3月1日、公益財団法人海技教育財団は、帆船「海王丸」海洋教室を開催した。海王丸が竣工した1989年に始まった同イベントは、37年の歴史を誇り、これまで3,200名以上が乗船。船内の構造や設備の見学、帆を操る作業やロープワークなどの体験を通して、船や海に対する理解を深めてもらうのが目的だ。
86回目の開催となった今回は、神戸市内の小中学生を中心に31名が参加した(当日2名欠席)。その模様をレポートする。
機関室や帆の保管庫まで。帆船「海王丸」の船内を隅々まで見学
海洋教室の舞台は、神戸港に停泊中の帆船「海王丸」。優美な姿から“海の貴婦人”と呼ばれ、練習船の規模としては日本最大級。陸から見上げる参加者たちは、その大きさを目の当たりにして胸が高鳴っている様子だった。なお、海王丸は公益財団法人海技教育財団が所有する船舶で、独立行政法人海技教育機構が運航している。
タラップを上り、船内に移動。はじめに執り行われた乗船式では、貝塚友規船長が「まさに“矢のように走る”高い帆走性能を有する海王丸は、世界一の練習帆船と言っても過言ではない。今日は、普段は一般公開していないところまで案内するので、ぜひ隅々まで見てほしい」と参加者らに呼びかけた。
海王丸の概要や注意事項に関する説明を受け、2班に分かれて船内見学と体験プログラムがスタート。船内見学では、全部で16部屋ある実習生の居住区を抜け、帆を保管する「セイルストア」へ。海王丸の36枚すべての帆は、なんと乗組員による手縫い。子どもたちは興味深そうに帆の手触りを確かめていた。
迷路のように入り組んだ船内を進み、実習生の部屋と医務室を見学。
その後、機関制御室と機関室に入室させてもらった。機関制御室は、いわば“集中管理室”で、船橋からの指示でエンジンを動かしたりする。野田一樹機関長から、機関士の仕事や船のエンジン・設備について紹介されると、参加者たちは熱心に耳を傾けていた。
来客をもてなす船長公室と、食堂を兼ねるサロンを見学し、船内見学は終了。広々とした海王丸をたっぷりと堪能できた。
帆の展帆や椰子擦り、ロープワークを通し、船員の仕事を体験
続いて、甲板上で体験プログラムが行われた。まずは、帆の展帆体験。一本のロープ(ハリヤード)を参加者全員で歩き引きし、前方の縦帆「フォアトップマストステイスル」を張ることに。
「せーのっ!」の掛け声に合わせて「わっしょい!」と元気良く応える参加者たち。一体となって「フォアトップマストステイスル」を張ることに成功すると、歓声が上がった。
次は、椰子擦り体験。椰子の実を使って甲板を掃除するのが、海王丸の伝統だ。耐久性に優れ、10年以上使っている椰子の実もあるという。
「わっしょい!」と声を出しながら、ゴシゴシと一生懸命に擦っていた。
最後は、ロープワーク体験。「もやい結び」に挑戦した。
苦戦する参加者もいたが、丁寧に指導してもらい、結べるようになっていた。
充実の海洋教室を終え、船や船員がグッと身近な存在に
下船式では、貝塚船長より修了証が授与された。
「船乗りになりたいと思った」と、何人かの子どもたちが挙手すると、職員らが嬉しそうな表情を浮かべていたのが印象的だった。参加した親子に話を聞いてみたところ、「普段は入れないところを見学させてもらえて、すごく勉強になりました。みんなで帆を張ったり、ロープを結んだりして楽しかったです(小6女児)」「船が好きなので、娘を誘って参加してみました。船員の皆さんの仕事に対する愛情を知れて、とても良かったです(保護者)」との感想が返ってきた。
参加者たちは、お土産をもらい、船長らに見送られて下船。
船や船員がグッと身近な存在になったのではないだろうか。





















