片瀬 上州屋

藤沢・片瀬エリアにある日蓮聖人・龍口法難の霊場、龍口寺。その門前に、1828年創業、200年近い歴史を持つ老舗和菓子店「片瀬 上州屋」があります。

創業は江戸時代の1828年(天保元年)。長い歴史を持つこちらのお店ですが、2025年8月1日にリニューアルオープンを果たしました。先代からの歴史を守りながらも、風通しの良さを感じる「片瀬 上州屋」。8代目店主、新倉さんにお話を伺いました。

和菓子の香りが広がる新しい店舗

江ノ島電鉄「江ノ島駅」から腰越方面へ3分ほど歩いて行くと、龍口寺門前に見えてくるのが「片瀬 上州屋」です。富士山の形に抜かれた暖簾をくぐると、和菓子の並ぶ明るい売り場が広がります。

2025年8月にリニューアルしたばかりの店舗は、外光の差し込む大きな窓と、深い緑色の壁が印象的でした。売り場の向こうには和菓子を製造している厨房がガラス越しに見え、ここで手作りしているのだなと感じられます。

以前は3階建ての店舗で、1階と2階で売り場と工場を分けていたそうですが、今回のリニューアルでは、1階に売り場と工場を集約させました。少人数でも効率よく運営するための工夫でしたが、思わぬ効果も。

「工場が1階になったことで、お客さんから『和菓子の香りがする』と言われるようになりました。」

時間によっては、あんバターライトのバターの香りや、酒まんじゅうのこうじの発酵する香りがすることも。取材中も工場の方から小豆のいい香りが漂っていました。

上州と片瀬をつなぐ、ふたつの「片瀬まんじゅう」

店名「上州屋」の由来は、江戸時代末期の1828年(天保元年)、初代・吉蔵が上州(群馬県)から片瀬の地へやってきたことに始まります。

上州屋発行の『片瀬饅頭の栞』には、その成り立ちがこう記されています。

初代吉蔵上州(群馬県)より此の地に来り菊屋と号して掛茶屋を営む当家に入婿し彼地独得の酒まんぢうを片瀬まんぢうと称して売出しました世人は何時しか上州屋と呼ぶ様になりました。

龍口寺門前にあった茶屋「菊屋」に婿入りした吉蔵が、故郷・上州の名物である酒まんじゅうを持ち込んだのが「上州屋」と呼ばれるようになった由縁だそうです。そこへ、元々片瀬の地で親しまれていた、黒糖使用の茶まんじゅうが加わり、ふたつ合わせて現在の「片瀬まんじゅう」となりました。

「片瀬 上州屋」の歴史がぎゅっと詰まった、ふたつでひとつの「片瀬まんじゅう」。また、群馬県の温泉まんじゅうのルーツは、片瀬から上州へ逆輸入されたものという説もあるらしく、ロマンがあるなと思いました。

力も技術も必要なあんこ作り

和菓子づくりには欠かせない「あんこ」。最近は仕入れたあんこを使うお店も増えていますが、上州屋ではすべて小豆から炊き上げる「自家製」を貫いています。

「小豆を水にさらして、茹でこぼして、それから炊く。機械があるとはいえ、あんこ作りは重労働です」と新倉さんは語ります。

「いつまで続けられるかわからない」という言葉がこぼれるほど、技術も力も必要なあんこ作り。その日の湿度や天候によって作り方を微調整するという話には驚かされました。

取材後、実際にあんこをいただいてみると、小豆の豊かな風味をしっかり残しつつ甘さはとても軽やか。粒あんは食感が楽しく、こしあんは舌の上でサラリと溶けていくような繊細な口どけでした。

それでは、この自家製あんこを楽しめる「片瀬 上州屋」の和菓子の数々を見ていきましょう。

自家製あんこを味わう和菓子いろいろ

▲まずは、龍ノ口みやげの「難除けぼたもち」(6個入500円/税込)。龍口寺には、日蓮上人がぼた餅を食べて難を逃れたという故事があります。それにちなんで作ったあんころ餅はお寺参りの方々の定番のお土産。龍口法難会の開かれる9月12日には「うちはぼたもち屋さんになる」と新倉さんの奥様は笑います。

▲先ほどもご紹介した上州屋名物の「片瀬まんじゅう」(酒・茶各150円/税込)。1個150円から手軽に楽しめます。上州発祥の酒まんじゅうは米こうじの発酵力でふっくら蒸し上げられており、食べると独特の発酵の香りがふわっと鼻を抜けていきます。茶まんじゅうは豊かな黒糖味。お茶がよく合います。

