缶詰博士の黒川氏によると、日本の缶詰は種類が豊富で、世界中の料理が味わえるのが特徴だそうです。確かに、グルメ缶詰と呼ばれるおしゃれな缶詰にはフランス料理やスペイン料理もありますね。
「リエットやコンフィも缶詰で出てるんです。どちらもフランス料理だけど、違いが分かりますか?」
はい、分かりません! どちらも脂で煮た料理のような気がしますが、違いますか?
日本的な雰囲気なのにリエット
今日の缶詰は「納豆喰豚のリエット」であります。納豆喰豚(なっとくとん)は、岐阜県下呂市のブランド豚で、飼料に納豆の粉末とコメを与えて育てている。納豆によって豚の腸内環境が良くなり、健康になるので、豚特有の臭みがないそうな。
パッケージのデザインも民芸調だし、いかにも日本的な缶詰なのに、調理法は「リエット」である。さて、リエットって何だっけ?
リエットとコンフィは仲間
フタを開けると、かなり細かくほぐされた豚肉が入っている。肉の合間には香辛料の粒も見える。このままパンに塗ったらおいしそうだ。
このように、肉を煮込んで柔らかくし、脂と一緒にすり潰したものがリエットであります。一方、同じフランス料理の「コンフィ」は、肉類を脂で煮た料理のこと。なので、コンフィをすり潰せば「リエット」に変身するわけ。リエットとコンフィは仲間同士なのであります。
※コンフィには果物や野菜を煮込む種類もある
単純な味ではない
フォークですくってみると、肉の線維が細かいことが分かる。一見するとコンビーフっぽく見えるが、それよりも繊維が短いのだ。
鼻を寄せると、何やら甘じょっぱい味を思わせる匂いがする。ベーコンの匂いもするし、加熱した玉ねぎの甘い匂いもする。
思わずパクリと頬張ると、想像通り甘じょっぱい。ちょっと和のテイストがあるのだが、ガーリックは利いているし、豚肉の香ばしい匂いもある。単純な味ではないですぞ、これ。
白ごはんにも合う?
かくのごとし。クラッカーに乗せ、軽く黒コショウを振りかけて軽食とした。こうしてクラッカーに乗せていったら、きっと10食分以上は作れそうだ。こんがり焼いた食パンに乗せてもいい。
それにしても、このリエットは味が複雑で奥深い。しょう油のような後を引く味があるんだけど、しょう油は使われていないのだ。不思議だ。
ひょっとしてこのリエット、白ごはんにも合うかもしれない。
缶詰情報
堀田農産/納豆喰豚のリエット 100g 参考価格650円
下呂市のふるさと納税の返礼品として入手可。一部のネットショップでも販売中