かわいいイラストと動画の投稿が人気を呼び、SNSで100万人を超えるフォロワーに支持されるイラストレーター・みりんさん。2作目となる書籍『Adobe Frescoイラストメイキングガイド』(マイナビ出版刊)の出版を記念して、活動についてじっくりお話を伺いました。
『Adobe Frescoイラストメイキングガイド』
著:みりん
協力:アドビ株式会社
イラストメイキング:宮下和、potg、りたお
定価:2,365円(本体2,150円+税10%)
発売日:2024年8月27日 判型:B5判/フルカラー ページ数:168ページ
Adobe Frescoにしかだせない個性がある
編集部:前作『毎日が心ときめく ほのぼのイラストレッスン帖』に続き、2作目の出版おめでとうございます。かわいいイラストの描き方をテーマにした前作に対して、今回はAdobe Fresco(アドビフレスコ)というアプリの解説本です。なぜAdobe Frescoをテーマに選んだのかお聞かせください。
みりん:ありがとうございます! Adobe FrescoはiPhoneやiPadでイラストが描けるアプリなんですが、なんと「無料で使える!」というのがまず大きな魅力だと感じています。世の中にはさまざまなイラスト描画アプリがありますが、Frescoは無料にもかかわらず、「Adobe Frescoでしか出せない味」があるんです。
「この絵を描くならFrescoじゃないとだめだな」とか、こういう質感を出したいな、と思ったときに「Frescoのあのブラシを使おう」って思い出す。これってすごいことだと思いませんか? 有料のアプリが使いやすいってある意味当たり前。だけどその中で、無料のFrescoじゃなきゃ!って思わせる機能がある。無料が有料に勝つってすごいことだぞ、と。イラストを描くみなさんに、「Adobe Frescoってこんなに素敵なアプリだよ」「こんな質感のイラストが描けるよ!」ってお伝えしたかったという気持ちが企画のきっかけになりました。
編集部:たしかに書籍制作中、Adobe Frescoのブラシが生み出す質感にはしびれました。特にライブブラシは、Adobe SenseiというAI機能によって、リアルなブラシのにじみを表現できる画期的な機能ですよね。
みりん:そうなんです。それに加えて、いろんな機能が続々とアップデートされていくライブ感も魅力の一つ。これからの展開が期待できる、見て・使って楽しいアプリです。ただ、アップデートが多いことでついていけなくなってしまう方もいらっしゃるかもしれません。そんな方にも使っていただけるように、書籍の中には「基本の機能」と「新機能」、どちらもバランスよく入れるように心がけました。これからAdobe Frescoを始める人にも、今までも使っていたけどあまり新機能を追えてないって人にも、Frescoの辞書替わりにしてもらえる1冊に仕上がったと思っています。
イラストを描く楽しさをたくさんの人に届けたい
編集部:本書は中学校に寄付される予定とお聞きしました。
みりん:まだ確定ではないのですが、書籍の寄付は前著『毎日が心ときめく ほのぼのイラストレッスン帖』でも実施しているんです。そのときは小学校を対象にしたのですが、今は授業でiPadを支給されている子たちも多いと聞くので、今回は神戸市の中学校、85校に書籍を寄付できたら、と考えています。どちらも想いは「子どもたちに絵を描く楽しさを知って欲しい」ということで共通しています。
編集部:中学生だと、まだデジタルイラストを描いたことがないよって人も多そうですよね。
みりん:そうですね。私、中学では美術部だったんですが、木炭を使った彫刻デッサンをひたすらしていて。なぜかっていうと、私の学生時代には「デジタルでイラストを描く」って選択肢があまりなかったんです。もちろん木炭デッサンのような基礎も大事なことなんですが、あのときにデジタルって手段を知れていたらなあと思うこともあって。なので、アナログとデジタル、どちらにも早い段階で挑戦して、選択肢を増やせる環境を作る。本書がその幅をひろげるきっかけを作れたらいいなと思っています。
編集部:「アナログの方が好き」「デジタルの方が好き」ってやってみないとわからないことですもんね。
