愛媛県にある弓削商船高等専門学校にて、STU48の岡田あずみさん、諸葛望愛さん、曽我部あこさん、濵田美惟さんが出演するYouTube動画の撮影が行われた。瀬戸内7県を拠点に活動するアイドルグループSTU48は、内航海運業界を盛り上げる取り組みにも積極的に協力している。

今回、STU48公式チャンネルと、日本内航海運組合総連合会(内航総連)の公式チャンネル「ナイコ~海運CH」にアップされる動画撮影の現場に潜入、弓削商船高専、裏側をレポートする。

  • STU48が出演する、内航総連の公式YouTubeチャンネル「ナイコ~海運CH」の撮影現場に潜入した

    STU48が出演する、内航総連の公式YouTubeチャンネル「ナイコ~海運CH」の撮影現場に潜入した

練習船「弓削丸」で乗船体験!!

弓削商船高等専門学校(以下、弓削商船高専)は、海技従事者を養成するための商船系高専。商船学科には航海コース、機関コースを設置し、ともに5年半にわたる一貫教育が実施されている。また同校が所有する「弓削丸」(IV世)は、全長56.33m、幅10.60m、総トン数380トンの大型練習船。商船学科の学生たちは、同船で航海実習の訓練を行い、船員としての基礎を身に付ける。

  • 大型練習船「弓削丸」(IV世)

    大型練習船「弓削丸」(IV世)

当日、メンバーは2班に分かれて撮影を開始した。弓削丸に乗船したのは、諸葛さんと濵田さん。まずは甲板にて、係船索(けいせんさく、船舶を陸に繋ぎ止めているロープ)を巻き上げる作業を見守る。

  • 濵田さん(左)と諸葛さん(右)

    濵田さん(左)と諸葛さん(右)

教官の指導のもと、トランシーバーでブリッジ(船橋、船の操舵室)と連絡を取りながら慎重に作業を進める学生たち。危険を伴う作業だけに、現場には緊張感が走る。環境が整ったところで、諸葛さん濵田さんもビット(係船柱)からロープを巻き上げる作業にチャレンジ!

  • 甲板では出港に向けた準備。3年生が作業にあたった

    甲板では出港に向けた準備。3年生が作業にあたった

  • レバーを倒してロープを巻き上げる

    レバーを倒してロープを巻き上げる

ブリッジでは電子海図の読み方を学び、操舵ハンドルも握ってみることに。操船中はどの計器に着目すべきか、何に気を付けて航行すべきか、手取り足取り教わる中で、諸葛さんは「確認しないといけないポイントが多くて、本当に大変なんですね……」と感心する。

  • タッチパネルの電子海図で現在地と針路を知る

    タッチパネルの電子海図で現在地と針路を知る

  • 面舵(おもかじ)、取舵(とりかじ)で大きな船を動かすダイナミクスを体験した

    面舵(おもかじ)、取舵(とりかじ)で大きな船を動かすダイナミクスを体験した

また、三角定規と鉛筆を使って船の現在地を海図に記入する方法(クロスベアリング)についても学んだ。ブリッジから目視できる島の頂、灯台、人工物など任意の3点を定めたら、コンパスで角度を測り、海図の上に方位線を引いていく。上手に計測できれば、3線が交わった(あるいは小さな三角形ができた)箇所が船の現在地となる。

船長は「作業には正確さだけでなく速さも求められます。たとえば20ノットの船だと3分間で2km弱も進んでしまうので、海図に書き込んでいるうちに現在地が変わってしまうわけです」と説明。このあと諸葛さん、濵田さんの手際の良さを見た船長は「センスありますね! 是非、船乗りになってください」とお願いしていた。

  • 片目をつぶり、コンパスで計測。「弓削島の山頂が274度」「百貫島の灯台が342度」…とつぶやく濵田さん

    片目をつぶり、コンパスで計測。「弓削島の山頂が274度」「百貫島の灯台が342度」…とつぶやく濵田さん

  • 方位線を引く諸葛さん

    方位線を引く諸葛さん

機関制御室(コントロールルーム)では、発電機を2台同時に稼働させる並列運転のやり方について学んだ。稼働中の1号発電機の圧力、周波数、電圧、位相に2号発電機をシンクロさせるのがポイント。諸葛さん、濵田さんの2人はデモ機で練習した。アテンドした5年生は「失敗するとブラックアウト(船内の電源がロスト)する危険もあるため、とても責任の大きな作業となります」と教えてくれた。

  • 各計器の数値を確認しながら、2号発電機を稼働させる

    各計器の数値を確認しながら、2号発電機を稼働させる

午前中の撮影を終えて、諸葛さんは「初めて学ぶことばかりで、とても貴重な体験ができました。実は、船のお仕事に憧れていた時期もあったので、今日は嬉しい機会になりました」と話す。特に、ブリッジでハンドルを握れたことに感動したそうで「5年生の学生さんに優しく教えてもらえたので、怖さもありませんでした」と笑顔を見せる。一方で濵田さんは、クロスベアリングのやり方について「あの緊迫した空気感の中で、1人で3点の数値を計測して素早く海図に書き込んでいくのって、とても難しい作業だと感じました」と振り返る。

同世代の高専生たちが、船乗りになる夢に向かって努力している姿について、濵田さんは「実習中の皆さんはキラキラしていて、本当に船が好きなんだな、ということが伝わってきました。私もアイドルが好きでこの世界に入ったので、思いが理解できる部分があったように感じます」。

