罪を償った人が"社会的孤立"に陥らないために…地域で立ち直りを支援する「更生保護ボランティア」の役割とは?
杉浦太陽と松井玲奈がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・松井玲奈 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。

4月12日(日)の放送テーマは、「明るい地域づくりのために! 更生保護ボランティア」。法務省 更生保護振興課の林光一(はやし・こういち)さんから、更生保護ボランティアの役割や重要性について伺いました。


(左から)松井玲奈、林光一さん、杉浦太陽


◆更生保護ボランティアとは?

更生保護とは、罪を犯した人が地域のなかで再出発を目指す際、その立ち直りを支え、再び犯罪や非行に陥るのを防ぐ取り組みを指します。その重要な役割を担っているのが、地域に根ざした更生保護ボランティアの存在です。

日本では、国内で検挙された人のうち約2人に1人が再犯者であるとされており、再犯防止は大きな課題となっています。罪を償って社会に戻ろうとしても、「仕事がない」「住む場所がない」「頼れる人がいない」といった現実に直面し、社会的に孤立してしまうケースも少なくありません。

実際、刑務所を出た時点で住む場所がない人は、約7人に1人とされています。林さんは「国による支援などもありますが、それに加えて欠かせない重要な存在が、地域社会と立ち直ろうとしている人たちをつなげる更生保護ボランティアの方々です」と話します。

◆更生保護ボランティアの役割を学ぼう

更生保護ボランティアにはさまざまな立場がありますが、その代表的な存在が「保護司」です。林さんは「“法務大臣から委嘱された非常勤の国家公務員”という身分ですが、給与は支給されません。いわば地域の公的なボランティアです。“地域の事情を良く知っている”という特性を生かして、仕事を持ちながら活動する人も多くいらっしゃいます」と説明します。

活動内容は大きく3つあります。1つ目は、保護観察中の人と月に2~3回ほど面談し、生活状況を見守りながら助言をおこなうことです。2つ目は、刑務所や少年院を出る人の社会復帰に向けた準備です。「関係者と『住む場所はあるか』、『家族は受け入れてくれるか』、『仕事や学校の見通しは立っているか』などを相談しながら、釈放後の生活環境を一緒に整えていきます」と解説します。

そして3つ目は、犯罪や非行を未然に防ぐための地域での活動です。その中心が社会を明るくする運動(法務省が主唱する国民運動)で、立ち直りに対する地域の理解と協力を広げるため、イベントで更生保護を紹介するなど、明るい地域づくりに取り組んでいます。現在、全国で約4万5,000人が保護司として活動しています。日本の更生保護の仕組みは海外からも高く評価されており、国連の文書でも「Hogoshi」と日本語のまま紹介されています。

◆地域に根ざす多様な支援活動

一方、保護司をはじめとする更生保護ボランティアの人数は減少傾向にあります。しかし、更生保護への関わり方は1つではありません。「『人が好き』、『困っている人を放っておけない』そんな気持ちがあれば、関われるボランティアは他にもあります」と力を込めます。

その1つが、犯罪や非行のない明るい地域社会をつくろうと活動しているボランティア団体「更生保護女性会」です。全国に約11万人の会員がおり、地域での声かけや見守りといった犯罪予防活動に加え、青少年の健全育成や子育て支援、更生保護施設へのサポートなど、暮らしに寄り添う幅広い活動をおこなっています。

更生保護施設は、すぐに自立した生活を送ることが難しい人々が、社会復帰に向けて一定期間生活する施設です。そうした場所で、更生保護女性会のメンバーが料理教室を開いて「おふくろの味」を伝えたり、食事の提供や花・本の寄贈をおこなったりして、日常に寄り添う支援を実施しています。さらに、林さんは「地域の方同士で、家庭でのしつけや非行など、身近なテーマについて気軽に話し合うミニ集会を開いたり、子育て中の親御さんを対象に、子育て相談や親子で参加できる交流の場をつくったりしています」と紹介します。

ほかにも「BBS会(Big Brothers and Sisters Movementの略称)」という青年を中心としたボランティア団体もあります。生きづらさを抱える少年に対し、兄・姉のような立場で寄り添いながら、ともに悩み、学び、楽しむことで立ち直りや自立を支援しています。全国に約4,700人の会員を擁し、その半数は学生で、大学単位で活動するグループも存在します。活動の一環としておこなわれるグループワークでは、スポーツやレクリエーションを通じて交流を深めます。「一緒に体を動かしたり遊んだりするなかで、だんだん打ち解けて本音を話してくれるようになります」と林さんは補足します。

また、更生保護ボランティアのやりがいについて伺った調査では、多くの人が、支援した相手や周囲から伝えられる「ありがとう」という言葉を挙げています。実際に、刑務所や少年院の取り組みを紹介する「矯正展」の来場者が書いたメッセージのなかには、保護司からの「立ち直ってお礼を言われるとうれしい!」という声や、かつて支援を受けた側からも「信じてくれてありがとう」「最後の面接のときの言葉を胸に頑張れています」といった感謝の言葉がありました。支える側と支えられる側が、互いに影響を与え合う関係が築かれていることが分かります。

そして、4月17日(金)は「国際更生保護ボランティアの日」です。これは、保護司をはじめとする地域ボランティアの取り組みを広く知ってもらうため、2024年に創設された記念日です。当日は全国各地の建物や名所が、更生保護のシンボルカラーである黄色にライトアップされる予定です。

最後に林さんは、「更生保護というと“特別な人が関わるもの”と思われがちですが、立ち直ろうとする人を理解したり、地域で見守ることも支援の1つです。更生保護や更生保護ボランティアに関心を持っていただき、新たな被害者も加害者も生まない、安全で安心な明るい地域社会をみんなでつくっていきましょう!」と呼びかけました。

番組のエンディングでは、杉浦と松井が今回学んだ「更生保護ボランティア」について復習。2人が特に注目した点をピックアップして発表します。まず松井は“更生保護 更生保護ボランティアに関心を持っていこう”と注目ポイントを挙げました。続いて、杉浦は“4月17日は国際更生保護ボランティアの日”とスケッチブックに書き、「イエローのライトアップを見て“今日はこの日だ”って気付いてもらえたらいいよね」とコメントすると、松井も「まずは関心を持つことが大事ですね」と共感していました。


(左から)松井玲奈、杉浦太陽



<番組概要>
番組名:杉浦太陽・松井玲奈 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、松井玲奈
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/
番組公式X:@manabiyori_tfm