皆さんもすでにご存知の通り、2026年4月からこれまで自動車などに適用されてきた「交通反則通告制度」、いわゆる“青切符”が新たに自転車にも導入され、自転車に対しても交通ルールの遵守が一段と求められるようになった。これに伴い、原則として自転車は車道の左側を通行しなければならなくなった(13歳未満の子供、70歳以上の高齢者、身体の不自由な人が普通自転車を運転しているときは除く)。

以前から車道を通行するよう警察からの指導はあったが、今回の新規則の導入により、正当な理由なく歩道を走行し、かつ交通や事故の危険が高まると判断される場合は「走行区分違反」として反則金の対象となる可能性がある。

  • 木に立てかけてあるドロップハンドルの自転車

普段から車道の走行に慣れているサイクリストなら大きな問題ではないかもしれない。しかし、買い物や通勤だけに自転車を使用していたユーザーにとっては、意外とハードルの高いルールだといえる。1mから1.5m横を自動車が通り過ぎていく――この距離感で走行中の自動車のそばを走るのは、慣れていない人にとっては恐怖心が大きいだろう。

では、もし事前に後方から近づいてくる車両を把握できるならどうだろうか?
恐怖心を完全に払拭できるわけではないものの、気持ちに余裕が生まれ、左に寄って走行したり、状況に応じて一旦自転車を停止して自動車をやり過ごすなど、危険を回避するための選択肢が増える。

そうした恐怖感や危険リスクを少しでも減らすために、ぜひおすすめしたいのが自転車用バックミラーである。

【検証】実際に“自転車用バックミラー”を使ってみた

  • 左:bush muller サイクルスター901、右:GIZA PRODUCTSの製品

    写真左:busch muller サイクルスター901、写真右:GIZA PRODUCTSの製品

今回はSAM’S BIKE様南風自転車店様から現物をお借りし、実際に自転車に装着して検証してみたいと思う。

写真左のbusch muller サイクルスター901は、ドロップハンドルのバーエンドに差し込むタイプ。平面のガラス製ミラーなので距離感をつかみやすいのが特徴だ。

写真右はGIZA PRODUCTSの製品で、ラバーバンド式のため、フラットハンドルにも取り付けが可能。ミラーは凸形状になっており、広範囲を映し出すことができる。

  • 左:ドロップハンドルにバックミラーを取り付けた様子、右:フラットハンドルに取り付けた様子

    写真左:busch muller サイクルスター901を装着、写真右:GIZA PRODUCTSの製品を装着

一昔前の大きく横に張り出したデザインとは違い、必要最低限の大きさに抑えられているため、取り付けても違和感のないデザインとなっている。

  • 左:車道を走行する自転車ユーザーの様子、右:実際にバックミラーを使って車道を走っている様子

    バックミラーを装着して、実際に道路を走ってみた

写真左のようなシチュエーションでは、駐車車両を避けるため、右側に車線変更する必要がある。前方を走る男性は、車線変更前に後ろを振り返り、目視で安全確認をしていた。
一方、手前の女性は、後方から自動車が通り過ぎるのを待ってから発進していた。

右の写真は時間差ではあるものの、同じ場所でミラーに後方の自動車がどのように映るのかを確認するために撮影したものだ(撮影時は安全確認を行なったうえで、自転車から降りている)。

後方から近づく自動車をミラーで確認することができる。ただし、死角になっている部分もあるため、必要に応じて目視確認も必要となる。

  • 凸形状のミラーから後ろの車が確認できる

    フラットバーに凸形状のミラーを取り付けてみた

こちらはフラットバーに凸形状のミラーを取り付け、駐車場で撮影した写真である。茶色の自動車との距離はおよそ4mあるが、かなり広範囲を映し出していることが分かる。ただし、凸形状の性質上、歪曲が大きく、遠近感を掴むにはある程度の慣れが必要かもしれない。

バックミラーは日常使いからロングツーリングまで役立つ

筆者は今から5年ほど前、これらのバックミラーを1年間使用していたことがある。海外のサイクリストが装着していたのを見て、参考にしたのだ。

札幌から稚内の約320kmのツーリングでは、バックミラーが非常に実用的で、疲労軽減にも役に立つことを実感した。しかし、あるとき強風により自転車が倒れ、ミラーを破損してしまった。それ以降、再び購入することはなく、使わなくなっていた。

車線変更が必要な場面でもバックミラーがあれば、後方から近づく車両がないかをわざわざ振り返ることなく確認できる。長時間の走行において、後方確認のために振り返る動作は身体への負担が大きい。

特に自転車に荷物を積載しているときは、バランスを崩しやすいので、より注意が必要だ。バックミラーを装着することで、振り返る動作を最小限に抑えられ、転倒事故のリスクを減らす効果も期待できるだろう。

今回の交通規則が施行される前は、比較的気軽に歩道を走行していたという経緯がある。駐車車両の多い道路や工事中の区間では最初から車道を走らずに、スピードを落として歩道を走ることもあった。しかし、現在はそういうわけにはいかない。
※例外として歩道の走行が認められる場合もあるため、詳しくは警察庁のHPをご確認ください。

車道走行の義務がより明確になった今、バックミラーは筆者の実体験からも、是非取り入れてほしいアイテムである。といっても、あくまで安全を補助するためのアイテムということは忘れてはいけない。ミラーの確認だけに頼って判断してしまうと、かえって危険な状況に陥ってしまう可能性もあるからだ。

今回、協力していただいたサイクルショップの店主の方々から、バックミラーのメリットと注意点についてお話を伺うことができたので、以下にまとめてみた。

■メリット
・車線変更の直前に振り返るよりも早い段階で、後方の車両を確認できる。
・特に夜間は自動車のヘッドライトがミラーに反射するため、後方から車両が近づいていることに気が付きやすい。
・振り返る動作を最小限に抑えられるため、バランスを崩しにくく、首の負担も軽減される。

■注意点
・ミラーだけで安全確認を行うのは危険であり、状況に応じて目視による確認も必要。
・振り返る動作を完全に省略してしまうと、自動車の運転者からはノールックで車線変更をしているように見えるため、必要以上に警戒心を与えてしまうこともある。
・手信号やジェスチャーも忘れずに行う。

以上、注意点も踏まえたうえで、安全運転を心がけましょう!