こんな子どもは心配

働くママ・パパにとって、とってもありがたい"保育士"の存在。できれば良い関係を築きたいと思いながらも、その関係性に不安を感じることもありますよね。この連載では、保育園の日常をつぶやいたツイッターが話題の男性保育士「てぃ先生」に、保育士としての"本音"を伺っていきます。

今回は、てぃ先生が保育士として気になる子どもの様子についてお聞きします。

• てぃ先生が「こんな子どもの様子が心配」と思うことは?

朝からぼーっとしている子が心配

――日々子どもと触れ合う中で、注意して見てあげないと心配だなと思う子どもはいますか?

指しゃぶりをしたり、爪をかんだり、目をぱちくりしていたりするのは目に見えやすい行動としてありますね。あとは異常にスキンシップが増えるのもそう。それまでそんなに甘えてくる子じゃなかったのに、急に保育士に抱きついてきたりすると、「ご家庭で何かあったのかな」とか、「お父さんやお母さんが忙しくて遊ぶ時間がなくなっちゃっているのかな」など、子どもの気持ちに変化がないか考えます。

――一見、見逃してしまいそうだけれど、実はこんな子が気になるという子どもの行動もありますか?

朝、登園してくるなりぼーっとしている子がけっこういます。ぼーっとして廊下に立ったまま部屋に入って来ない。保護者や保育士は「早く入りなさい」と言いがちなんですが、そんなとき、子どもは疲れちゃっているんですよね。

子どもがお父さんやお母さんの出勤時間に合わせて家を出る場合、朝起きて布団でぐずぐずしていたら「早く起きなさい」と起こされますよね。その後も「早く着替えなさい」「早くご飯食べなさい」「早く歩きなさい」と続いているかもしれません。朝から大戦争です。それで、やっと保育園に着いてホッとしている。

それなのに保育士が「ほら、早く!」なんてお尻を叩いてしまうと、子どもは安らぐ時間がなくなってしまいます。ですから、そういう子はゆっくり過ごせるように気にかけてあげたいなと思っています。

――延長保育で遅くまで預けられる子が体力的につらいということもあるんでしょうか?

それも、僕としては保育園側でケアしてあげたいと考えています。一斉保育で個別の対応が難しい保育園もあるかもしれませんが、できる範囲内での配慮は必要かなと思います。

例えば、夜8時まで預かる子だったらお昼寝の時間を他の子より少し長くするなど、子どもにとって良い生活リズムになるように調整することができるかもしれません。

「これでいい?」と何度も確認する子

――遊びの中で気づく行動などはありますか?

いくつかあるのですが、制作物を作っているときに「先生これでいい?」って何度も確認してくる子は、気になります。例えば、折り紙をするときに、ひとつ折るごとに合っているかどうか聞きに来る。そういう子を見ていると、親御さんや周りの大人などから、「こうじゃなきゃダメ」「もう一度キレイにやりなさい」などと言われることが多いのかなと推測します。もしかしたら、ひとつひとつ大人に承認されないと安心できないのかもって。

がんばって取り組んだ子どもの折り紙、ちょっと形が崩れていたっていいじゃないですか。"子どものため"と熱心な方ほど「きちんと角をそろえなさい」とか「爪でしっかり折り目をつけなさい」などと注意しがちですが、あんまり注意されると制作の内容ではなく、大人の目が気になってしまいます。

――評価を気にするようになってしまうんですね

絵を描くときもそうです。塗る時に「先生、何色を使えばいいの?」って聞いてくる子もいます。「何色を使ってもいいんだよ」と伝えますが、「前にママとお絵描きしたときに黒ばっかり使ったらダメって言われたから」って話した子もいました。

子どもたちは絵を描くことで、自分の心の状態を自由に表現していて、それがちょっとした心の変化の発見につながることもあります。ですから、子どもたちの自発的な表現を尊重してあげてもいいのかなって、僕は思います。

あとは、ぬり絵で白いところが残っていると気になって塗らせる親御さんもいます。「まだここが残っているから塗ったらいいじゃない」って。そう声をかけたくなる気持ちは分からなくもないのですが、別に塗り残しがあってもいいと思うんですよ。その子にとってはそれが完成形。大人が何かを言って無理に塗り加えたら、それはもうその子のぬり絵ではなくなってしまいます。だから、大人がそれ以上、塗りなさいっていう必要はないんじゃないでしょうか。制作活動ではそういった気になる行動が出やすいですね。