マイナビは3月6日、国際女性デー(3月8日)に合わせ、女性活躍推進や働きやすい職場づくりをテーマとしたイベント「GIVE TO GAIN」を開催した。同社が運営する総合転職情報サイト「マイナビ転職」と従業員向け健康支援サービス「welltowa(ウェルトワ)」による企画で、企業事例の共有や体験型研修が行われた。

イベントは2部構成で行われ、第1部では「マイナビ転職 BEST VALUE AWARD」受賞企業によるトークセッションを実施。女性活躍推進に取り組む企業の具体的な事例が紹介された。第2部では、生理痛体験機器を用いた研修を通じて、女性特有の健康課題への理解を深める体験プログラムが行われた。

  • 国際女性デーに合わせて開催されたイベント「GIVE TO GAIN」

    国際女性デーに合わせて開催されたイベント「GIVE TO GAIN」

「マイナビ転職 BEST VALUE AWARD」 受賞企業トークセッション

第1部では、マイナビ転職編集長の瀧川さおり氏がモデレーターを務め、オンワードホールディングス、豊玉タクシー、ラフリエの3社が登壇。女性活躍推進の取り組みの背景や具体的な施策、企業に与えた変化などについて議論が交わされた。

  • トークセッションの様子

    トークセッションの様子

オンワードホールディングス 人財Div. ダイバーシティ推進Sec.の青木莉菜氏は、女性活躍推進の取り組みの考え方について「顧客の価値観が多様化する中で、社員の多様性が企業の成長につながる」と説明した。同社では2019年から「働き方デザイン」と名付けたプロジェクトを進め、多様な人材が活躍できる環境づくりを推進しているという。

豊玉タクシー 採用課の島川すずか氏は、タクシー業界の人材不足や利用者ニーズの多様化を背景に女性採用を強化したと話す。「業界の性質上、男性中心の業界だったが、従来の枠にとらわれない採用、女性も安心して働ける環境づくりが必要になった」と振り返った。

ラフリエ 代表取締役の正木桂司氏は、自身のキャリアの中で女性の能力の高さを感じる場面が多かったことが理由だとし、「優秀な人材が活躍できる会社をつくりたいという思いから、女性のみの会社を立ち上げた」と語った。

続いて、各社が進める女性活躍推進の制度づくりや組織文化の改革について紹介された。 オンワードホールディングスでは、社長と女性管理職が、ダイバーシティ推進や女性活躍推進をテーマに直接意見交換を行うディスカッションの場を設けている。青木氏は「制度だけでなく、風土づくりを同時に進めることが重要」と話し、トップ経営層も含めて心理的安全性についての研修を数日間実施している。

その結果、社内の風通しも徐々に良くなってきているといい、その一例として青木氏はブランド「UNFILO(アンフィーロ)」を紹介。同ブランドは2021年に販売を開始した比較的新しいブランドで、新卒社員だけでなく中途入社の社員も含めてチームでブランドづくりを進めており、現在は好調に拡大しているという。

  • 「制度づくりと風土づくり」の両立が大切と語る、オンワードホールディングスの青木氏

    「制度づくりと風土づくり」の両立が大切と語る、オンワードホールディングスの青木氏

豊玉タクシーでは、女性専用の休憩室やロッカールームの整備、さらに定期的に女性乗務員同士の意見交換の場を設けることで、現場の声を制度改善に反映しているという。勤務面ではシフトに柔軟性を持たせ、昼のみの勤務、夜のみの勤務、また週休3日制で働くといった、個人に合わせた選択が可能となっている。

さらに、未経験者の「地理の不安」などを解消するために、固定給制度の導入を行い、毎月の給与を保証。安心してのびのびと仕事ができるようになることで、安全運転や丁寧な接客サービスの向上につながっている。

  • 安心して働ける環境づくりの必要性を語る、豊玉タクシーの島川氏

    安心して働ける環境づくりの必要性を語る、豊玉タクシーの島川氏

ラフリエでは、労働時間の見直しや年間休日の増加など働き方の改善を進めた結果、残業削減と売上増加を同時に実現したという。同社は年間休暇が140日を超えており、続く目標として150日を掲げている。

またユニークな取り組みとして、社員一人ひとりが自分に合った福利厚生を考える制度を進めている。「ペットが好きなので写真集を作りたい」「美容が好きなのでネイルなどに使いたい」「子どもの参観日に自由に休みたい」など、さまざまなアイデアを採用。実現に向けて業務を頑張ろうという意識の向上につながっているという。

