
アメリカ・モンタナ州ビッグスカイ。雪に覆われたロッキー山脈の麓で開催された「FAT Ice Race」において、ベントレーの新型スーパースポーツが米国デビューを果たした。氷上の特設コースで披露されたのは、このモデルのパフォーマンスを象徴する大胆なドリフト走行。ラグジュアリーGTブランドとして知られるベントレーが、冬のモータースポーツイベントでその動的な一面を見せた格好だ。
【画像】ダイナミックなスノードリフトを披露したベントレーの新型スーパースポーツ(写真9点)
このイベントは、ベントレーとFATインターナショナルの新たなパートナーシップによって実現したもの。会場の中心に据えられたのは、映像作品「Supersports: FULL SEND」に登場した特別仕様の実車である。英国クルーにあるベントレー本社キャンパスを舞台に撮影されたこの映像では、ラリードライバーのトラヴィス・パストラーナが最高速度約160km/hで走行する姿が収められており、公開当時から注目を集めていた。
モンタナのアイストラックでステアリングを握ったのは、プロレーシングドライバーのリア・ブロック。彼女は2024年公開の映像作品「Spur of the Moment」でフライングスパーを操り、印象的なドライビングを披露した経験を持つ。今回もベントレーと再びタッグを組み、イベントの両日で氷上ドリフトを披露した。なお、映像作品の撮影時と異なる点は、タイヤに2.5mmのスタッド(スパイク)を装着している点のみである。
アイストラックにはスーパースポーツのほか、ベントレーのビスポークおよびコーチビルド部門マリナーが手がけた「スピード・シックス コンティニュエーション・シリーズ ”ファクトリー・ワークス”」も登場した。ベッドフォードグレーの特別塗装とオックスブラッドレザーのインテリアを備え、フロアボードには製作チームのレーザー刻印によるサインが施される。ステアリングを握ったのはベントレー・ヘリテージ・コレクション責任者のマイク・セイヤーで、戦前モデルを現代に蘇らせたContinuation Seriesの魅力を披露した。
さらに会場では、将来の可能性を示すコンセプトモデル「ベンテイガ X コンセプト」も米国で初公開された。ベースとなるのはベンテイガ スピードで、4.0リッターV8ツインターボエンジンが650PSを発生。常時四輪駆動システムと8速トランスミッションを備え、エアサスペンションに加えてベントレー独自の48V電動アクティブ・アンチロール制御システム「ベントレー ダイナミック ライド」を採用することで、高い走行性能と安定性を実現している。
このコンセプトモデルは、オフロード性能を大きく強化した仕様となる。鍛造ワンピースの22インチホイール(Brixton製)と大径オフロードタイヤを装着し、トレッド幅は120mm拡大、車高は55mm引き上げられた。サスペンションストロークと最低地上高を最大化するためホイールアーチも40mm外側へ拡張されており、最低地上高は約310mm、渡河性能は550mm以上を確保する。
実用面の装備も特徴的だ。ルーフにはストレージと4基のスポットライトを備え、長距離のオフロードアドベンチャーに対応。さらに追加積載の例として、FAT Karting Leagueで使用される電動「Bambino」サイズのゴーカートがルーフに搭載されている。これらの装備により車高は2.49mに達し、車両後部にはアクラポヴィッチ製チタンスポーツエキゾースト、フロントにはツインのトーイングアイ(牽引フック)も追加された。
イベントに先立ち、「ベンテイガ X コンセプト」と「スピード・シックス」はビッグスカイの街中にも登場。FATインターナショナルが主催するCars & Coffeeイベントにも参加し、地域コミュニティと車文化を祝う場として多くの来場者の注目を集めた。
ベントレーにとってビッグスカイ訪問は、過去9か月で2度目となる。2025年6月には、新型ベンテイガ スピードのグローバル・メディアドライブが同地で開催された。「ベンテイガ X コンセプト」のベース車両も、そのイベントで使用されたベンテイガ スピードであり、この場所は同車にとって特別なゆかりを持つ地となった。
なお、ベントレーとFATインターナショナルのパートナーシップは今後も継続する予定で、オーストリアのグロースグロックナー峠にあるFATインターナショナルの拠点「Mankei」において、ベントレーによる特別イベントの開催も計画されている。氷上のドリフトで幕を開けた今回のデビューは、新たなコラボレーションの始まりを象徴する舞台でもあった。