彫刻のようなアルファロメオ・スパイダーの姿に見惚れる|『Octane』UKスタッフの愛車日記

『Octane』UK寄稿者による愛車レポート。今回は、サムが一杯の濃い紅茶を手に、とある作業場の入口で1969年アルファロメオ・スパイダーの仕上がり具合に胸躍らせる様子をお届け。

【画像】ボディ塗装の剥離と研磨を終え、美しい姿で佇むアルファロメオ・スパイダー(写真2点)

今回のレストアの最初の段階では、手作業による塗装の剥離と研磨を終えた。その後3年近くの間、ほとんどの時間が私のこの古い愛車”デュエット”のボディを”切ったり貼ったり”する作業に費やされたかのように思えた。しかし、ついにそのボディは再び完全な姿を取り戻した。現在は、まるでスパでのリラクゼーション施術のような処置を施されている。

この2回目の研磨は、より緻密で徹底的なものだ。ホッパーとブラスト装置を介し、微細な酸化アルミニウム粉末を用いて行われた。エアフローブースの外に立つジョシュと、私のアルファと共に密閉されたブース内に閉じ込められた若いトビー。二人一組の連携によって実施される。

3日間にもわたるゆっくりとした慎重な作業は、私の車に驚くほどの効果をもたらした。そればかりか、車内に固定されたGoProのアクションカメラへの影響もかなりのもので、研磨箇所からはかなり離れているにもかかわらず、犠牲となったカメラのレンズには見事な星状の模様が刻み込まれていた…

しかしそのレンズも、この工程を完了するのに要したかなりの時間も、その価値が十分にあったことが証明されつつある。今、私の手元には、研磨ブース内のドラマチックなストップモーション映像がある。完全な防護服に身を包んだトビーが、エアホースを引きずりながら車内を几帳面に動き回る姿は、まるで深海ダイバーさながらだ。さらに彼は、もう1本の柔らかいホースとノズルを使って、内部および外部の表面に残っている汚染物質や細かい錆の斑点と、湿気を閉じ込めたり将来的な問題を引き起こしかねない不要物を取り除いていく。この剥離処理は、塗料が金属表面に確実に密着するために必要な下地を整える役割も果たしている。

機械の音が静まり、エアポンプが停止すると、トビーが灰色の粉塵の雲の中から姿を現す。日光の中でまばたきをしながら。その姿は、モノクロームの『ウィガン波止場への道』に登場する炭鉱夫のような風貌だ。そして彼は落ち着いた様子で、作業の成功と満足度を報告するのだった。

何十年も前にトリノのピニンファリーナの生産ラインで製造され、曲面パネルで覆われたこの車体フレーム。購入時は粗悪な修理のつぎはぎの跡が至る所に残り、本来の性能を発揮できない状態だった。しかし今では、最終的な成形も完了し、塗装の準備が整って、見事な状態に甦っている。

紅茶を飲み干した私たちは、ほうきとブラシを手に取り、車体をきれいに清掃した。その後、重いリフトと車を横向きに回転させた。その進捗と変貌の様子を、私の”本当の”カメラに収めたのだった。

私は、心配のあまり眠れぬ夜を何度も過ごしてきたと言っても過言ではない。このプロジェクトにかかる費用や、その妥当性、実用性、さらには部品交換や新調、レストアに関するジレンマについて、思い悩んだのだ。カメラのファインダーを覗けば、そういった不安はしばらく静まり、穏やかなひとときが訪れる。私の眼と精神はともに、焦点を合わせている。均一でとにかく美しい灰色の金属のシェルが、午後の早い時間の陽光に照らされて彫刻のように浮かび上がり、プライマー処理と塗装を待つその姿に。

文:Sam Chick