最近、毎週楽しみにしているTVドラマが『素敵な選TAXI』(フジテレビ系)。2014年に放送されたドラマですが、新型コロナの影響で新作ドラマが撮影中止になり、再放送されているのです。「選TAXI(せんタクシー)」は時間をさかのぼることができるタクシーですが、戻ると言っても人生を2時間くらい前からやり直す程度のタイムマシンです。
結果を知った上で人生をやり直せばうまくいきそうなものですが、想定外のハプニングや新たな事実が発覚したりと一筋縄ではいきません。このドラマは人生やり直しのドタバタ劇を描きながら、そのアイロニーとして、人生は一度選んだら後戻りできないことを語りかけているように思います。
人生で何を選ぶのか、これは選択の問題であり、選択には常にリスクが伴います。選択した結果は良いこともあれば悪いこともあるので、リスクとは危険や損失というネガティブな意味ばかりでなく、プラスとマイナスを含めた幅のある概念であることもご理解いただけるでしょう。
そして、「人生は選択の連続である」とのシェイクスピアの名言を考え合わせると、人生とは常にリスクに向き合いながら生きていくことに他ありません。おそらく、新型コロナ前はそんな意識が薄れていたのでしょう。今後も新型コロナの完全終息が見通せない中では、withoutコロナではなく、withコロナのリスクがあることを前提に、人生やライフプランを考えていく必要があると思います。
また、常にリスクに向き合いながら生きていくのが人生ならば、リスクは避けようとしても次から次に襲ってくるので、全てを回避することは至難の業ですね。リスクとは回避しきれないものだと悟れば当然、リスクと付き合っていく、つまり、コントロールするという考え方に行き着くはずです。
そして、選択肢が1つしかなければ、リスクを取る・取らないの二択ですが、複数の選択肢があれば、どこまでリスクを取れるかを考えて選べることになります。つまり、リスクをコントロールするには、選択肢を持っていることが大前提になるのです。特に、コロナ禍のような状況では、備えも含めて選択肢を持っていることがとても大切だと痛感した人も多いでしょう。このように考えると、どのようなリスクに直面しても複数の選択肢を持っていることこそが、経済的に自立していることの証なのかも知れません。
ところで、過去のTVドラマを見ていると、今やTVや映画でよく見かける俳優が当時はチョイ役で出ていたことを発見したりします。例えば、NHK朝ドラ『スカーレット』に主人公の夫役で出演していた松下洸平さんは、『素敵な選TAXI』の第2話では交番のお巡りさんというチョイ役を演じていました。朝ドラに抜擢されるまで紆余曲折はあったと思いますが、それこそ素敵な選択をされてきたのでしょう。われわれ現役世代も様々なリスクに直面すると思いますが、これからも人生100年に向けた素敵な選択をしていきたいですね。