター/

イラスト=オオノマサフミ