「あなたはそのままでいい。自分らしく生きていればいつか運命の男性が現れるよ」。こんな甘い恋愛アドバイスに真っ向から反論する男がいます。その名は、"ギターを教えなくても稼げるギター講師"こと清水邦浩くん。「恋のお師匠・ジュテーム清水」の変名も持つ彼は断言します。
「恋愛は楽器演奏と同じ。正しい方法論にのっとって努力(練習)を重ねることで必ずうまくなります。自己流のやり方で彼氏ができないのであれば、僕の方法を試してみてください。運命なんて今すぐ変えられますよ」
ギター教室の生徒たちの恋愛相談を受け続けて10年。清水くんはついに「恋愛力を高める方程式」にたどりつきました。音楽とビジネスの理論を組み合わせて編み出したその方法論を惜しみなく公開します。
婚活応援ライターの大宮です。近所でギター教室を経営している清水くん(36歳)が、ギター講習と同じぐらい恋愛指南が得意であると気づいたのは2カ月前のこと。彼が唱える恋愛方程式「恋愛力(彼氏を作る力)=好きな人リスト×リピート(接触頻度)×コミュニケーション力」の概要は前回記事をご覧ください。
「好きになれる異性」は世の中にたくさんいる
今回は「好きな人リスト」の重要性と作成法に関して清水くんの講義を聴きたいところ。席に着くと、話し上手の清水くんはあるエピソードを語り始めました。
「僕の友人の男性が、『10年以上も片思いをしていた人がついに結婚してしまったけれど、自分は今でもその人のことが好きなんだ』と涙ながらに話してくれたことがありました。いちずな純愛ですね。ドラマや演歌の世界なら美談でしょう。でも、世の中それでは回っていきません。自分が相手に受け入れてもらえないという答えは10年以上前に出ているのです。その人は無理なのだという事実を受け入れて、乗り越えていかなくては何も始まりません」
言いたい放題の清水くんですが、優しく前向きなアドバイスも忘れません。「可能性がほとんどない相手に対してそんなに頑張る必要はない、他にも素敵な未婚女性はいくらでもいるよ、と彼には伝えたいですね。『たった1人の運命の恋人』なんて思い込みに過ぎません。好きになれる人は世の中にたくさんいるに決まっているじゃないですか」。
ギター教室の下でコーヒーショップを営む奥さんからは「もし私と別れても、あなたはすぐに次の女性を見つけるでしょうね」と指摘されている清水くんらしいアドバイスです。現在は恋愛ではなく仕事に打ち込んでいる彼ですが、20代の頃はかなり遊んでいたとのこと。
「僕は外見ではモテません。だから、努力しました。具体的には、ちょっとでも好きになれそうな女性がいたら、『好きかもしれない』と手当たり次第に口説くのです。運良く付き合うことができてもあまり楽しくなかったら、『やっぱり好きじゃなかった』と別れて、次の人に行くだけですよ」
真面目な女性からはグーで殴られそうな話ですが、若気の至りなのでどうか許してあげてください。清水くんが僕たちに教えたいのは、"いい加減"なぐらいに気持ちを軽くして、複数の異性を好きになることの大切さです。
「たった1人を追いかけていると自分も相手も重くなってしまい、気持ちの余裕がなくなって素の自分を出せなくなります。就職活動で第1志望の会社だけを受ける人はまずいないでしょう? 恋愛も同じで、5人ぐらいの『好きな人リスト』を持つことで初めて自然体で力を発揮できるのです」
好きな人リストで「恋愛体質」に変身
好きな人リスト作りはやってみると意外と難しい。清水くんが不定期で実施している恋愛講座の受講生(30代の独身女性が大半)の中には、「1人の名前も書けない。今の生活には出会いがないから」と投げ出す人も少なくありません。
清水くんはすかさず諭します。「出会いがない」のではなく、「男性を恋愛対象として見ていない」だけなのでは、と。「さえない既婚上司の名前でもいいから、身近にいる男性の名前をとにかく5人書いてください。会社に荷物を運んで来てくれるお兄さんでもいいですよ。誰にも見せないリストなのだから問題はないでしょう。書き終えたら1~5位までお気に入り順に並び替えてもらいます。この作業は、できるだけ毎日やることが大事です」。
当然ながら芸能人の名前などを書くのはNGです。理想像が無駄に高まってしまうだけですからね。リストにはあくまで現実に顔を合わせている男性を挙げること。リストアップと並び替えの作業を繰り返しているうちに、男性を見るたびに「恋愛対象としては序列何番目ぐらいか」と無意識で判断する癖がついてくる、と清水くんは熱弁をふるいます。
「しばらくすると『ちゃんとした独身男性だけでリストが埋まりました』と報告してくれる人がほとんどです。まずはとにかく書き出すことが大事。リストの純度を高めていくのはそれからです」
宿題: 駅前で5人の男性と乾杯する
しかし、「身近には既婚者すら男性が本当にいないんです。父親と清水先生の名前を書くしかありません」と嘆く女性もいることでしょう。「問題ありません」と清水くんは励まします。山奥の一軒家に住んでいるわけでもないので、生活圏に男性がいないなんてことはありえないからです。
「多くの女性が結婚したい男性は、"大企業に勤めているサラリーマン"でしょう。愛知県なら刈谷駅周辺に行けばトヨタ系の男性がゴロゴロいますよ。東京都なら東京駅や品川駅のあたりがいいでしょう。今夜、駅前の居酒屋をハシゴして、酒を飲んでいるスーツ姿の男性に話しかけて乾杯してきてください。週末を待ちきれずに木曜日から飲んでいるような男性はきっと気さくに応じてくれますよ。僕からの宿題であることを言い訳に使ってくれてもかまいません。5人と乾杯して連絡先を交換すればリストが埋まるでしょう」
かなりハードな宿題ですが、これぐらいの行動力が伴わなければ「出会いのない日常生活」は変わりませんよね。結果を求めるなら汗と恥をかけ、が清水くんのモットーなのです。
さて、「好きな人リスト」は埋められたでしょうか。次はリストアップした男性たちとの接触頻度を上げる「リピート」です。次週に続きます。
<著者プロフィール>
大宮冬洋(おおみや・とうよう)
1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)など。読者イベント「スナック大宮」を東京と愛知で不定期開催。食生活ブログをほぼ毎日更新中。
<協力者プロフィール>
清水邦浩(しみず・くにひろ)
ギター講師。愛知県岡崎市・蒲郡市で清水邦浩ギター・ウクレレ教室を経営。