トーテム・アウトモビリ、GTエレクトリック第18号車「ジール01」を発表

イタリア北部ヴェネト州を拠点とするトーテム・アウトモビリが、新たなワンオフモデル「GTエレクトリック ”ジール01”」を発表した。これは同社のGTシリーズプログラムにおける第18号車であり、電動プラットフォームをベースに仕立てられた一台である。カリフォルニアの顧客からの依頼によって誕生した本車は、イタリアのクラフツマンシップと最先端の技術、そして徹底したパーソナライゼーションが融合した存在だ。

【画像】トーテム・アウトモビリのワンオフモデル「GTエレクトリック ”ジール01”」(写真18点)

トーテムの車両開発において特徴的なのは、オーナーと綿密に対話を重ねながら仕様を決定していくプロセスにある。ジール01も例外ではなく、外装色にはこのプロジェクトのためだけに調合された特注カラーが採用された。「アズーロ・ペルヴィンカ」をベースにした三層構造のメタリック仕上げで、カリフォルニアの海岸線が見せる移ろいゆく光のニュアンスを表現しているという。

外装にはサテンゴールドのアクセントが配され、内外装を視覚的に結びつける役割を担う。さらに、ブランドの象徴ともいえるダイヤモンドウィーブのマットカーボンファイバーが広範囲に用いられ、精緻な質感を際立たせる。こうしたディテールの積み重ねが、単なる装飾を超えた統一感を生み出している。

室内に目を向けると、トーテムのGTエレクトリックとしては初となるツートーン仕様が採用された。ミディアムブルーとクリームのナッパレザーを基調に、コントラストステッチを施すことで奥行きある表情を演出する。さらに、フィレンツェの工房と共同開発した特注のピエ・ド・プール生地が組み合わされ、クラシックと現代性が交差する独自の空間を構築する。

技術面でもこの車は新たな試みを含む。コモのサスペンションメーカー、オーラムとの共同開発による電子制御式サスペンションを搭載。前後独立で減衰特性を調整でき、快適性を重視した設定からパフォーマンス志向まで、状況に応じたドライビングフィールを引き出すことが可能となった。電動パワートレインの特性と組み合わせることで、より緻密な車両挙動の制御が実現されている。

加えて、オーナーの要望に応じた数々の専用装備が与えられている点も見逃せない。サベルトと共同開発したカーボンファイバー製シートにはレザー張りのサイドボルスターを採用し、ドアパネルにはキルティング加工を施す。ヘッドライナーにも専用ステッチが与えられ、細部に至るまで一貫したデザインが貫かれている。ブレンボ製ブレーキキャリパーはブルーに塗装され、ゴールドのレタリングがアクセントとして機能する。CNC加工による専用パーツの数々も含め、全体として高い完成度を誇る仕立てとなっている。

トーテム・アウトモビリは、このジール01を電動プラットフォームにおける最も成熟した成果のひとつと位置付ける。組み上げの精度と動的完成度の両面において、これまでの蓄積が結実した一台であるという。生産拠点を構えるトレヴィーゾの街並みを背景に撮影されたその姿は、現代の電動技術とイタリアの伝統的な手仕事とが共存する同社の哲学を、象徴的に映し出している。

単なるスペックやパフォーマンスを語るだけでは捉えきれない価値。オーナーの個性と職人の技術、そしてブランドの思想が交差することで生まれる一台。ジール01は、その関係性そのものを体現するプロジェクトといえるだろう。