みりん:自分が何が好きか、比べて気付くことができますよね。それにアナログでイラストを描くとなると、画材を準備するのが大変という方もいるかもしれません。でも、Adobe FrescoならiPadかiPhoneがあれば、かんたんにイラストを描くことに挑戦できる。絵を描く楽しさをこの1冊を通じて知ってもらえたら嬉しいです。
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— NTTドコモ (@docomo) August 20, 2024
人気イラストレーターみりんさん
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⠀ Adobe Fresco
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子どもたちが目標とするような大人でいたい
編集部: 今回2冊目の書籍を執筆されましたが、この先やりたいことなどはありますか? 前回のインタビューでは「イベントでファンの皆さんに会う機会を作る」ことを挙げていらっしゃいました。
みりん:あのあと宣言通りイベントをたくさん開催して、たくさんのファンの方にお会いすることができました。それで実感したのは、私がここまでこれたのは支えてくれているファンの皆さんのおかげだということ。ファンの皆さんの笑顔をもっと見たい、できることは惜しまず、皆さんに活動で還元していきたいと改めて考えるようになりました。
特に私は小中学生のファンの子たちが多いので、その子たちにとって「こんな大人になりたい」と思える存在でいたいというのは、大きな目標の一つです。なので、先程お話した寄付活動のように、引き続き社会貢献になるような活動はやっていきたいと考えています。自分自身がかっこいいと思えるような、いい大人の見本でいたい。そのためにできることを考えながらやっていけたらいいですね。
編集部: イベントでいつもみりんさんの応援にきてくれる人たちは、みんな目がキラキラしていますよね。
みりん:月に2、300人のファンの方に会うことを続けていると、ファンの皆さんの力って本当に大きいんだな、としみじみ感じるんです。イベントにはなかなか来られないけれど、SNSなどで応援してくれている人たちもいて。そのことにおごらず、地に足をつけて活動をしていきたいです。
イラストで大事にしているのは5%のせつなさ
みりん:もう一つの目標は、自分が描いているキャラクターをもっと有名にして絵本を作りたいということ。子ども向けより、少し大人向けの方が合っているかな、と思っているんですが、うまく形にできないか模索中です。
編集部:SNSに投稿している作品の中には、大人が共感できるようなちょっと切ない言葉付きのイラストもありますもんね。
みりん: 原田治さんという有名なイラストレーターさんがいらっしゃいますが、その方がかわいいは明るいだけじゃなく、5%ほどの淋しさや切なさの隠し味を加味するのだ※、というようなことを自伝で仰っていて。原田さんは小さな頃からずっとすきなイラストレーターさんで、私の心の師匠なので、自分が絵を描くときにもどこかそれを意識しています。100%のかわいいではなく、数%のはかなさやもろさ、せつなさをイラストに加えることで、より「かわいい」が深まると考えています。
※原田治『OSAMU'S A to Z 原田治の仕事』(亜紀書房)
編集部:みりんさんのイラストを見ていて、ほんのすこし淋しい気持ちになるのは、原田さんの影響もあるんですね。
かわいいとわくわくを届けたい
みりん:そうですね。私の活動のテーマは「かわいい」と「わくわく」を届ける! ということ。それを軸にしながら何ができるかな、と日々考えています。絵本の他にも、自分が建築の仕事をしていた経験があるので、イラストと建築を絡めて何かできないかな、なんて考えたり。まだまだやりたいことがたくさんあります。でもやっぱり根本にあるのは、皆さんに絵の楽しさを知ってほしいということ。『Adobe Frescoイラストメイキングガイド』で、デジタルならではの機能をいっぱい使って挑戦してほしいです!
編集部:お話を伺う中で、みりんさんがファンの皆さんを本当に大切に思っていらっしゃるんだな、というのを改めて感じました。社会貢献など、みりんさん独自の視点のお話も伺えて、今後のご活動がますます楽しみになりました。本日はありがとうございました!
みりん: ありがとうございました!