改正育児・介護休業法の成立で、男性が育休を取りやすい環境が整えられつつあります。そんな状況の中でもし自分の夫が育休を取ったら、どんな生活が待っているのでしょうか。

今回は、子育ての様子を綴った漫画が人気のインスタグラマーで、旦那さまが4カ月の育休を取られたご経験を持つ高月ナミさんにインタビュー。育休取得に至るまでの経緯や、育休中の暮らしについて、語っていただきました。

  • 夫の育休取得に至るまでの経緯や、育休中の暮らしを綴った漫画が話題のインスタグラマー、高月ナミさんにお話を伺いました

高月ナミさん(31歳)

時短ワーママとしてWEBデザインの仕事を手掛ける(現在は、2人目のお子さんの育休中)。44歳の夫、4歳の長男、1歳の娘の4人家族で、子育ての様子をイラストや漫画を通じてInstagramで発信している。

夫の育休取得、きっかけは?

――2020年春に2人目のお子さんが生まれ、その年の夏から冬にかけて約4カ月の育休を取得されたという旦那さま。男性の育休取得はまだまだ珍しいと思うのですが、どのような経緯で育休取得に至ったか、教えていただけますか?

私が2人目を妊娠中、長男が通っている保育園で育休取得中のパパに出会ったことがきっかけです。

「育休手当も出るし、人生観も変わりますよ! 特に2人目が生まれてからの育休は、2人で取ると一対一で子どものお世話ができるのでとてもいいです!」と夫の育休取得を熱心に勧めてくださいまして……。

そんなにいいものなのかと思い、「育休を取ってみない?」と私から提案しました。

しかし、最初は「職場に言いづらいなぁ」と取得に後ろ向きだったんです。

  • Instagramの投稿より引用

――それからどんなきっかけがあって、旦那さまは取得を決意されたんですか?

しばらくして、夫の会社の社内報で6カ月の育休を取得した男性社員の体験記が紹介されているのを見て、考えが変わったようです。

その男性が夫と同等の役職だったこと、男性の育休取得を会社が推奨していること、この2つが夫の背中を押してくれました。自分も育休を取得できるんじゃないか、そんな風に思えたそうです。

  • Instagramの投稿より引用

  • Instagramの投稿より引用

夫は幼いころ、父親と関わる時間が少ないことに寂しさを感じていたそうで、もともと育児に参加したいという気持ちは強かったと話していました。その思いを、育休取得という形で実現できたことは、本当に良かったと思います。

――育休取得にあたって、職場の雰囲気って大きいのですね。

今回の法改正で、男女問わず会社が育休取得の意向を確認することが義務化されたと思うのですが、夫はこの制度がすごくいいと言っていました。

夫としては、「育休を取りたい」と伝えることに申し訳なさがあったそうなので、その点を「会社が聞かないといけない」としたのは、画期的だと私も思います。

夫婦2人で育休、どんな生活になる?

――育休中、旦那さまはどのように家事・育児を担われていたのですか?

夫は半育休(育児休業の間、一時的・臨時的に働くこと。就労時間の上限は月に80時間)を取得していたので、午前中は家で仕事をしていることが多かったのですが、子どもをお風呂に入れること、上の子の保育園の送迎・習い事の付き添いなどを主に担ってくれました。

理想を言えば、仕事をせずにより長い期間、より多くの家事・育児を担ってほしかったという思いもあります。

でも私としては、夫が育休を取得していなければ、赤ちゃんがいながら上の子の保育園送迎をしたり、習い事に付き添ったり、お風呂に入れたりしなければならなかったわけなので、それだけでも本当に助かりました。

  • Instagramの投稿より引用

  • Instagramの投稿より引用

そして何よりうれしかったのは、家族で過ごす時間が増えたこと。夫の仕事は朝が早く、残業もあるので、平日はほとんど顔を合わせることができません。育休中は家族で毎日ご飯を一緒に食べることができ、私と子どもだけでなく、夫も喜んでいました。

――育休中、旦那さまはスキルアップのために英語の勉強もされていたとか。高月さんは、英語を勉強したいという旦那さまの意向を尊重して、応援されていたそうですね。

「名ばかり育休で勉強ばかりしている、遊んでばかりいる」というケースもあるのかもしれませんし、ご家庭によって育休の過ごし方に対する考えは様々あると思います。しかし私自身、1人目の育休中にデザインの勉強をしたことで、復職後に関連の部署へ異動できた経緯があって、夫にもやりたいことがあれば応援したいと思いました。

私にとって育休は、ひたすら走り続ける日々から少し離れて、今後のキャリアや人生について立ち止まって考える期間でもあります。男性にも、そんな期間があっていいのではないかと考えています。

  • Instagramの投稿より引用

――ご夫婦ともに充実した育休期間だったのですね。今振り返ってみて、いかがですか?

あれは夢だったんだろうかと思うくらい、幸せな日々でしたね。夫が復職した今は、美容室や歯医者など、小さい子どもがいるとできないお出掛けは難しくなってしまいました。それから夫の帰宅も産前同様遅いので、子どもとしても寂しいし、夫ももっと子どもと関わりたいと、もどかしさを感じているようです。

夫が育休を取得してくれて良かったと思うとともに、子どもが小さいうちは特に、普段の働き方も柔軟に調整できるような社会になるといいなと思います。

育休中、お互いが求めていることは何? 事前にすり合わせを

――最後に、2人で育休を取得しようと検討しているご夫婦へアドバイスをお願いします。

夫の育休取得にあたって「ママ1人でも大丈夫じゃないか」「むしろ1人の方がいいのでは?」というご意見ももちろんあると思います。家庭によって、妻が夫に何を求めているのかはまちまちですから、まずはそこをすり合わせることをお勧めします。

そのうえでお伝えしたいのは、まずは育休を取得してみて、家族に合ったやり方を子どもと生活しながら考えていくのも一つの方法だということです。

例えば妻が「四六時中2人で過ごすのが息苦しい」と感じるのであれば、夫に提案して出掛けてもらうなど、2人にとってベストな方法を模索していけば「取って良かったな」と思える育休になるのではないでしょうか。

夫は「育休の取得は正当な権利なので、取得したければ積極的に手を挙げるべきです。不当な扱いを受けるようなことがあれば、これを機に自分と会社の関係を見直すのもいいのでは」と話していました。

少なくとも我が家の夫は、育休の取得によって子どもとの時間が増え、やりたかったことにも挑戦できました。そんなメリットを前向きに捉えられるといいですよね。

  • Instagramの投稿より引用

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