タイヤの空気は抜け、チェーンは錆び、サドルも切れている……そんな休眠クロスバイクを復活させ、快適性も劇的にアップデートされた。
前回の記事「休眠クロスバイクをリフレッシュする」では、マイナビニュースの編集者Rさんが所持するも全く乗っていない2015年式ジャイアント・エスケープRX3を東京・世田谷にあるジャイアントストア二子玉川に預け、メンテナンスを依頼した。
まさか、ここまでキレイになるとは思いもしなかった。
一週間ぶりにジャイアントストア二子玉川で再会した2015年式エスケープRX3は、埃を被り、みすぼらしく汚れていたのが嘘のように生まれ変わっている。
スポーツバイクに乗る人は、皆、ちゃんと手入れをしていそうだが、実はメンテナンスをしない人が大半である。au損害保険の調べによると、スポーツバイクユーザーで一年で一回もメンテナンスをしていない人は、実に89.3%。街中で見る自転車のほぼすべてがメンテナンス不足と言っても過言ではない。
振動でねじは緩み、時間が経てば油分が不足し、紫外線でゴムや樹脂といった消耗品が劣化する。自転車は構造がシンプルな乗り物だ。それでもスポーツバイクは2000点近いパーツが使われており、チェーンやギアといった駆動系パーツは金属が露出した状態で組まれている。そのためメンテナンスは小まめに行うのが望ましい。
自転車を預けた後、ジャイアントストア二子玉川の加藤店長から送られてきた見積もりには
- 必須メンテナンス(ホイール、駆動部整備他)
- 推奨メンテナンス(チェーンと変速ワイヤ交換他)
- 快適向上プラン(サドルやグリップを交換他)
- セーフティキット(鍵やライト購入)
……の4項目があった。
Rさんは当初、廃車が頭をよぎったほどなので、それなりの費用がかかると覚悟していたが、送られてきた見積もりは思いのほか安かった。ならば、乗らなくなった原因のお尻の痛みを解消し、コミューターとして快適性も向上させたい。Rさんは店長にフルコースでお願いした。
かくして、エスケープRX3には女性用サドル《LIVコンタクト コンフォートプラス》が装着された。中央部分に穴が空いているのは、痛みの原因になる血行不良を防ぐため。女性の骨格に合わせて設計されたものだという。
お尻の痛みは、サイクリングでもっともポピュラーな悩みだ。経験豊富な人でも、度を過ぎれば痛くなる。しかし、半日程度のサイクリングで痛くなるなら、パーツ交換で改善できることもある。
「Rさん買った当時と比べて、最新のクロスバイクはタイヤが太くなっています。今回は買ったときよりも太い新型にしてみましょう」と店長。
タイヤは28Cから30Cに。スペック上はわずか2㎜の差だけど、走ってみると印象は大違い。空気圧を下げても走行感が軽く、クッション性も向上して路面の凹凸もマイルド。太くなって接地面が増え、空気圧も下がれば走行感は重くなりそうだが、そうはならないのが進化である。
交換したパーツ、とりわけ身体が触れるパーツの効果はてきめん。新しいグリップは手に馴染む形状で握り心地がいいし、スニーカー用に交換されたペダルも快適。なにより、メカニックの伊藤晋吾さんが丁寧に手を掛けてくれた効果を随所に感じられる。
チェーンとシフトワイヤが新調され、変速レバーのタッチは軽く、チェーンが隣のギアに移るタイミングも1テンポ早くなった。また、ブレーキもレバーがスムースに動き、利きもいい。これらの感触は、本来の性能を取り戻したものであって、いつしか失ったものだ。
どれくらいのペースでメンテナンスをするべきか?
駆動系パーツがケースに入っているシティバイクと違って、クロスバイクはチェーンやギアが露出しているため、雨で濡れたら注油するのが基本である。雨天は乗らないとしても、ベイエリアの屋外駐輪と、海から遠い地域で室内保管されているクロスバイクでは傷み方も大きく違う。
「一概には言えませんが、違和感があったらすぐに。まめにお店に寄ってもらうのが理想です」(加藤店長)
基本的には季節ごとに1度はショップを訪れる。メンテナンスの必要はないかもしれないが、健康診断のようなもの。問題が早期に発見できると費用も安くなる。タイヤやブレーキパッドのようにゴム類は磨耗だけでなく、RさんのエスケープRX3のように、劣化すれば要交換となる。
自転車を長持ちさせるコツは、きれいにしておくこと。たとえば、チェーンが磨耗するのは汚れ(砂と金属片)がプレートやピンの間に入り込み、擦れることで磨耗を早めてしまうからだ。さらに油膜がなくなれば、錆びやすくなる。いつもキレイにしていれば、チェーンは長持ちする。
フレーム、サドル、ハンドルなどを拭く習慣をつけておくと、キズや磨耗に気づくようになる。クロスバイクなら、タイヤの空気は週に一度はチェックしよう。これだけでパンクする可能性が減るし、快適に走れるようになる。
多くのスポーツバイクは性能を十分に引き出せていない。サドルを2㎝高くするだけで乗りやすくなることもあれば、チェーンに注油すると音が静かになったり、ワイヤ類を交換すると操作性が驚くほど良くなったり、メンテナンス次第で伸び代はたくさんある。
そして、乗らなくなっているだけのクロスバイクなら、コンディションが悪くても、Rさんのジャイアント・エスケープRX3のように性能や機能は復活させることができる。シンプルな構造で身近な自転車だが、素人判断は事故の元。気掛かりなポイントがあるときは、ショップに相談するように。
協力:ジャイアントストア二子玉川
所在地:東京都世田谷区玉川1丁目10−7
営業時間:月木金 11:00~20:00、土日祝 10:00~19:00
定休日:火曜日、水曜日
アクセス:東急田園都市線・大井町線「二子玉川」駅より徒歩2分











