今回紹介するのは"Your toenails may hold clues to your risk of developing lung cancer, a new study finds."とあるように、新たな研究結果によると、何と「足の爪を調べることで、今後肺がんになるリスクの度合いが分かってしまう……!?」というお話。

1986年に実施された、とある健康関連のアンケートに答えてくれた人の中から、翌年の1987年に33,737人の男性から足の爪のサンプルの提供を受け、それらのニコチンの含有量を計るというのがその研究内容。

そして結果はと言うと、"The results show men with high levels of nicotine in their toenails were about 3.5 times more likely to develop lung cancer than those with lower levels of nicotine, regardless of their smoking histories."「その人の喫煙歴に関わらす、足の爪でニコチン濃度が高かった人は低かった人に比べ、3.5倍も肺がんにかかる確立が高い」ということが明らかになったんだとか。

喫煙=肺がんの危険。そして吸えば吸うほどその危険度は上がるというのが従来の概念とされていますが、今回の研究実験はそれを覆すもの。"Studies that only ask people how much they smoke might misjudge the amount of nicotine people actually inhale ― either because people fudge a little when they answer, or because some may smoke fewer cigarettes than others but inhale more deeply, taking in more tobacco carcinogens."とあるように、「どのぐらいタバコを吸うかだけではその人の真のニコチンの摂取量は分からない。なぜなら人によっては本数を曖昧に申告するかもしれないし、吸う本数が少ない人でも吸い込みが深ければその分タバコに含まれる発がん性物質の取り込み量は上がる」など、こういう点こそ重視されるべきだというんです。

では何故「足の爪」なんでしょう?……記事によると人の足の爪は成長がゆっくりだから。よって、発がん物質のレベルを調べるには、ツバや尿、または、髪の毛などよりも適しているんだそうです。

本記事はまた"The researchers noted that nicotine is not a carcinogen, but the findings are based on the assumption that higher levels of nicotine correspond to higher levels of exposure to carcinogens in tobacco."「ニコチン自体は発がん性物質ではないが、ニコチンの摂取量とタバコに含まれる発がん性物質にさらされる度合いは一致する」。つまり、足の爪のニコチンレベルが高ければ、喫煙によって体内へ取り込まれた発がん性物質のレベルも高いということのようです。

因みに、足の爪を提供したこの33,737人の内、1988年から2000年の13年間で、肺がんになった人は210名、ならなかった人は630名。当然ながら肺がんになった210名の爪では高いレベルのニコチンが検出されていたんだそうです。

さらに驚くべきことはこの210名の中の約一割が一度もタバコを吸ったことがない人たちだったということ。つまりタバコに含まれる発がん性物質への汚染は喫煙者でなくても、間接喫煙でも起きうることだと記事は述べています。

※本記事は2011.3.2付けの"the American Journal of Epidemiology"で発表されたデータに基づくものです

今回のURLは、Toenails may hold clue to lung cancer risk - Health - Cancer - msnbc.com。興味がある方は是非チェックしてみてください。

英語ワンポイント :

間接喫煙(副流煙)のことは英語では"secondhand smoke"と言います。

"secondhand"はもともとは「お古」といったような意味なので、ここでは「お古の煙=使い回しされた煙」といったような感じになります。

また因みに、人からされた忠告を他の人にもするような忠告のことを"secondhand advice(また聞きの忠告)"とも言います。

ではまた次回。