「都心では物価が高いので、生活していくのが大変だ」または「地方は物価が安いので、生活費が都心に比べてあまりかからない」と世間で言われていることは、本当なのでしょうか。 お金の扱い方について、都心部と地方部では、違いがないのでしょうか。
連載コラム「地方の生活コストは本当に安いのか?」では、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が、実際に東京と地方、両方の生活を経験して感じたことを交えながら、お金に関する情報などをお伝えいたします。
「終活」という言葉が広く知られるようになり、人生の終盤にむけて、さまざまな準備や整理を進めることを考えている方々もいらっしゃるでしょう。「終活」は、高齢者だけのものではなく、現役世代と呼ばれる方々も、人生の終盤をイメージした上で、今後どのような人生を送りたいか、長期的にはどれくらいの資金が必要となるかなどを計画することは、有意義であると思います。
その「終活」の1つに、「遺言書を作る」というものがあります。遺言書は、必ず作らなければならないものではありません。しかし、「自宅と預貯金は配偶者、保有している金融商品は長男に相続させたい」、「自分の遺産を分割する際に、残された家族で争いになるのを避けたい」など、自分の意思や想いがある場合には、遺言書が必要となります。
遺言書がないと、相続人全員での話し合いによって遺産の分け方が決められることになりますので、亡くなった人の意思が反映されない場合があります。
一般的な遺言として、自らが手書きで書く「自筆証書遺言」と、法律のプロである公証人が遺言者から聞いた内容を文章にまとめ公正証書として作成する「公正証書遺言」があります。
今回のコラムは、前回の第169回のコラムの続きとして、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の違いについてお伝えします。
<自筆証書遺言とは?>
遺言書の全文、遺言の作成日付および遺言者の氏名を、必ず遺言者が自書(自分で書くこと)し、これに印を押さなければなりません。遺言書の本文は、パソコンでの作成や、音声・映像での作成はできません。
また、財産目録(遺言者の財産)を遺言書に添付する場合は、自書ではなく、パソコンを利用したり、不動産(土地・建物)の登記事項証明書や銀行の通帳のコピーなどの資料を添付したりする方法で作成することができますが、その際には、財産目録の各頁に署名押印が必要です。
書き間違った場合の訂正や、内容を書き足したい場合は、その場所がわかるように示した上で、訂正または追加した旨を付記(付け加えて書き添えること)して署名し、かつ、訂正または追加した箇所に押印します。
<公正証書遺言とは?>
遺言者が公証人(法律の専門家であり、公正証書を作成する等の執務を行う人)に遺言の趣旨を口授し、公証人が書面にします。2025年10月1日に法改正されたことにより、紙媒体のみならず、電子データでも公正証書遺言の作成ができるようになりました。
公正証書遺言のデジタル化における利用方法については、第169回のコラムをご参照ください。
<自筆証書遺言と公正証書遺言の違いは?>
【1】作成方法
自筆証書遺言:すべて遺言者が書く。ただし、財産目録は、パソコン等での作成可能。
公正証書遺言:遺言者が口で述べて、公証人が書面(または電子データ)にする。
【2】遺言書原本の保管方法
自筆証書遺言:遺言者本人の判断により、自宅での保管または法務局に預けることもできる。
公正証書遺言:電子化された遺言書(原本)が公証役場にて保管される。
【3】家庭裁判所の検認
自筆証書遺言:必要(法務局に保管した場合は不要)
公正証書遺言:不要
※検認とは、相続人(死亡した人の財産を引き継ぐ遺族)に対して、遺言の存在およびその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加筆や訂正の状態、日付、署名など遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続きです。なお、遺言の有効・無効を判断するための手続きではありません。
【4】メリット
自筆証書遺言:作成が簡単で費用がかからないこと、遺言した事実も内容も秘密にできることなど。
公正証書遺言:安全で確実に、無駄がなく遺言書を作成することができること、紛失や改ざんの心配がないことなど。
【5】デメリット
自筆証書遺言:内容に不備があると無効になる可能性があること、自宅に保管する場合は紛失や改ざんの心配があること、自宅に保管する場合は相続人に発見されない可能性があることなど。
公正証書遺言:作成するための手数料がかかること、証人2人の立会いが必要であること、オンラインにて作成する場合は通信環境と要件を満たす通信機器(パソコン等)を準備する必要があることなど。
自筆証書遺言と公正証書遺言の違いを把握した上で遺言書を作成するとよいと思います。