今回の体験を通じて興味を持ったことを尋ねると、諸葛さんは「もっと長い船旅になったときには、どんな困難が待っているんでしょう?私も航海士のキャプテンになり、大きな船を操縦してみたいと思った頃がありました。今日は、甲板、ブリッジ、エンジンルームで知らない専門用語が飛び交っていたので、もっと勉強してみたいです」と話していた。

  • 「弓削丸」ブリッジからの眺め

    「弓削丸」ブリッジからの眺め

航海コース5年生の浅香さんにも話を聞いた。もともと海が好きで、将来は海に携わる仕事がしたいと思ってこの弓削商船高専を選んだという。「小さい頃、よくおじいちゃんに釣りに連れて行ってもらった影響もあるんだと思います。弓削島は小さな島ですし、寮生活なので不便なこともありますが、自分たちで楽しいことを見つけられる環境です」と浅香さん。航海コースを選んだ理由については「大きな船を操縦するときは緊張感もありますが、このブリッジから見る景色が大好きなんです」。

実習でシンガポールに行ったときは、洋上から眺める星空に感動したという。「日本の緯度からでは見ることのできない星も見えて、とても綺麗でした。同級生たち、他高専の人たちとずっと夜空を眺めていました」。

そんな楽しかった高専生活も、あと半年で卒業となる。卒業後は内航海運業界に就職する見込みで、「いつか小さな船を購入して、おじいちゃんを釣りに連れて行ってあげられたら良いな、とも思っています」とはにかんだ。

  • 卒業後の夢もふくらんでいる

    卒業後の夢もふくらんでいる

プロ意識は高く、青春は謳歌! 弓削商船高専の学生と交流

弓削丸に乗船した諸葛さん、濵田さんに対して、岡田あずみさん、曽我部あこさんは弓削商船高専の校内に向かい、学生たちと交流した。午前中は男子寮、女子寮も訪ねた2人。午後は、シミュレータ室で操船技術について学んだ。

  • 校内に設置されている、巨大なシミュレータ室

    校内に設置されている、巨大なシミュレータ室

  • 航海コースの学生たちに、操船について教わる場面も

    航海コースの学生たちに、操船について教わる場面も

その後、女子学生2人を交えてリアルな女子トークを行う時間も。気になる校内の恋愛事情について聞くと「クラス内でも恋愛がありますし、船の実習で男の子と出会うこともあります。乗船期間は何か月にも及ぶことがあるので、他校の学生とも仲良くなりますよ」という回答で、これに岡田さん、曽我部さんは声をあげて驚く。「恋愛禁止だったりするのかな、と思ってた。そうなんだ、皆さん青春しているんですね」と岡田さん。

  • 女子トークを行う、(右から)岡田あずみさん、曽我部あこさん

    女子トークを行う、(右から)岡田あずみさん、曽我部あこさん

また女子学生は、乗船実習で遠くの町に行ったときには「入港後、はっちゃけます。朝の8時半頃に下船できるので、朝からスイーツとご当地グルメを楽しみます。神戸、東京、遠いところでは北海道まで行くこともあります」と話す。

船は夜通しで動かすこともあり、北海道なら最短4日ほどで、シンガポールなら2週間ほどで到着できるという。「すごい。シンガポールって、飛行機でしか行けないイメージがありました」と岡田さん。「寮生活だし、勉強することも多いし、学校生活は大変なのかなと思っていましたが、自由に青春を謳歌していることが分かりました」とまとめた。

  • 弓削丸の模型

    弓削丸の模型

最後に、岡田さん、曽我部さんにも話を聞いた。

午前中に訪れた寮について、岡田さんは「男子寮、女子寮にしっかり分かれていて、セキュリティも万全でした。寮生活に心配がある女の子、その親御さんも安心できる設備になっているなと思いました」と紹介。これに曽我部さんも「寮生活だと、皆んなで一緒の時間に起きて、食事して、学校に行って、というイメージだったんですが、実際はそんなこともなくて、思ったより自由な雰囲気を感じました」と応じる。そのうえで「学年の壁がない、と言いますか、皆さん歳が違っても仲良くされているのが印象的でした」。

弓削商船高専の学生たちについて、岡田さんは「親の元を離れて寮に入り、仲間たちと一緒に頑張っている姿を見て、本当に尊敬しています。まだ学生さんですが、すでにプロの意識を持ちながら学んでいて、頼もしさも感じました。その背中が、純粋に格好良いなと思いました」。曽我部さんは「お部屋を見ても、どなたの本棚にも難しそうな本がズラリと並んでいて、そこには付箋もびっしり付いていて。ひたむきに勉強されているのが伝わってきて、同世代として尊敬するばかりでした。たまにお部屋に集まって、勉強会もしているそうです。そうして、また絆が深まっていくんだろうな、と思いました」と話していた。

  • 最後に、校舎の前で学生たちと一緒に記念撮影した

    最後に、校舎の前で学生たちと一緒に記念撮影した

今回の撮影の様子は、YouTubeの「STU48」公式チャンネルと、日本内航海運組合総連合会(内航総連)の公式チャンネル「ナイコ~海運CH」にアップされている。STU48のメンバーが船の仕事について学ぶ姿や、弓削商船高専で船員を目指す学生たちが頑張る様子をぜひチェックしてほしい。