今の低金利を活かして住宅ローンを借り換えると、思いのほかトクできるケースが少なくありません。とはいえ、借り換えにはそれなりの費用がかかることも事実。賢く借り換えるために知っておきたい手続きの流れや必要な費用、注意点などをおさえておきましょう。

借り換え元への通知も必要

まず借り換えの手続きですが、最初にすることは借り換え先金融機関への申し込みです。といってもいきなり正式に申し込むのではなく、窓口で自分の借り入れ状況などを伝えて「借り換えできそうかどうか」を相談することから始めます。

相談の結果、希望どおりに借り換えできる見通しが立ったら正式に申し込みます。その後、金融機関による審査をへて融資の承認という流れになりますが、事前相談が済んでいれば手続きにさほど日数はかからないでしょう。

融資の承認がおりたら、今住宅ローンを借りている借り換え元の金融機関にも、借り換える旨の通知が必要です。借り換え先が融資実行する際に、本人の口座に入金したお金をすぐに借り入れ元の指定口座に振り込んでローンの残金を完済し、借り換え元の抵当権を抹消するのに必要な書類を提供してもらわなければなりません。融資実行から抵当権の登記手続きまでは同時に行うので、事前に借り入れ元にも日程調整などを相談しておく必要があるのです。

■借り換え手続きの流れ

最近は借り換えに必要な手続きの多くをネット上でやりとりできる銀行も増えています。忙しい平日の昼間に何度も窓口に足を運ぶ手間が省けるので便利でしょう。

借り換えには数十万円の費用がかかる

借り換えにかかる費用としては、まず借り入れ先に支払う融資手数料があります。新規に住宅ローンを借り入れる場合と基本的には変わらず、金融機関により数万円から数十万円かかるケースもあります。

抵当権の登記手続きでは、借り入れ元ローンの抵当権を抹消する費用と、借り入れ先ローンの抵当権を新たに設定する費用が必要です。それぞれ登録免許税と司法書士報酬などで合計十数万円程度でしょう。司法書士への依頼は借り入れ先の金融機関が手配してくれます。

借り入れ先ローンを組む際には保証料や保険料も必要です。保証料は返済が滞ってしまったときに備えて保証会社に支払うもので、借入額や返済期間により数十万円かかります。また、本人が万が一死亡した場合などに備えて団体信用生命保険に加入するのが通常ですが、保険料は金利に含まれているケースが一般的なので、その場合は保険料を別途支払う必要はありません。

このほか、金融機関と金銭消費貸借契約(ローン契約)を結ぶ際には2万円程度の印紙税を納めます。なお、火災保険はこれまで加入していた保険の質権を借り入れ先の金融機関に変更するだけなので、特に費用は発生しません。

これらの費用を合計すると、数十万円の金額が必要ということになります。借り換えでトクできるかどうかは、費用がいくらかかるかも考慮する必要があるでしょう。

■借り換えに必要な費用と金額の目安

なお、金融機関によっては保証料が不要なケースもあるので、その場合は費用をかなり抑えることが可能です。ちなみに借り換えをすると借り入れ元の金融機関からすでに支払った保証料の一部が払い戻されます。

返済期間を延ばすことはできない

借り換えではいくつか注意すべき点もあります。まず返済期間については借り換え元ローンの残りの期間より長くすることは原則としてできません。残りの期間が20年なら、借り換え先ローンの返済期間も20年以内になります。

今借りている借り入れ元ローンの残高が多いと、住宅が値下がりしていて担保評価額が足りなくなるケースもあります。その場合は自己資金で足りない分を穴埋めしなければ借り換えできなくなり、借り換えそのもののメリットが薄れてしまいかねません。頭金をほとんど入れずに住宅を買った人は注意が必要です。

住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供しているフラット35は全期間固定金利がメリットですが、借り換え資金として利用することはできません。ただし一部の金融機関が扱っている「フラット35保証型」と呼ばれるタイプについては、住宅が一定基準を満たせば借り換えにも使えます。

借り換え後の金利の上昇に注意

借り換え先ローンについては、金利の選択にも注意が必要になります。短期の固定金利などでは、借り換えて何年もしないうちに金利が上昇するリスクがあるからです。せっかく低金利のローンに借り換えても、すぐに金利が上がってしまっては元も子もありません。

特にキャンペーンで当初の固定期間だけ金利を大幅に優遇しているケースでは、固定期間終了後の金利上昇幅が大きくなる可能性があります。例えば3,000万円のローンを年1%台の3年固定金利に借り換えても、3年後に金利が年3%にアップすると月々の返済が2万円近く増えてしまうケースもあるのです。こうした金利の急上昇を防ぐには、固定期間が長めの金利を選ぶことも有効でしょう。

■3年固定の当初優遇期間後に金利が上昇すると

借り換えには数十万円の費用がかかることと、いくつかの注意点があることを知っておけば、失敗のない借り換えが可能になるはずです。次回は借り換えた後のローンの見直しについて考えます。

執筆者紹介 : 大森広司氏(OIKOS代表)

主な略歴 : 住まい研究塾(sumaken.jp)主宰。『住宅情報マンションズ』、『住宅情報タウンズ』、『注文住宅』、『Good リフォーム』、オールアバウト「マンション入門」など情報誌やネットで住宅関連全般にわたって取材・執筆活動を続けている。著書に『はじめてのマイホーム 買うときマニュアル』『マンション購入 完全チェックリスト』(ともに日本実業出版社)、『新築マンション買うなら今だ!』(すばる舎)などがある。

提供 : ソニー銀行

ソニー銀行が挑戦し続けるのは、金利だけでなく「借りる前」「借りた後」の利便性の追求。手続きはインターネットと郵送で完了するため、来店は 不要です。忙しい時でも、営業時間などを気にすることなくお手続きいただけます。保証料・団体信用生命保険料は0円。繰り上げ返済は1万円から、 もちろん手数料は無料です。(※お借り入れ時には、お取り扱い手数料42,000円(消費税込み)および印紙代、登記費用などの実費がかかります。) お申し込み後は担当のローンアドバイザーが、ご契約お手続きを最後までサポート。借り換えのお客さまが約60%のソニー銀行の住宅ローン。 資料請求、詳しい情報はこちらから