第一生命保険は3月26日、第37回「大人になったらなりたいもの」アンケートの調査結果を発表した。調査は2025年12月、全国の小学生(小学校3~6年生)、中学生、高校生とその保護者(20代~60代)3,000組を対象にインターネットで行われた。
小学生がなりたい職業
小学生男子では、前回「サッカー選手」を上回った「野球選手」が、今回「YouTuber/動画投稿者」をも逆転し2位にランクインした。応援するチームの試合やWBCを観戦して、大谷翔平選手をはじめ国内外問わず活躍するプロ野球選手への憧れを理由に挙げる人が多く、スター選手の活躍が子どもたちの夢を強く後押ししているようだ。
一方で、6年連続で1位をキープしている「会社員」を選んだ理由を聞いたところ、お父さん・お母さんの働く背中を見て育っていることが大きな影響を与えているとわかった。スーツ姿で出勤する日々、パソコンに向かって仕事をする様子、家族の生活を支えるために働く姿を身近に感じる中で、職種そのものへの憧れというより、「働く大人」への信頼感が育まれ、「会社員」という選択につながっていると考えられる。
小学生女子では、「パティシエ」が6連覇を達成し、「幼稚園の先生/保育士」が昨年の10位圏外から一転、第3位にランクイン。なりたい理由には、自身の体験に根ざした動機が目立った。「パティシエ」は、「家族や友達に食べてもらい、喜ぶ顔を見るのが嬉しい」など、「ものづくりの楽しさ」や「人を喜ばせる達成感」が志望理由の中心となっている。「幼稚園の先生/保育士」は、自分が幼稚園・保育園でお世話になった先生への憧れや実体験を理由に挙げている子が多く、どちらの職業も、「好き」「楽しい」「かわいい」といった感情が、将来像へと自然につながっている点が特徴だった。
中学生がなりたい職業
中学生のランキングは、スポーツ・クリエイティブ職への憧れを持ちながらも、「会社員」「公務員」といった現実的な選択肢も意識され始めることがわかる。中学生女子では、「薬剤師」が初めて第2位にランクインした。「母が病気で薬局によく付き添い、薬に関心を持つようになった(中学1年生)」「お父さんが薬剤師で薬に詳しいのがすごいと思い、憧れるようになった(中学1年生)」など、家族や日常的に訪れる薬局や病院の薬剤師さんへの憧れという動機がみられる一方で、国家資格であり専門性が高いこと、職業としての安定性を挙げる人も多くいた。
中学生になると、小学生の頃に見られた具体的で感情的ななりたい理由が薄れ、「特に理由はない」「まだ決まっていない」といった回答が増加した。背景には、勉強や進路を意識し始め、将来の選択肢が急に増えること、現実的な視点(安定・収入)への移行があり、将来を具体的に思い描く一方で、自分なりの進路を模索している様子がうかがえる。
高校生がなりたい職業
高校生男子では、初めて「投資家」がランクインした。前回初めて登場した「社長/起業家」も引き続き上位をキープし6位に入っている。若い起業家や投資家などには、SNSや動画を通じての発信に影響力を持つインフルエンサーの側面もあり、彼らの自由な働き方を魅力に感じている人も多いようだ。一方で、起業して福祉や地球環境に貢献したい、「祖父が製造業の会社を経営していて、社会に必要なモノづくりをしつつ利益を出すことの大切さとやりがいを教えてくれた」(高校1年生)など具体的な「やりたいこと」をもって自分らしいキャリアを構築していきたい、という姿勢も垣間見える。
「投資家」ランクインの背景には、学校での金融教育など、資産形成に関する情報に触れる機会も増え、投資への関心が高まっていることがうかがえる。金融広報中央委員会が実施している「金融リテラシー調査(2022)」によると、「金融知識に自信がある」と答えた人の割合は、米国が71%に対して日本は12%、「金融教育を受けた」と答えた人の割合も、米国が20%に対して日本は7%と差があった。2022年4月に改正民法が施行され、成年年齢が20歳から18歳へ引き下げられたことに伴い、社会経験の少ない若年層が消費生活上のトラブルに遭うことがないように、事業者団体へも消費者教育コンテンツの充実・活用促進など協力が求められている。
高校生女子では、医療・教育・美容など、専門性や資格を必要とする職業が引き続き支持された。高校生男子で「投資家」「経営者/起業家」など"挑戦"や"自己実現"重視する傾向がみえるなか、高校生女子は、人の役に立つことや長く働けることへの関心が高い傾向が対照的だ。
保護者に聞いた、大人になったらなって欲しい職業
一緒に調査に参加した保護者にも、子どもになって欲しい職業について聞いたところ、「会社員」「公務員」といった安定志向が一定数ある一方で、自由回答で「本人がやりたいことを尊重したい」「向いていることを見つけてほしい」という声が多く見られた。
就職活動においては「オヤカク」(内定を出した学生の「親」に対して、企業が「確」認をおこなうこと)をする企業が増えており、その背景として親子の距離感が近く、気軽に相談できる関係になってきているといわれている。そのためか、全体的にランクインしている職業は、男女ともに子どもたちのランキング上位と共通する傾向となった。
生まれ変わるとしたら「誰に」「何に」なりたい?