正木氏は「スタッフがここで働きたいというモチベーションが上がれば、業績につながってくると考えている。勇気ある決断というよりは合理的だと考えています」と語った。

  • 働き方改革が組織や業績の変化につながっていると語る、ラフリエの正木氏

    働き方改革が組織や業績の変化につながっていると語る、ラフリエの正木氏

トークセッションの最後に瀧川氏は「女性の活躍を推進していくことは、子育て中の男性や病気を抱える人、障がいのある人、介護を担う人など、すべての人にとって働きやすさや多様な選択肢を広げることにつながります」「制度だけでなく、企業文化や価値観、それを変えていく覚悟が、本日の皆様から強く伝わったと思います」とまとめた。

  • トークセッションのモデレーターを勤めた、マイナビの瀧川氏

    トークセッションのモデレーターを勤めた、マイナビの瀧川氏

生理痛を疑似体験

第2部では、女性特有の健康課題への理解を深めることを目的とした「生理痛体験研修」が行われた。キャリアコンサルタントの吹野あゆ子氏が講師を務め、生理痛を疑似体験できる装置を用いながら、職場における相互理解の重要性について解説した。

  • 生理痛体験研修を通じて相互理解を深めて欲しいと語る、キャリアコンサルタントの吹野氏

    生理痛体験研修を通じて相互理解を深めて欲しいと語る、キャリアコンサルタントの吹野氏

吹野氏は冒頭、「今日の研修は痛みを体験することが目的ではありません。生理痛という切り口から、不調を抱えながら働くことについて考える時間にしてほしい」と説明。体験を通して、職場での声掛けや配慮のあり方を考えることが狙いだとした。

講義ではまず、女性の健康課題と労働への影響について紹介された。女性特有の健康問題による経済損失は年間約3.4兆円とされており、PMS(月経前症候群)などを含め、日本の女性の約8割が何らかの不調を抱えながら仕事や家事を続けているという。

  • 女性活躍を妨げる女性特有の健康課題について説明する吹野氏

    女性活躍を妨げる女性特有の健康課題について説明する吹野氏

吹野氏はキャリアコンサルタントとしての経験を踏まえ、「生理の悩みは職場で言いづらいと感じている人が多い。『言っても仕方ない』『言わないことが美徳』と考えてしまうケースも少なくない」と指摘。こうした状況が、昇進の辞退や離職につながる場合もあると説明した。

続いて女性管理職比率の向上も重要なテーマとして挙げられた。日本では女性管理職比率が12~15%程度にとどまる一方、欧米では3割を必ず超えており、4割近いという。ハーバード大学の研究者が提唱する「3割理論(黄金の3割):少数派が全体の30%を超えると、意思決定に影響を及ぼすことができる」に触れながら、まずは2割を超えることが組織の変化のきっかけになると説明した。

このほか健康経営の観点から、不妊治療に関する休暇制度などライフステージに応じた支援の重要性にも言及。吹野氏は「人生100年時代だからこそ多様な人材が活躍するために健康経営を考えなくてはならない。健康に投資することが、企業の持続的な成長にもつながる」と話した。

続いて、生理痛体験機器「ピリオノイド」を用いた疑似体験が行われた。参加者は腹部に電極を装着し、生理痛を再現した刺激を体験した。

体験中は「腰まで痛みが広がる」「息が止まりそう」といった声が上がり、思わず体を丸める参加者の姿も見られた。ある参加者は「これでは仕事どころではない。横になりたい」と驚いた様子で話していた。

  • 生理痛体験機器「ピリオノイド」を用いた疑似体験を行う参加者

    生理痛体験機器「ピリオノイド」を用いた疑似体験を行う参加者

  • 生理痛の疑似体験を行いながら、体験者や周囲の参加者が感じたことを共有する様子

    生理痛の疑似体験を行いながら、体験者や周囲の参加者が感じたことを共有する様子

吹野氏は「この痛みが不定期に続きながら、通勤や仕事をしている人もいる」と説明し、「生理に限らず、相手の立場を想像することが理解の第一歩になる」と語った。体験後にはグループごとに意見交換も行われ、参加者からは「個人差が大きいことを初めて実感した」「身近な人への接し方を見直したい」といった感想が聞かれた。

最後に吹野氏は「従業員への支援策は、知らなければ打ち手はない。知っていれば打ち手を考えることができる」と述べ、生理痛体験研修などを通じた理解促進の重要性を強調。企業ごとに柔軟な働き方や環境整備を進めることが、多様な人材が活躍できる職場づくりにつながるとまとめた。