レイヴェイが紡ぐ「魔法の一夜」ジャズ・クラシック・ポップスの幸福な融合【最新ライブレポート】

最新作『A Matter of Time』で、第68回グラミー賞の最優秀トラディショナル・ポップ・ヴォーカル・アルバム賞を受賞し、6月5日には東京ガーデンシアターで一夜限りの来日公演を控えるLaufey(レイヴェイ)。いま話題の新世代のポップスターとして注目を集める彼女のパリ公演のライブレポートをお届けする。

2026年3月1日、パリ北部にあるアディダス・アリーナ。週のはじめの月曜日。会場は満席だった。ファン層は10代〜20代前半の女の子たちがメインだが、男の子の姿も多く見られた。

今回の公演は、会場の誰もがその世界に引き込まれていくようなショーだった。今夜のステージセットは息をのむような大掛かりなもので、ショーのメインセットとなる、お城のボールルームのような巨大な階段セットなど、圧巻の作り。奇抜さ、美しさ、優雅さ、そして演劇的な要素が随所に散りばめられていた。

約2時間にわたる公演の幕開けには、荘厳なファンファーレが流れ、そしてスクリーンにはフィルム・ノワール風のタイトルとクレジットが映し出され、観客を「A Matter of Time」の世界へと一気に引き込んでいく。やがてレイヴェイがきらきらとライトアップされたチュールドレスとヒールをまとい姿を現す。ニューアルバムの1曲目「Clockwork」で、ショーは幕を開けた。

「ハロー、パリ!『A Matter of Time』ツアーへようこそ!ここに来られてとてもワクワクしています」「前回パリに来て公演をした時と比べて、今日はとても大きな会場で、びっくりしています。とってもクール!」そうコメントすると、会場は大歓声に包まれた。二曲目には大ヒットソング「Lover Girl」を披露。この夜最初のアリーナ全体からのシンガロングも起こった。

公演は5幕構成。ある瞬間には1920年代のフラッパーを彷彿とさせるダンサー、次の瞬間にはチュチュを身につけたバレエダンサーが登場するなど、ライブバンドとともに華やかな演出が展開される。さらに、バークレー音楽大学出身らしく音楽的才能にあふれる彼女は、2時間の間にギター(アコースティックとエレクトリック)、グランドピアノ、チェロを軽やかに操った。

Photo by Nicole Mago

ショーの第二幕では、レイヴェイとバンドメンバーがステージ前方のプラットフォームに移動し、”ジャズクラブ”と題したセクションへ。最新アルバムのボーナストラック「Seems Like Old Times」を演奏したほか、「Valentine」「Fragile」「While You Were Sleeping」の新バージョンを披露した。ジャズにインスピレーションを受けた彼女のルーツに立ち返り、初期のバイラルヒット曲の一つ「Let You Break My Heart Again」のソロ演奏でも観客を魅了した。

第三幕は、最新アルバムからの3曲、「Carousel」「Forget-Me-Not」、そして最後は「Cuckoo Ballet (Interlude)」で締めくくられた。インタールードではレイヴェイがチェロを披露。ステージには2人のバレリーナが登場し、背後のスクリーンの映像とともに、エンターテインメント要素がぎゅっと詰まった印象的な瞬間となった。

ライブでは、自分でフェルトを使って作った王冠をかぶった女の子や、ロングドレスやリボンをまとったファンの姿が多く見られ、かわいらしいファンダムも印象的だった。開演前には遠くに座るファン同士がスマホのライトでハートを描く姿も見られ、キュートなガールフッドが会場を包んでいた。ファンはアーティストの写し鏡ともいわれるが、そこにはレイヴェイのあたたかさが確かに表れていた。

ショーの途中には、ファンとの絆を感じさせるこんな演出も。彼女は毎晩「ベストドレッサー」を選出し、ステージに招いて観客にその姿をお披露目する。レイヴェイのマスコットである”メイメイ・ザ・バニー”が、ゲストに王冠を授与し、レイヴェイと選ばれたファンの間に忘れられない思い出を残す。ステージに立つ彼女とファンとのやりとり、そして客席の光景には、初期のテイラー・スウィフトのライブを思わせるものがあった。何度もファンに感謝し、大好きな音楽を大好きなファンのために届ける──そのピュアでまっすぐな姿勢が、頼もしく映った。

Photo by Nicole Mago

自分が聴いて育ったオーケストラとポップスを融合させたいと、ずっと夢見てきたというレイヴェイ。そんな彼女が「この曲で、みんなが夢を追いかけるきっかけになればいいなと思っています。まさか私の曲を聴きたいと思ってくれる人がいるとは思っていませんでしたから」。そう語り、アンコールで披露したのは、かつての13歳の自分に宛てて書いた楽曲「Letter to My 13 Year Old Self」。ステージの中央に立ち、一曲かけて、まるでひとりひとりに語りかけるように会場を180度見渡す彼女の姿が印象的だった。歌詞の《いつの日か、ステージに上がって/小さな女の子たちがあなたの名前を呼ぶよ》という箇所では、この夜一番の歓声が上がった。

Photo by Nicole Mago

Z世代のポップスターのなかでも、レイヴェイはひときわ異彩を放つ存在だ。ジャズやクラシックの要素を取り入れた彼女のポップミュージックは、いまのシーンの中でも独自の輝きを見せている。この夜の公演は、その魅力が若い観客のあいだで確実に広がっていることを感じさせるものだった。

ロングドレスやリボンをまとった少女たちがステージに声を送り、彼女もまた歌と言葉、ショーの演出で何度も感謝を伝える。その光景を見ていると、レイヴェイがいま多くの若いファンにとって特別な存在になりつつあることがよくわかる。音楽への純粋な愛情とクリエイティビティをまっすぐに表現するその姿は、夢見る少女たちの心に強く響いていた。

Photo by Nicole Mago

「A Matter of Time Tour」北米ツアーの振り返り動画

レイヴェイ

最新アルバム『A Matter of Time: The Final Hour(ア・マター・オブ・タイム:ザ・ファイナル・アワー)』

配信版:2026年4月10日(金)リリース予定

予約:https://Laufey.bio.to/AMOFTFHRS

Laufey: A Matter of Time Tour

2026年6月5日(金)東京ガーデンシアター

開場/開演:18:00 / 19:00

公演詳細:https://www.livenationhip.co.jp/all-events/laufey-tickets-ae1372352