4月6日(月)から、Mリーグは第2ステージのセミファイナルシリーズに突入。

今のチームランキングは、このようになっている。

上位4チームが、優勝の決まるファイナルシリーズへと駒を進めることが出来る。

4位のセガサミーフェニックスを目標にして、5位の赤坂ドリブンズや6位のTEAM雷電が追い上げてくる構図の「ボーダーライン争い」が、スリリングで面白い。

今回は先週の激戦の中から、現在4位のセガサミーフェニックス・竹内元太選手のオリジナル手順を紹介したいと思う。

長野県長野市出身の竹内選手。

身長が192cmと高いことからも、「無敵のタイタン」という二つ名を持つ。

明るくて豪快な性格の竹内だが、面白いことに麻雀のスタイルは「超守備型」である。

“麻雀には性格が出る”

とはよくいうものだが、雀風にはその人の知られざる一面が表れるのかもしれない。

その竹内のとんでもない手順が炸裂したのは、4月9日(木)の1試合目、南4局2本場のことだった。

赤坂ドリブンズの渡辺太が大きく抜け出している状況で、中盤に、

竹内は3-6萬待ちのテンパイを果たす。

俯瞰で見ると、このようになっていた。

(黄色の牌はツモ切り、白の牌は手出し、灰色の牌は「そこで鳴きが入った」ことを示す。)

リーチにする?

ダマにする?

それとも――

ハ・ズ・シ??

…えっ?!

外した??!!

なんと、竹内はリャンメンテンパイを外す選択をしたのだ!

4筒を切れば、竹内はピンフ(役牌以外の2枚組+数字が横並びの3枚セットが3つ+リャンメン待ち、で成立)という役でアガることが出来る。

画像下部の点数状況を見ていただくと分かるのだが、竹内は2着目。

トップの太とは離れているので、このままソロっとアガって逃げ切りたい局面である。

では、なぜ、竹内はテンパイを外したのだろうか?

それを考える際に、竹内の手にある4筒がキー牌となってくる。

もう一度、立体図を見てみよう。

今、上家にいる伊達が発を仕掛けている。

マンズやソウズをバラ切りしていることから、そして、8000点と開いている伊達と下石の差を詰めるためには打点が必要なことから、伊達はピンズのホンイツをしていると読める。

その伊達が「誰も場に切っていない」「自分だけの役牌」の西を余らせたことから、テンパイしていてもおかしくないと考えて、竹内は4筒を止めたのだった。

とんでもなく「堅い」選択だ。

確かに、西家にしか役とならない西は、字牌の中では相当強力な牌だ。

その「価値の高い」西が余ってきたということは、手の内にはもう、1枚だけの字牌がないだろう、と考えられるのである。

よって、「伊達はある程度手が整っているであろうし、イーシャンテン、もしくはテンパイでもおかしくない」と竹内は判断したのだ。

しかも、竹内と伊達の点差は16000点。竹内と下石は8000点差。

ここで竹内が4筒を打って、ドラが絡む伊達の発ホンイツに放銃してしまうと、8000は8600点を献上することになる。

すると、竹内はなんと伊達だけではなく下石よりも下に潜って、4着でゲームを終える羽目になってしまう。

いくらなんでもそれはまずい。

というわけで「石橋を叩きまくって壊す」ように、竹内は手をいったん崩す慎重策をとったのだった。

ABEMAプレミアムに入ると、試合のアーカイブを見ることが出来るのだが、

伊達が手から西を打った直後、

“スゥーーーーッッッ”

という音がハッキリと聞こえてくるのだ。

もしかして、これは竹内が息を飲む音だったのかもしれない。

真剣勝負中で、選手のリアルな反応が感じられるのも、Mリーグのいいところだ。

さて、そんなこんなで迂回した竹内だったが、2巡後に、

解説席「わーーーーーーー!!!!」

とんでもない赤5筒を引いて、再度テンパイ!!

待ちは3-6-9筒!

ピンフドラ赤赤が確定していて、3筒か6筒でアガれば456三色もつくのでハネマンだ!!

竹内は3索を打って、ダマテンに構えた。

終盤に、これをアガり、30000点を超える2着でフィニッシュ。

竹内は、チームにポイントを持ち帰ったのだった。

さて、試合後、竹内はSNSで「伊達の手が思っていた牌姿と違った」と話していた。

この部分が気になった私は、記事を書く前に竹内と連絡をとってみることにした。

そこで、意外な話が聞けたのだが、竹内は、

この打5萬のテンパイ外しを「ミス」だと感じているのだ。

竹内は、

“伊達の字牌の残し方を研究しておけば、4筒が切れたかもしれない”

と考えているのだそうだ。

なるほど、竹内は、

この「場に出ていない自分だけの役牌である西切り」のときに、他の孤立字牌がないと読んだ。

しかし、「ほのかに三元役が見えるケースなどでは三元牌を残す」傾向が伊達にあるとしっかり分析していれば、こういう手格好をしている可能性も考えられたかもしれない、と言っているのだ。

“そのときは4筒が勝負できた”と。

固定メンツでのリーグ戦では、対戦相手の分析が重要なことを思い知らされるエピソードだ。

ただ、竹内にも話したのだが、点数状況的に伊達が「あえて」三元役の可能性を消さないように牌を残した可能性も拭えない。

他家を警戒させながら進める目的で、この局面だからこそ、西よりも中や白を残したケースも考えられる。

竹内が、最悪の4着落ちを想定し、伊達から西が余ったのを見てドラ表示牌の4筒を止めたのは、「盤石のタイタン」竹内元太らしい選択だと私は思う。

そして、なんと研究熱心なことだろうか。

私なんかは、赤5筒を引いて奇跡のハネマンをアガれたら、それだけで舞い上がってしまいそうだ。

しかし、竹内はアガリを決めてもなお、考えることを止めていないのである。

ちなみに、

ここで読み切って4筒を通していたら、

伊達から中も白も余ってきたこのタイミングで、

“赤5筒と入れ替えることになる8筒を捨てることが出来ずに、オリていた”

という竹内。

さらには、この3-6-9筒テンパイからも、

“ピンズを引いたらやめるつもりだった”

と話してくれた。

まさに鉄壁。

それでいて、Mリーグに加入した昨年度からここまでで、500ポイント以上のプラスを叩き出している凄腕だ。

色んなタイプの打ち手がいるから、麻雀は面白い。

“だから、アガれたのはラッキーでした”

と謙虚に話す、「結果に満足せず、研究と反省を重ねる打ち手」竹内元太。

また、次の闘牌が楽しみだ。

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