子どもたちに生まれ変わりたいものについて聞いたところ、「自分」「今のままでいい」といった「自分自身」との回答が1位となった。「私は自分の人生が好きでまた自分に生まれたい(高校生女子)」など、無理に誰かと比べない価値観が広まってきているとも考えられる。
一方で、具体的な人物名のなかで最も多かったのが大谷翔平選手だ。男女・学年を問わず名前が挙がり、「努力」「多才さ」「世界で活躍する姿」といった点が、憧れの理由として挙げられた。スポーツ選手に憧れる子どもだけではなく、広く"挑戦する生き方の象徴"として認識されているといえる。
子どもたちの生成AI・対話型AI利活用について
今回の調査では、「大人になったらなりたいもの」の理由について問う設問で、AIチャットボットを使ったアンケート方式を初めて採用した。そこで特別企画として、子どもたちにとってAIがどれくらい身近なものになっているのか、保護者は子どもたちのAI活用をどう感じているのかについて、調査した。
「調べる」「学ぶ」を支える身近なツールへ
まず、AIの利用頻度については、小学生では「使ったことがない」という回答が約半数を占める一方で、「毎日使う」「週に数回使う」とほぼ毎日利用する人が全学年で25%近く、およそ4人に1人が日常的にAIを利用していることがわかった。
この設問で「使ったことがない」と回答した人を除くn=1699人にAIの用途についてさらに聞くと、学年を問わず「わからないことを調べる」、「勉強を教えてもらう」といった学習補助的な使い方が中心となっています。特に中高生では、自分のペースで理解を深められ、失敗を恐れず質問できることから、AIが「先生や教科書を補完する存在」として定着しつつある様子がうかがえる。
また、学年・男女別にみると中高生の女子で特に「悩みを相談する」という回答が増えた。スマートフォンで手軽にAIが利用できるようになったことで、デジタルネイティブ世代である子どもたちにとって、AIが身近で気軽な相談相手となっているようだ。
さらに、小中高生それぞれから「学校で使う」との回答も一定数あった。民間企業では事務作業にも導入が進むAIだが、学校での校務への活用については、文部科学省の調査で2024年度は半数以上の教職員が使用している学校が2.7%とほとんどなかったところから、2025年度に17.2%と教育現場でも活用が広まってきたことが分かる。
子どものAI活用に賛成?反対?
教育の場でもより一層活用されることが想定されるAIについて、保護者の75%が「賛成」「どちらかといえば賛成」と肯定的な意見だった。
賛成派からは、「わからないことを素早く調べられて便利・効率的」「勉強やアイデア出しなどで自分だけでは得られない知識や視点を補ってくれる」など、学習に役立てながら今後当たり前になっていくツールに慣れ、将来に向けて使いこなす力を養う重要性についての意見が多く寄せられた。
一方で、反対派からは、「AIに頼りすぎることで、自分で考える力や判断力が弱まり、調べる・考える習慣が減ってしまう」「回答の正確性や信頼性が不安」という懸念が挙げられた。加えて、「人との対面・体験を大事にしてほしい」との声もあった。
子どもたちがAIのハルシネーションを十分に検証しないまま、AIに頼りすぎて誤った判断をしてしまうことを避けるためにも、情報の正確性を見極める力を養っていけるよう、家庭や学校で教わりながら学習に活用していく場面が増えていきそうだ。









