去る5月5日、「富士スピードウェイ」の一角に全国各地から約300台の痛車が集まった「FSW痛車ミィティング2008」。日本最大規模ということは……すなわち世界最大規模の痛車イベントとも言える。そちらの模様を今回も紹介していきたい。
昼すぎから雨は断続的に降り続いていたが、こんな場合でも屋外に出たり、車内に退避したりと、臨機応変に楽しめるのがカーミーティングのメリット。写真を撮影させていただきつつ、参加者にいろいろと聞いてみた。
痛車歴は今回のイベントを企画した中心メンバーでも2~3年前後といったところで、むしろ「ここ1年以内で始めた」という人がかなり多い。痛車ムーブメントがここ最近で急速に広がってきたことがわかる。画像データからカッティングシートを作成できたり、遠方同士でもSNSを使って交流したりと、パソコンの普及も確実に痛車趣味に恩恵を与えているようだ。男女比は9割以上が男性。
また車とアニメ、どちらの趣味が先かを聞いてみると「車が先」という人がやや多数派。アニメオタク的にあれこれ見比べるというよりは、気に入った作品だけを追いかけるという人が多かった。一番多い層は20代で、20代の支持が厚い美少女系の作品『涼宮ハルヒの憂鬱』『らき☆すた』『魔法少女リリカルなのは』が痛車でも三強。初音ミクやPCゲーム系がそれに続いている。
はるばる大阪からの参加したこちらのステップワゴンは、さき千鈴氏の描き下ろしイラストを全面に配置 |
ステップワゴンのロゴを「HAYATE」に変えているだけでなく、ナンバーも「8810(ハヤテ)」! ビバ、希望ナンバー制度 |
ただ、なぜか男性キャラやロボットを扱った痛車はまったくと言っていいほど見当たらない(例外的に『くそみそテクニック』の痛車はあった)。美少女でなければ痛くないからなのか、圧倒的に男性の多い趣味だからなのか、いろいろと聞いてみたが、今回は明確な答えは得られなかった。これは今後の研究課題としておきたい。
さて、撮影を進めるうちに、レーシングコースでは一般車と痛車の混合による体験走行がスタートしたようだ。チームステッカーが貼られたレースカーと、美少女キャラが貼られた痛車が走るのを遠くから見ていると、だんだん区別がつかなくなってきて「これアリじゃねえ?」と違和感がなくなってくるから不思議である。
いまはまだ体験走行にすぎないが、このまま痛車ムーブメントが広がれば、F1グランプリ、ル・マン24時間レース、ダカールラリーといった舞台に痛車が殴り込みをかけるのも日が来るかもしれない。そのときこそ「すべては富士スピードウェイから始まった」と言えるだろう……。
<後記>
2008年、同人ショップのメロンブックスがメインスポンサーとなったラリーチームが全日本ラリー選手権に参戦しており、同社のキャラクター「めろんちゃん」をプリントしたレースカーは現在までに2戦で優勝を飾っている。
雨が降り出す前に、一般的なカッティングシートの貼り方を見せていただいた。まずは配置を検討し、マスキングテープで固定 |
台紙からシートを半分はがし、車体にまんべんなく霧を吹く。水貼りと呼ばれる方法 |