気温が30度近いうえ、湿度は70%以上。シャツもスーツもよれよれになってしまうイヤ〜な梅雨時ですが、そんな時期から旬が始まるのがスルメイカ。
漁獲量日本一を誇る青森の八戸では、6月頃から水揚げが始まり、8月頃には最盛期を迎えます。そのためスルメイカの缶詰もほとんどが青森で造られているわけですが、あらためて見ると謎の部分があるんです。
こちらはマルハニチロの「いか味付」缶。この中身を表したパッケージ写真をよく見ていただきたい。イカの様子がおかしくないですか?
どうです、こうして開けて見ればイカにもおかしい。だって、胴体に足が詰まっちゃってますよ。これは一体、どうやって造ってるのだろうか。
イカ缶はこうして造られる
実際に取材したときの様子をイラストで解説してみたい。まずはイカを作業台に乗せる。
次に足の付け根あたりをつかんで、胴体から引っこ抜く。こうしておいてから、内臓や固いくちばし(イカには鳥のようなくちばしがある)を取り除くのだ。イカもさぞ驚いたことだろう。
そうしてコンパクトになった身(ほとんど足)を、再び胴体に挿入する。これをちょんちょんと筒切りにすれば、あの胴体に足がびっしり詰まった不思議な光景となるわけであります。イカったイカった。
缶たんレシピ「イカ缶とわかめのぬた」
今回の缶たんメニューは「イカ缶とわかめのぬた」にしてみた。作り方は例によって缶た〜んであります。
水で戻したわかめを食べやすい大きさに切り、イカと一緒に器に盛りつけておく。この時、缶汁は捨ててはいけません。小鍋に缶汁と酢大さじ1、味噌少々を入れて火に掛け、沸騰したら火を止める。これをイカとわかめにかければ缶成!
かくのごとし。イカのうまみがプラスされた酢味噌は甘酸っぱくて、食欲の落ちるこの時期にはぴったりですぞ。
イカは低カロリーで低脂肪、高タンパクでもあり、コレステロール低下に役立つといわれるタウリンも豊富。だから積極的に摂りたいものだけど、ここ数年で日本近海のイカの漁獲量は激減している。そんなイカのありがたみを、手軽な缶詰で再確認したいものであります。
缶詰情報
いか味付 / マルハニチロ
希望小売価格 500円(税別)
全国のスーパー、コンビニエンスストアなどで購入可
黒川勇人/缶詰博士
昭和41年福島県生まれ。公益社団法人・日本缶詰協会認定の「缶詰博士」。世界50カ国以上・数千缶を食している世界一の缶詰通。ひとりでも多くの人に缶詰の魅力を伝えたいと精力的に取材・執筆を行っている。テレビやラジオなどメディア出演多数。著書に「旬缶クッキング」(ビーナイス/春風亭昇太氏共著)、「缶詰博士が選ぶ!『レジェンド缶詰』究極の逸品36」(講談社+α新書)、「安い!早い!だけどとてつもなく旨い!缶たん料理100」(講談社)など多数。
公式ブログ「缶詰blog」とFacebookファンページも公開中。