乾物は常温保存可能で栄養豊富
緊急事態宣言が全国で解除されましたが、世界からウイルスが消え去ったわけではありません。未知のウイルスは怖いですが、新型コロナウイルス感染まん延をきっかけに、日々の食事で健康を保つことの重要性、効率的な買い物や食材使いまわしの大切さを強く意識した人は少なくないでしょう。
そこで、お勧めしたいのが乾物。
食品を乾燥させることで微生物の働きを抑え、腐敗やカビを防ぐ保存食である乾物なら保存も常温でOK。食品をまとめて買っても、冷蔵庫や冷凍庫の容量には限りがありますからね。保存性だけでなく、栄養価も高く、調理も意外と簡単ですよ。
意外と知らない切り干し大根のこと
冬に旬を迎える根菜類、大根。日本では、たくさん収穫できる時期に漬け物や乾物に加工し、食材が乏しい時期に備えてきました。
その一つが大根をせん切りにして干した切り干し大根。大根の乾物には、切り干し大根以外のバリエーションがあり、輪切りや拍子木切り、タテ方向に太めに切った割り干し大根などもあります。
細いせん切りの切り干し大根は、10分ほどで水戻しでき、味も染み込みやすいという特長があります。
水に戻せば加熱せず、ドレッシングをかけてサラダにしたり、甘酢和えにしたりすれば立派なおかずになります。ちなみに、水で戻した状態から、絞って油揚げやにんじんなどの野菜と一緒に、だし汁、醤油、みりん、砂糖(※それぞれの分量はお好みで適量)で煮込むだけで、おなじみの切り干し大根の煮込みになります。
切り干し大根の取り扱い方法
市販品は開封する前なら常温で長期間保存可能ですが、一度開封したら冷蔵庫に入れて保管するのが安心。大根には糖質が多く含まれているので、色が変わったり風味が落ちたりする恐れがあるからです。
それから、大根を1本買ってきてもなかなか食べきれないこと、ありますよね。そういうときも、せん切りなどで小さめに切って、乾燥させるだけで自家製切り干し大根になります。
乾燥する冬の晴れた日などに作るのが理想的。フードドライヤー(電動の食品乾燥機)を使うと早く乾かせますが、天日干しのほうが味が良く仕上がるとか。いずれにせよ、自家製品は密閉性の高い袋や容器に入れて、冷蔵庫や冷凍庫で保管することをお勧めします。
和食だけでなく、エスニック料理にも
新宿区の公式サイト内で、切り干し大根を使ったバインミーのレシピが掲載されています。バインミーとは、ベトナムのサンドイッチのような料理。なますのような甘酢漬け野菜や、ハムを挟むのが一般的です。
切り干し大根という「和」の食材でベトナム料理を作るところが、各国の飲食店がひしめき、日本最多の外国人住民が暮らす新宿区(※)らしくてなんともユニーク。※総務省の人口動態調査結果より
同サイトでは、水に戻した120gの切り干し大根(乾燥状態で30g)を、適量の塩、大さじ1と1/2の酢、大さじ1の砂糖、大さじ1/2の醤油、大さじ1/2のレモン汁で味つけするレシピを紹介していましたが、自分の好みに合わせてアレンジOK。
筆者は醤油の半分をナンプラーに変えてアレンジしてみました。また、パンはフランスパンを使うのがセオリーのようですが、普通の8枚切り食パンを焼いたものでも、とってもおいしかったです。具を挟む前に、たっぷりのバターやマヨネーズを塗るのがコツ。コクが増します。
サンドイッチだから、具だって何を使ってもOK。ハムやベーコン、エビなど自由にアレンジを楽しんでみてください。
それから野菜。バインミーにはパクチーが欠かせませんが、シソを使ってもおいしくできました。香りが強めの香草やハーブがよく合いそうです。自由に楽しんでください。