薄着になる季節、体型が気になるという人も多いかもしれません。でも、「食べない」という不健康なダイエットは避けたいものです。そこで健康的なダイエットを成功させるためには、腸内環境を整えることはとても重要なポイントになります。連載第3回は、腸にもダイエットにも効果的な成分であるレジスタントスターチが豊富に含まれる、いまが旬の野菜・じゃが芋を使ったレシピを紹介します。

  • 「ニース風サラダ」のつくり方を紹介します

■善玉菌を増やし、腸をいい状態にしよう

そもそも、どうしてダイエットに腸内環境が関係してくるのでしょうか? まずは、その仕組みを解説していきます。

ダイエットを成功させるためには、「代謝を人間本来の状態に保つ」ことが欠かせません。スムーズな代謝を行うためには、食事から炭水化物やたんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルといった必須栄養素をとることが不可欠です。それらの必須栄養素が不足していると、代謝が低下し、むくみ、冷え、血流が悪くなるなどします。それらの悪い影響によって、食べたエネルギーを消費しにくくなり、結果として体内に脂肪をため込みやすくなってしまうのです。

みなさんの体内で、必須栄養素を吸収しているのは腸です。ですから、腸を健全にしておくことは代謝を上げるために大切になるのですが、例えば、腸内環境が悪く悪玉菌が多い状態だと、必須栄養素を十分に吸収することができません。なぜなら、腸の粘膜をいい状態に保って栄養吸収をしやすくしているのは、善玉菌の働きによるものだからです。つまり、善玉菌を増やして腸内環境をいい状態にすることが、栄養の吸収をよくすることにつながり、代謝も上がってダイエット効果を生むということです。

では、善玉菌を増やすためにできることはどんなことでしょうか? 大事なのは、食物繊維が多い食事をとることです。食物繊維は、腸のなかで善玉菌の作用によって発酵し、短鎖脂肪酸という成分をつくり出します。この短鎖脂肪酸という成分が、腸の粘膜をいい状態にし、栄養の吸収をよくします。また、体脂肪を燃えやすくしたりする働きを持っています。

■注目したい、レジスタントスターチというでんぷん

食物繊維には、腸にたまった有害物質を回収する働きを持つ不溶性食物繊維と、善玉菌によって発酵されやすい水溶性食物繊維の2種類があります。腸内環境の改善においては、どちらもバランスよくとる必要があるのですが、ここで取り上げるのは、このふたつ両方の働きをあわせ持つレジスタントスターチというでんぷんです。

でんぷんは炭水化物に多く含まれる糖類で、通常は小腸で消化吸収されエネルギー源となるため、でんぷんをとり過ぎると肥満の原因となります。しかし、一般的なでんぷんとはちがって、人が消化吸収できないのがレジスタントスターチというでんぷんです。

レジスタントスターチは、消化収吸収できないので太る心配もなく、さらに一緒にとった糖質の吸収を穏やかにして太りにくくしてくれる優れもの。また、ほかの食物繊維では届くこのとのない大腸まで届いてくれ、発酵されたあと短鎖脂肪酸となり、腸内環境の改善や脂肪燃焼効果を発揮します。

レジスタントスターチは、米やいも類、豆類などに多く含まれています。特徴的なのは、加熱したあとに、ゆっくりと冷えることでレジスタントスターチが増えるということ。つまり、炊きたてのご飯や茹でたてのじゃが芋よりも、それらを冷ましたほうがレジスタントスターチは増えるのです。ですから、ゆっくりと冷ましたあとに、おにぎりやポテトサラダにすると効果的です。

米やいも類は糖質が多いためダイエット中は控えたくなりがちですが、腸内環境を良好に保つためには大きな役割を果たすことを忘れないようにしましょう。

今回のレシピでは、いまの季節が旬で、さらにレジスタントスターチの多いじゃが芋とさやいんげんを使ったニース風サラダを考案しました。ニース風サラダは、フランスの都市であるニースでよく食べられている伝統的なサラダです。ドレッシングには、腸内環境改善効果のある白ワインビネガーや、便通をよくするオリーブ油を使います。それだけなく、卵やツナといったたんぱく質も入っていて、とても栄養バランスのいいサラダです。パンを添えたらちょっとしたおもてなしにもなり、食べ応えのあるメニューになるでしょう。

【レシピ】ニース風サラダ

材料(ふたり分) ・ベビーリーフ 1袋(約50g)
・じゃが芋 小1個
・ミニトマト 3個
・さやいんげん 3~5本
・ゆで卵 1個
・水煮ツナ缶 缶
・塩漬けオリーブスライス 3個分(約15g)

(ドレッシングの材料)
・アンチョビフィレ 2切
・オリーブ油 大さじ2
・白ワインビネガー 大さじ1
・おろしにんにく 小さじ1/4
・塩 小さじ1/2
・こしょう 少々

つくり方

(1)材料を用意する。ベビーリーフは、ほかの葉物野菜で代用してもよい。

(2)じゃが芋は一口大にカットし茹でておく。インゲンは塩茹でにして1/2にカット。ベビーリーブは、冷水に入れてパリッとさせる。ゆで卵は縦に6等分、ミニトマトは1/2にカットし、ツナ缶は汁気を切っておく。

(3)アンチョビフィレはみじん切りにし、すべての調味料を混ぜ合わせてドレッシングをつくる。

(4)器にベビーリーフを盛り、その上に具を乗せる。ドレッシングをかけて完成。

つくり方のポイント

質のいいじゃが芋は、傷やデコボコが少なくふっくらとしてシワのないものです。じゃが芋を使用する際の注意点としては、芽や表面の緑色になった部分の周辺にはソラニンという天然毒素が含まれているのですが、ソラニンは腹痛や吐き気などの中毒症状を起こすことがあるため、よく取り除いて食べるようにしてください。

ソラニンは加熱しても分解されませんが、水に溶けやすいので、茹でる調理法にして茹で汁を捨てるようにすると中毒を起こしにくくなります。