▲富士山と江ノ島がデザインされた「富士山と江ノ島もなか」(小倉・白あん各200円/税込)。

小倉をいただきましたが、見た目にもかわいいもなかの中にぎっしりあんこが詰まっており、ダイレクトにあんこを味わいたい方にはおすすめの逸品です。

▲チーム腰越によるバザー「龍口寺バザール」で好評を得た「葛キューブ」(400円/税込)。人気の葛アイスバーを食べやすいサイズにしたもので、抹茶あずき、いちごミルク、みかんの3種が入っています。あんこではありませんが、抹茶味の中に丁寧に炊かれた小豆が顔を出し、小粒ながらも絶妙なアクセントを添えています。

アイスなのに柔らかく、プリンプリンとした葛独特の食感は、一度食べればクセになること間違いなし。キューブ状なので誰かとシェアしても、1人で3種楽しんでも良さそうです。

▲製造時にはその香りが流れてくるという「あんバターライト」(240円/税込)。ふくふくのブッセ風生地に自慢のあんこと濃厚バタークリームをサンドしました。

▲取材に伺った4月17日は端午の節句を控えた時期。季節の和菓子「かしわ餅」(こしあん・つぶしあん・みそあん各250円/税込)が並んでいました。

大きなかしわの葉っぱに包まれた白いつやつやのお餅にぎゅっと詰め込まれたあんこ。

白いお餅のこしあんをひと口食べると滑らかなあんこが口いっぱいに広がります。「しっかりついた」という宣伝文にも頷けるほどお餅もモチモチ。食べるたびに鼻をかすめる柏の葉の香りに癒やされます。

よもぎを混ぜ込んだ草餅の中にはつぶしあんがたっぷり。こちらは気軽にパクパク食べたい懐かしの味で、よもぎの風味に初夏を感じます。「みそあん」もメニューにありましたが、12時の時点では売り切れでした。お目当てがある方は早めに訪れることをおすすめします。

『うみのまち 上州屋さんのかしわもち』

かしわ餅の話になると「実は、このかしわ餅をテーマに作られた絵本があるんです」と、あるものを持ってきて下さった新倉さん。それは『うみのまち 上州屋さんのかしわもち』という絵本でした。

作:湘南たべまな便/絵:長谷川ナツキ/協力:片瀬上州屋

ページをめくってみると、やわらかいタッチで描かれるかしわ餅と上州屋の物語に思わず頬が緩みます。

この絵本が生まれたきっかけは、リニューアルに伴う1年ほどの休業期間中にありました。以前の店舗の姿を片瀬のフォトグラファーに撮ってもらい、少しづつInstagramに投稿していたところ、その写真が「湘南たべまな便」の目に止まり、制作のオファーを受けたのだそうです。

長谷川ナツキさんの描く優しいイラストには、かつての店舗の佇まいや、モデルとなった新倉さんご家族の姿が生き生きと留められています。この絵本は店頭で購入できるほか、店内には長谷川さんの原画も飾られています。ぜひ探してみてください。

丁寧な手仕事が紡ぐ、誠実な味

店主の新倉さんは、高校生の頃から家業を継ぐことを決めていたそうです。専門学校や浅草の老舗での修行を経て、現在は家族とともに暖簾を守っています。

そんな新倉さんにこれからのことを伺うと。

「まずは来ていただいた方に喜んでいただけるようにがんばっていきたいです。体が動く限りはお店に立ち続けたいですね。片瀬や腰越の皆さんに、おいしいと思っていただけるよう、家族みんなでこの店を守っていきたいと思っています。」

取材中、ひとつひとつの質問に言葉を選びながら答えてくださる姿が印象的でした。

長い歴史を背負いながら、変わらぬ真心でお菓子を届けする「片瀬 上州屋」。丁寧な手仕事が生み出すこの味わいを、ぜひみなさんも体験してみてください。

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最寄り駅 江ノ島駅, 江ノ島電鉄線
住所 神奈川県藤沢市片瀬海岸1丁目5−3
駅徒歩 江ノ島電鉄「江ノ島駅」より徒歩3分
営業日 月曜日
営業時間 9:30〜18:00
定休日 水曜日
予約 不明(店舗にお問い合わせください)
電話番号 0466-22-4055
受付開始 登録なし
受付終了 登録なし
予算(下限) 500
予算(上限) 1500
支払い方法 現金
支払い方法詳細 QR決済(※d払いは利用不可)
席数 なし(外にベンチ2台あり)
個室 無し
貸切 貸切不可
駐車場 無し
お子様連れ 可能
公式サイト https://jyoushuuya.wixsite.com/wagashi