円高・円安でもやきもきしない
現在日本で最も有名な仏像の一つである奈良興福寺の阿修羅像が東京国立博物館で展示されていて連日1時間待ちの大盛況と聞くがその中には若い女性、歴女と言われる歴史好きの女子も多いらしい。歴男と命名されないのは、男性は当然歴史好きと思われているからなのだろうか。今までの既成概念はこんなところでも通用しなくなっている。それはFXでも同じで、FXも「円」だけではないんですよ!?
FXを始めようとして、通貨を見ると、今まで知らなかった訳の分からない(?)組み合わせ、例えば、オージー(豪ドル)/カナダドルなどと言った通貨ペア(通貨の組み合わせ)が存在することに驚く。この時は、一種の目からウロコ状態になる人が多いと思う。外貨預金ではまず絶対お目に掛かることはない組み合わせがいっぱいあるからである。為替は異なる通貨と通貨の交換だから、色々な組み合わせがあり、FX会社ではこういった通貨ペアは大体30種類以上はあると見てよいだろう。
どうして外貨同士の取引ができるのかと言うと、それはFXが証拠金取引という仕組みを持つから。円で証拠金を預けておけば、円と関係ない通貨ペアでもまた買いからでも売りからでも取引が初められる。例えば、ユーロ/ドルの取引を行う場合でも円で証拠金(担保)を預けておけば、ドルを借りて(売って)ユーロを買うユーロ/ドルの買いや、ユーロを借りて(売って)ドルを買うユーロドルの売りもできる。他の通貨ペアも同様だ。
「クロス円」と「ストレート」通貨って?
日本人から見れば、通貨は「クロス円」で見てしまうのが普通だ。クロス円? そんな通貨あったっけ? クロス円とは、外貨と日本円との通貨ペア(ドル円を除く)のことを言う。クロス円は我ら日本人にとっては普通であっても、インターバンク市場(銀行間)では基軸通貨である米ドルを中心に各国の通貨が取引されていて、取引量が大きくなってきているユーロ円を除き、実際にクロス円が取引されることはほとんどない。世界中の為替取引において、対米ドルでの取引は全体の9割でその内約3割をユーロ/ドルが占めている。
以下がFXにおける通貨ペアの種類 :
A. クロス円通貨 (円を対価とする)
(1) 掛け算通貨=ユーロ/円、ポンド/円、オージー/円
例 : ユーロ/円のレート=ドル/円のレート×ユーロ/ドルのレート
(2)割り算通貨=スイス/円、カナダ/円
例 : スイス/円のレート=ドル/円のレート÷ドル/スイス
B. ストレート通貨 (ドルを対価とする)
(1) 掛け算通貨=ユーロ/円、ポンド/円、オージー/円
例 : ドル/円、ユーロ/ドル、ポンド/ドル、オージー/ドル、ドル/スイス、ドル/カナダ
基軸通貨の米ドルが絡んでいる通貨ペアはストレート通貨(またはドルストレート)と呼ばれている。
クロス円取引をする場合、米ドルに対してどのように動いているかもチェックしなくてはならない。つまりユーロ/円を取引しているのであればドル/円とユーロ/ドルの両方のレートの動きを見ておかないといけないということ。ユーロ/円を取引するのであれば、ユーロ/ドルとドル/円の2通貨ペアの関係も考えなくてはならなくて、ドル/円が下落していなくても、ユーロ/ドルが下落すればユーロ/円も下落するし、ドル円が下落しユーロドルが下落すればユーロ円はもっと下落する。ストレート通貨であるユーロ/ドルをトレードするのであれば、単にユーロとドルの関係を見ればよいのでシンプルである。
通貨の歴女・歴男になることが大事
色々な通貨ペアが存在する中で、実際自分はどの通貨ペアを取引したらよいのか、頭を悩ませるところであるが、基本的に通貨ペアを選ぶポイントは(1)なじみが深い、(2)情報が入りやすい、(3)流動性が高い、といったことが上げられる。この3点を考慮してドル/円や世界No.1 & No.2通貨ペアで最多の取引量を誇るユーロ/ドルなどから最初は始めてみたらいかがだろう。外貨同士の通貨ペアをトレードすることも考えてみたいのは、クロス円だけのポジション、例えば、ポンド/円とオージー/円の買いを持って思惑通り(円安)にいかなかったら両方とも損失が出る。だから、円に絡む取引ばかりでなく、円高や円安といった日本に関係ないところで、外貨同士の通貨ペアをトレードすることはリスクを軽減し、逆に収益チャンスが拡大することができる。
ここでは外貨同士の取引としてユーロ/ドルの取引を上げて説明したい。まず、ユーロが基準通貨になっていることに注意。ユーロ/ドルのレートが「1.4035」の時は「1ユーロ=1.4035ドル」という意味である。損益やスワップは決済通貨(右側、ドルの方)で発生する。他の通貨ペアも同様。ユーロ/ドルを1.4035で買い、1.4240で売り決済の場合の損益の計算方法は : 1.4240-1.4035(買いと売りのレートの差)×10,000ユーロ(取引数量)×95.20(米ドル/円のレート)=19,516円(利益)となる。
なお、外貨同士の取引金額(円)の計算方法は : レート×単位×クロス円のレート=取引金額となる。(図2参照)。
外貨同士の取引を行う場合、まず個別の通貨の特性や歴史(チャートもその一部)そしてその国の経済状況(ファンダメンタルズ)を知ることが大事。あなたも通貨の歴女(もちろん歴男でも)になる必要がある。
執筆者紹介 : 香澄ケイト氏
主な略歴 : 為替ジャーナリスト
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米国カリフォルニア州の大学に留学後、バヌアツ、バーレーン、ロンドンでの仕事を経て、帰国。外資系証券会社で日本株 / アジア株の金融法人向け営業、英国系投資顧問会社でオルタナティブ投資の金融法人向けマーケティングに従事する。退職後、株の世界から一転してFXに関する活動を開始し、為替情報サイト、マネー雑誌などの執筆、ラジオ番組への出演およびセミナー等の講師を努める。著書に『あなたのお金を10倍にする外貨投資術』(フォレスト出版)、『今すぐ始めるFX5人の投資家が明かす勝利のルール』(すばる舎)がある。