欧米に続き、アジアでも!ワンメイクレースシリーズ「マクラーレントロフィー」開催へ

2026年3月25日、F1日本GPウイークにあわせてマクラーレンは「McLaren GT Racing Press Conference」を開催。2027年よりついにアジア、そして日本でもマクラーレンのワンメイクレースシリーズを始動することを発表した。

【画像】マクラーレンGTレーシングの歴史を彩ったマシンたち(写真11点)

ここで少しマクラーレンのGTレーシングの歴史をふり返ってみる。マクラーレンは1963年にブルース・マクラーレンによって創設されたレーシングチームをルーツとするブランド。世界3大レースといわれるインディ500、F1モナコGP、ル・マン24時間レースのすべてで勝利する”トリプルクラウン”を達成した唯一のコンストラクターとしても知られている。

なかでも伝説として語られているのが、1995年のル・マン24時間レースだ。自分の車でル・マン24時間に出たいというプライベーターの要望に応えてロードゴーイングカーとして開発されたマクラーレンF1をベースにレース仕様のマクラーレンF1 GTRを製作。7台のF1 GTRが参戦し、上位カテゴリーのプロトタイプカーを抑えて、1−3−4−5フィニッシュを飾っている。

2010年には現在につづくロードカー部門であるマクラーレン・オートモーティブを設立。

2011年にロードカーのMP-4-12Cを発売するとともに、グループGT3規格のレーシングカーMP-4-12C GT3の供給をはじめており、日本でもSUPER GT GT300クラスに参戦するマシンが見られた。その後は650 GT3や570S GT4、720S GT3といったレーシングカーが登場している。2018年に登場した720S GT3からはレーシングカーの開発、製造のすべてをマクラーレン・オートモーティブで内製化し、カスタマーレーシングに対してより強力な体制を築いてきた。

欧州ではこの頃から570S GT4を使ったワンメイクレースなどが始まっていた。そして2022年には新世代スーパーカー「アルトゥーラ」をベースとしたアルトゥーラGT4がデビュー。翌年にはワンメイクレースのために設計されたアルトゥーラトロフィーが発売されている。

2023年より欧州でこのアルトゥーラトロフィーを使ったワンメイクレースシリーズ「マクラーレントロフィー」がスタート。2025年から北米での展開が始まっている。そして、今後は日本を中心としたアジアパシフィック地域において開催を予定する。

現在、マクラーレン・オートモーティブのカスタマーレーシングを統括するのがHead of Motorsportのジョルジオ・サンナ氏。氏は長年にわたりランボルギーニのモータースポーツ部門”ランボルギーニ・スクアドラ・コルセ”を率いてきた経歴をもつ。そして今後のアジアでの展開について次のように語る。

「マクラーレンのカスタマーレーシング活動は、欧州を皮切りにアメリカでの経験を経て、アジア太平洋地域、特にマクラーレンにとって最も重要な市場のひとつである、日本を中心に範囲を拡大していきます。

GT3、GT4カーが参戦するカテゴリーとしては国際シリーズ『GT ワールドチャレンジ アジア』および『Japan Cup』に注目しています。『GT ワールドチャレンジ アジア』では日本でも富士と岡山の2ラウンドが開催されています。これらは、プロドライバーとマシンを共有するジェントルマンドライバーの育成も意味します。

さらに、日本で最も人気のあるSUPER GTのGT300カテゴリーにも強い関心をもっています。特に2027年からはすべてのGT3車両が共通のタイヤを使用することになり、世界の他のレースと同様にマシンの性能が均衡することになります。そのため、私たちは2028年からSUPER GTに参戦することを検討しています。マクラーレン・オートモーティブが近々発表する新型車両は、マクラーレンの新たな主力車両となります。

そしてワンメイクレースシリーズであるマクラーレントロフィー・ヨーロッパとマクラーレントロフィー・アメリカに続いてマクラーレントロフィー・アジアの導入を予定しています」

マクラーレントロフィーとは、このシリーズのために専用開発されたアルトゥーラを使ったワンメイクレースシリーズのこと。欧州と北米においては、年間5回、50分のレースの2ヒート制で年間合計10レースが行われる。クラス分けはドライバーの技量に応じて4つで、初心者クラス、ジェントルマン向けのアマチュアクラス、ジェントルマンとプロドライバーが共に参加するプロアマチュアクラス、そして将来マクラーレンのGTプロドライバーを目指す若手ドライバー向けのプロクラスがある。

専用マシンは「アルトゥーラ・トロフィーEVO」で、市販車のエンジン、ギアボックス、サスペンションをベースに、ブレーキや空力性能を強化。モータースポーツ専用のエンジンマネジメントシステムを採用する。GT4規制にとらわれないため585PSを発揮、ステアリングホイールに「プッシュ・トゥ・パス」ボタンを搭載しており、一時的に620PSへとブーストすることでラップタイムはGT3マシンにも迫る。

今後、数ヶ月以内には2027年の「マクラーレントロフィー・アジアパシフィック」のスケジュールを発表し、日本における活動について具体的な説明が行われる予定。また今夏にはアルトゥーラ・トロフィーEVO を日本に持ち込み、シリーズ参戦の検討者には試乗の機会が設けられるというので乞うご期待。

文:藤野太一 写真:マクラーレン

Words: Taichi FUJINO Photography: McLaren