三菱UFJ銀行は3月24日、AIネイティブでデジタルベースの資産形成サービスを提供する新会社の立ち上げを決定したと発表した。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)傘下の三菱UFJ eスマート証券とウェルスナビを2027年度中に経営統合し、今後開設予定のデジタルバンクとあわせて、「スマートフォン1つで完結する金融サービス」を提供する。経営統合に先立ち、2026年第1四半期をめどに、両社を束ねる中間持株会社を設立する予定だ。
エムットの中核となる証券サービス
新会社は、MUFGが2025年6月から開始した新金融サービスブランド「エムット」で展開するリテール戦略の一環とされる。エムットでは、すでに三菱UFJ銀行アプリのリニューアルや新ポイントアッププログラムの提供などを実施しており、さらに2026年度中には新しいロイヤリティプログラムやグループ共通ポイントのリリース、そしてデジタルバンクの開業を目指している。
このエムットにおける資産形成サービスの中核的な役割を担うのが新会社という位置づけで、デジタルバンクとの統一的な世界観とUI・UXを実現する。「圧倒的かつ持続的にお得な資産形成環境を提供」(三菱UFJ銀行・半沢淳一頭取)するとしている。
新会社が提供する価値としてはこのお得さに加えて、AIとスマートフォンに最適化されたUI・UXによって、投資初心者でも銀行と証券の垣根を感じずに迷うことなく直感的に資産形成を始められるという顧客体験を提供する。
証券サービスはデジタルバンクアプリ内からも利用でき、本格的な投資へ移行する際には、デジタルバンクアプリと同じ世界観、UI・UXの証券アプリで対応する。
一人別総合アドバイザリー・プラットフォーム「MAP AI(Money Advisory Platform AI)」も提供する。家計管理やその改善、資産運用など、お金に関する悩みに対するアドバイスを行う。専属アドバイザーが24時間365日伴走しているかのような体験をスマートフォンアプリ上で提供するという。
MAP AIは、MUFGのグループ共通ID基盤やエムットポイント、ロイヤリティプログラムといったプラットフォームを活用し、様々なデータを集約して、ユーザーごとに個別最適化された機能が用意される予定。
このMAP AIは、三菱UFJ銀行の取引や家計関連のデータを総合的に活用。ユーザー同意が前提だが、まずはMUFGのグループ内のデータを集約して活用する方針で、さらに傘下のマネーツリーで連携する金融・決済データの活用も想定しているという。
こうした様々な金融データを活用することで、一人一人に最適化されたアドバイスを提供していくことを目指す。
証券サービスでは、ウェルスナビのロボアドによるおまかせ機能に加えて、三菱UFJ eスマート証券が提供する豊富な投資サービスや資産運用機能など、トレーダーにも充実したサービスを提供していく。
27年度後半には三菱UFJ eスマート証券とウェルスナビの両社は統合するが、それを前に、まず26年5月には国内株式の取引手数料の無料化、6月には新たなクレカ積立向けのポイント還元を提供するなど、統合前に可能なサービスは順次提供していく。26年度下期のデジタルバンク設立後は、まずはデジタルバンクアプリとウェルスナビのサービスを、統合したUI・UXで利用できるようにする。27年度後半の両社合併時には、三菱UFJ eスマート証券がカバーしていた個別株などの本格的な投資機能を、同様のUI・UXのアプリとして提供する。
両社の合併を前に、エムットのサービスも拡充する。26年度のデジタルバンク開設以降は、「魅力的な手数料・預金金利」を提供。2026年6月にはクレカ積立でポイントがさらに貯まり、業界最高水準になるような施策を準備する。同じく5月には、投資家向けに国内の株式取引手数料を無料とする。
これまで三菱UFJ eスマート証券で提供してきたトレーダー向けの各種ツールは継続して提供。充実した分析ツールなどを搭載した「kabu STATION」、三菱UFJモルガン・スタンレー証券のレポートやマーケット情報、プロの機関投資家と同等のプラットフォームなどを提供する。
こうした、三菱UFJ eスマート証券とウェルスナビの双方の機能を融合した新会社によって、「投資を始めたことのない人から経験者まで、誰にとってもなじめ安く始めやすい、そしておトク、そんな資産形成サービスを提供する」とMUFGの執行役常務リテール・デジタル事業本部長兼グループCDTOの山本忠司氏は話す。
三菱UFJ銀行の半沢淳一頭取は、2025年6月にローンチしたエムットの効果で、以前と比べて口座開設数は47%増、三菱UFJカード発券数は1.8倍、三菱UFJ eスマート証券仲介口座開設数は16倍、ウェルスナビ預かり資産残高は30%増と順調に拡大していると強調した。
半沢頭取は、このエムットをさらに進化させるための証券2社の統合であり、デジタルバンクと対をなすエムットの中核サービスの1つとしてデジタル資産形成サービスを提供すると話し、「エムットの進化に大いに期待してほしい」とアピールしている。











