健康診断で気にしたい項目が、1. 血糖値、2. 血圧、3. 肝機能、4. 脂質、5. 尿酸値。もし健康診断で引っかかってしまった場合、どうすれば良いのだろうか?
そこで本シリーズでは、RIZAPが蓄える「特定保健指導」の知見をもとに、日常生活で実践できる食事法・運動法を紹介していきたい。連載の第1回目は「高血糖」をみていこう。
話を聞いたのは、RIZAP法人事業本部で保険者トレーナーユニットに所属する市川菜津美さん。管理栄養士の資格を持ち、医療分野を含む幅広い知見からアドバイスできる立場にある。現在は、健診結果に基づいて生活習慣の改善を促す「保健指導」の業務を担当する。
同社の特定保健指導は、生活習慣改善をサポートするオンラインプログラムで、各個人に合わせた食事法や効率の良い運動法などを提案している。「RIZAPでは、お客様の生活習慣を3カ月で改善するプランを提供しています。私もお客様につきっきりで支援しています」と、笑顔で話す市川さん。
■高血糖のリスク
――健康診断で血糖値が高いと指摘されました。高血糖を放置した際のリスクについて教えてください。
そもそも血糖値とは、血液中のグルコース(ブドウ糖)の濃度のことです。その濃度が高い状態にある高血糖になると、血管を傷つけ動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞の原因となります。
また糖尿病の合併症などにつながる危険も出てきます。例えば、手足にしびれが出てくる「糖尿病性神経障害」、視力に影響が出てくる「糖尿病網膜症」、腎機能に影響が出る「糖尿病性腎症」などがあります。
――なぜ高血糖になるのでしょうか?
理由のひとつとして、血糖値の上がりやすい食生活をしていることが考えられます。その場合、カロリーと糖質を気にする必要がありますね。
また、血糖値を下げる働きが弱い人も注意が必要です。体にたくさんの糖が入ったとき、通常であれば膵臓(すいぞう)からインスリン(血糖を下げる働きのあるホルモン)が出て栄養素を体に取り込むのですが、それがうまく機能しないと高血糖になってしまいます。
■健康診断で血糖値が高めだった…! どうする?
――では、ふだんの生活で気をつけることは?
限度を超えた量の糖質、カロリーを摂取していないか見直してみましょう。お菓子、ジュースを控えることはもちろんですが、お米、パンなど主食となる炭水化物にも糖質は多く含まれているので、食べ過ぎに注意してください。
あとは野菜の中でも根菜類、特にじゃがいも、さつまいもなどは糖質が高いです。意外なところでは春雨も高糖質ですので、摂取しすぎないように気をつけましょう。
――食事以外に見直すべきポイントを教えてください。
運動習慣も取り入れましょう。"筋トレ+有酸素運動"の組み合わせが効果的です。筋トレで基礎筋肉をしっかり作っておけば、有酸素運動をしたときに筋肉のポンプでより多くエネルギーが消費できるようになるのです。
特定保健指導では、筋トレの万能種目として「スクワット」をおすすめしています。下半身の中でも特に大きな、大腿四頭筋、大臀筋、ハムストリングスを使うため効率が良いのはもちろん、腹筋にもアプローチできるため、全身運動になります。
ちなみに階段の昇降運動はスクワットに近い動きなので、日常生活の中でエスカレーターを使わずに階段をのぼる機会を1回でも増やしてみる、というのもアリですね。
スクワットをする場合は"10回×3セット"がひとつの目安です。ただ筋トレは、続けることが何より大事です。はじめに「キツい」と思ってしまうと、なかなか長続きしないんです。
最初は10回×1セットでも構いません。自身のレベルに合わせて、少しずつ成長を実感できるペースで続けてもらえたらと思います。
――有酸素運動についても教えてください。
有酸素運動は、少し息があがるくらいの早歩きを20分から始めてみてください。走るのも良いのですが、闇雲に走るよりは姿勢を真っすぐに正して早く歩く方がメリットが大きいと思います。
頭のてっぺんを真上に引っ張られているような姿勢で、腰を反ったりせず、しっかり地面に足をつけて歩いてみましょう。