わたしは編集者・ライターですが、長い間占いを勉強中。学問として本気で占い研究に取り組むと、生き方や哲学が見えてきます。また、占いは結果に一喜一憂するためだけでなく、「大難を小難に変える」ために役立てることが大切。災難を事前に知ることができれば、被害を最小限にするための手が打てます。その手段を教え、人を善き方向へ導くこと(善導)こそ占い師の仕事なのです。

  • "昭和の易聖"と呼ばれた加藤大岳(だいがく)先生に師事した高井紅鳳(こうほう)先生に聞く

    今回話を聞いた高井清康(せいこう)先生

この企画では、腕もよく人格も優れた占い師にインタビューを実施。テーマは3つと潔くいきます!

「0円でできる仕事運UP法」
「苦手な人とのつき合い方」
「自分(占い師)自身の挫折体験は? 」

です。記念すべき第1回は、"昭和の易聖"と呼ばれた加藤大岳(だいがく)先生に師事した高井紅鳳(こうほう)先生。ご子息であり弟子である高井清康(せいこう)先生がお話をしてくださいました。

はじめに:高井紅鳳先生&清康のこと

まずはじめに、占いといっても手法はさまざま。日本人にもっともなじみがある占いのひとつは易占いでしょうか。竹ひごのような細い棒をジャラジャラするのを想像するかもしれませんが、最近は熟練の占い師でもサイコロを使うことの方が多いようです。サイコロを振って出た目から、状況や解決方法を64の卦(か)に当てはめて読み解いていきます。

高井紅鳳先生は、この易占いの大家で電話占いの始祖たる存在。占い師が数名集まり、袋の中に入ったものを競って当てる「射覆(せきふ)」という摩訶不思議な占いがあるのですが、紅鳳先生はこの射覆も得意で著書を出しており、わたしはそれを愛読しています。

紅鳳先生は現在、99歳と高齢のため、ご子息の清康先生が電話占いと占い教室を引き継いでいます。先代・紅鳳先生は街角で、電話占いで、雑誌で…… と引く手あまたの売れっ子占い師でしたが、清康先生がしっかりと技法を継承しています。この取材中も、占い依頼の電話がひっきりなし! 生年月日から運命・正確などを推測する「九星気学」と、そのときどきの吉凶や指針を占う「易占い」を併用して、恋愛から株価の動き、国家の吉凶までを占っています。

質問(1)「0円でできる仕事運UP法」

さて、ここからが本題です。多くの人を開運に導いてきた清康先生、お金をかけずに開運できる方法ってありますか? とたずねると、「いつも明るくすること」という言葉が返ってきました。苦しいときでも、もともと明るくない後ろ向きの性格でも、顔だけでも明るくするのです。「ほんの少しだけでも明るい気持ちになることで、状況が好転します」と教えてくれました。

それから「感謝の気持ちを持つこと」。気分が沈んで辛いとき、自分だけ不遇な目にあってやりきれないときでも「生きていられるだけでラッキー。ありがたい!」と考えることは、運命にプラスに作用するそうです。

質問(2)「苦手な人とのつき合い方」

一人ひとりはいい人でも、数名、数十人…… が集まって組織になれば、苦手な人は出てくるもの。もしも占いで相性を見れば、あまりよくないという結果が出るはずです。とはいえ、苦手だからといって縁を切ることもできず、会社で毎日顔を合わせなければならないわけで、困ったものです。

こういう具体的なテーマは、易占いの得意とする分野。「苦手なあの人とうまくつき合う方法は? 」というテーマで易で占うと、わかりやすく結果が出ます。たとえば、61番の「風沢中孚(ふうたくちゅうふ)」が出たとしたならば、キーワードは「真心」。真心を持ってあいさつする、話しかける、接する。相手を変えることはできないから、自分の接し方を変えればよいのです。もしかして、あなたがあの人を苦手なのは、あなたの態度がよくないのかも。まず、自分の態度を変えることです。

質問(3)「自分(占い師)自身の挫折体験は? 」

父は超有名占い師でしたが、清康先生はもともとバリバリのビジネスパーソン。自動車業界でもトップクラスの優良企業だった日産自動車に47歳まで勤めたところで、かのカルロス・ゴーンによるリストラ対象に! 九州の僻地に転勤か退職か、待ったなしの二者択一を迫られました。それにマンションのローンも残っているし、息子2人も高校生。挫折どころかお先真っ暗です。そんなときに父のすすめで占い師に転身することを決意し、父に弟子入りして午前は座学、午後は実際の占いを行う修業を積みました

でも、考えてみればずっと占い師専業でやってきた人より、企業に勤め社員として立派に通用した人物であり、リストラ危機の経験があるからこそ、深い鑑定ができるというもの。激しい挫折であってもすべての経験は人生において無駄になりません。

ちなみに、父の紅鳳先生も、家庭用ミシンの名門・リッカー社に勤め、晩年、電車の中吊りで見た広告がきっかけで占い師になったそう。2代続けて、不思議な巡り合わせです。

おまけ:占い師が「輪廻転生はあるか」を占った!

父の紅鳳先生は、なんでも占う人で、とてもよく当たったそうです。クルマを運転していて、「上道が速いか、下道が速いか」といった日常的なことから、天下国家の運まで占い、それがよく当たるのだそう。占い師は、毎年冬至の日に集まって翌年の運勢を占う「年筮(ねんぜい)」を行うのですが、なんと東日本大震災を言い当てたという実績もあります。

それから、とても興味深い「輪廻転生は存在するか?」というテーマでも占ったそうです。

輪廻転生は―― あるとのこと! 易の神様のメッセージは、「人生の中でいい行いをすれば、来世でも恵まれた人間に生まれ変わる」ということ。よい行いをすれば、それはいつか自分に返ってくるのです。最後に清康先生は、「人に依頼されれば馬券でも株でも占いますし、よく当たります。だからといって、『自分も買ってみるか!』となると、不思議と外れるんです」。

過剰な欲を持たず、人のため、社会のために動くことが大事…… いいお話を聞きました!

■DATA
高井紅鳳易占学校
〒252-0003
神奈川県座間市ひばりが丘4-8-1 B716
046-253-6441(9:00~17:00)
※電話占いは1件2,000円と超良心的!